10月13日付 災害時の性被害問題を提起

徳島「震災と女性―徳島の備えを問う」

 南海トラフ巨大地震に備え、女性の役に立つような防災情報を伝えたい―。9月の防災月間に合わせて女性面「きらり阿波女」で特集を組み、さらに同月27日から計5回、被災地での性被害やドメスティックバイオレンス(DV)の深刻化などをテーマに連載した。

 災害時の性被害やDVなどの問題は表面化しにくい。背景には「知られたくない」という被害者の心情や、避難所で生活しづらくなるのではないか、といった不安があるという。時間がたってから顕在化するケースも少なくない。

 政経部の乾栄里子記者は、「災害時には、女性であることによって危険にさらされるリスクが増えると伝えたかった」と話す。ともに取材した社会部の吉松美和子記者は「警鐘を鳴らすとともに、災害対策に女性の声をどう反映すればいいのか、問題提起したいと考えた」という。

 両記者は7月末から8月半ばにかけて、岩手、宮城両県や神戸市で取材した。岩手では地元紙の協力を得て関係者を紹介してもらいながら取材を進めたという。性被害にあった人から相談を受けたという複数の証言を得たが、「実態を裏付ける調査や数字がなければ記事にはできない」(乾記者)と必死で取材を重ね、有識者を交えて実施した東日本大震災女性支援ネットワークの調査結果などで裏を取った。

 阪神・淡路大震災時に支援に当たった女性団体の代表から、「災害があると、メディアは美談ばかりを取り上げているのでは」と指摘された。乾記者は「被災地を元気付ける紙面を届けるのも報道の重要な役割の一つだ。しかし、表面化しにくい性犯罪などの被害者の声を埋もれさせてはいけない」と感じた。

 だからこそ、災害への備えとしてこの問題を伝えたいという。吉松記者は「県内の啓発や対策はまだまだ不十分だ。引き続き報じていかなければならない」と話した。(愛)

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