3月22日付 事故多発の背景を伝える

山陰中央「命を守る高速道路へ~暫定2車線の弊害」

 2015年3月、島根県浜田市の中国横断自動車道広島浜田線でトラックとバスが正面衝突して20人が死傷する事故が起きた。原因はトラック運転手がスマートフォンに気を取られ対向車線にはみ出したことだ。現場は上下1車線ずつで中央分離帯のない「暫定2車線」区間だった。

 小玉泰宏地域報道部次長は「事故多発の背景には道路の問題があると知ってほしい」と狙いを話す。島根、鳥取両県の高速道路の約9割は暫定2車線。鳥取県警の調査によると10~14年に県内の高速道路で起きた人身事故152件のうち分離帯の未設置区間で起きたのは105件で、死亡事故率も設置区間の1・72倍に上る。

 2月9日付から5回にわたり展開した第1部は、事故にあった遺族の声などから暫定2車線で事故が多発する現状を伝えた。しかし、分離帯の設置や4車線化は予算の制約などで進まない。「問題を放置したまま起きた事故は人災だ」と連載キャップの地域報道部・鎌田剛記者は話す。

 暫定2車線の歴史と現在抱える問題を3月7日付からの第2部で5回にわたり紹介した。暫定2車線は限られた資金で高速道路網を拡大するため、段階的に4車線化することを前提に整備されている。将来同じ進行方向の道路として使うため、分離帯を設けていない。

 小玉氏は「道路の果たす役割も問われている」と語る。救急車が事故で通れなくなった暫定2車線区間を迂回(うかい)したため、患者の搬送が遅れた事例を紹介。東日本大震災でも東北の暫定2車線区間で渋滞が発生し、輸送効率が低下したことも伝え、災害への備えの不十分さを指摘した。

 今後、4車線化した他県の先進事例や海外での取り組みなどを伝えていく。(梛)

 

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