9月12日付 絶滅危惧種の保護・生育探る

静岡「ウナギと共に」

 ニホンウナギが絶滅危惧種に分類されてから3年。ウナギを守る機運が広がるも、生態に謎が多いだけに育てる方法は模索段階だ。関係者の試行錯誤を7月21日付夕刊から全3回の連載で追った。

 静岡県では、養殖ものを海などに放流する活動は身近なものとなっている。しかし、執筆を担当した浜松総局編集部の金野真仁記者は、放流の効果に疑問を持つ関係者の声を2年ほど前から耳にしていた。

 放したウナギは戻って来るのか。2015年に南日本、宮崎日日とウナギに関する合同企画を実施した際のつてを頼り、鹿児島県水産技術開発センターを取材した。養殖ウナギを放流しても、越冬して再び姿を見せることはないと知り、紙面で紹介した。

 原因は生育方法にあった。軟らかい配合飼料を与えられているため、自然界の餌は硬くて食べられないのだ。

 解決策のヒントは、福岡県立伝習館高校の生物部の活動にあった。生徒はウナギの生態に合わせ、天然のアカムシを夕方に与えるなど工夫を凝らす。こうして育てられたウナギは放流した後も順調に成長することが分かった。

 7月27日付夕刊から全3回で続編を掲載。中央大の海部健三准教授も、養殖ウナギは天然ウナギと同じ環境下では生存率が低く、「放流するなら食べた方がよっぽど良い」「環境教育の題材としても放流は不適切。良いことをしていると子供が誤解してしまう」との認識だった。

 掲載後、ウナギ保護の取り組みに関する情報が届くなど読者からの反響があった。しかし、保護活動だけでは個体数の維持は難しい。河川の環境整備、実験段階にある完全養殖の量産化に向けた取り組みなど、包括的に報じていきたいと金野記者。(野)

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