3月20日付 大人の発達障害 克服を模索

高知「わたし鬼嫁? アスペルガーの夫、カサンドラの妻」

 高知県内に住む千春さん(50)は同い年の夫・亮さん(いずれも仮名)の日々の行動に違和感を募らせていた。何度頼んでも、帰宅が遅れることを連絡してくれない。

 「なぜ」と問い詰める様子は周囲に「鬼嫁」と映った。千春さんは体調を崩し心療内科を受診。そこで亮さんが発達障害の一つ「アスペルガー症候群」ではないかと指摘された―。夫への診断、妻の心構えの変化を経て、2人が壁を乗り超えるまでを1月29日付夕刊から全6回で追った。

 報道部の門田朋三(ともみ)記者は子供の発達障害を過去に何度も取り上げていた。千春さんから昨年4月、「大人の発達障害も取り上げて」と投書が届いたのが取材のきっかけだった。

 初対面は亮さんがアスペルガー症候群と診断されて間もない時。離婚も考え、千春さんは疲れ切っていた。

 門田氏は自分の前で2人に語り合ってもらう事を提案。結果的に、第三者の前で本音をぶつけ合うことが夫婦の今後を決める契機になった。

 千春さんが「冷蔵庫にあるおかずを食べて」と伝えても戸棚のパンを食べる亮さん。理由を聞かれ「俺は毎回まっさらだから」。この一言で千春さんは「それならば、忘れる理由を聞いても仕方がない」とふに落ちたと門田氏に語った。

 千春さんはその後「スマートフォンで予定を共有する」「会話で比喩(ひゆ)を使わない」など亮さんの特性に合わせる方法を取り入れた。「普通の夫婦であることは諦めた」と話すが、表情は明るい。

 初回掲載日の午後5時には読者から反響が届き、関心の高さを実感したという。大人の発達障害に対応できる専門医がいないなど「県内の支援体制は不十分」と門田氏は指摘する。相談を寄せた読者に話を聞き、今後も問題を提起していきたいという。(路)

ページの先頭へ