4月 3日付 自分でできる備えの契機に

日刊県民福井「雪に負けない」

 福井県では2月5日から降り続いた大雪で幹線道路につながる道が埋まり、交通網がまひした。9日深夜まで孤立した地域も。

 五六豪雪以来37年ぶりの大雪は、時代の経過とともに雪への対応力が衰えた地域を直撃。「除雪はまだか」との苦情が行政に集まったが、なす術はなかった。「行政に頼るだけでなく、各自の心構えで被害を減らせるのではないか」(山本真喜夫報道部長)。混乱の背景にある社会の変化を見つめ、大雪への備えを考えた。2月26日付から全3回。

 福井市末広町の山腰稔さん(67)は、人手不足の業者を手伝い高齢者宅などを回り連日除雪した。中学生で三八豪雪を経験。「自分の家の周りに降った雪はその日のうちにかく(除く)のが当たり前だった」。今回は「年寄りは自力での除雪は無理。加えて近所付き合いも希薄になり、業者に頼らざるを得ない人が増えた」と取材に答えた。

 行政による除雪は幹線道路がメーン。スーパーマーケットに食品が届かないといった事態も起きた。雪かきで疲れた県民がパンなどを買いに車を出すと道路が渋滞。除雪車が巻き込まれ作業が進まず、ますます店への配送が遅れる悪循環に陥った。食料供給をスーパーに依存し「『自分の力でやっていこう』という意識が弱まっている」と識者。

 昔に比べ福井の降雪量は減少傾向で「若い人が備えを知らない」という。最大1500台の車両が立ち往生した国道8号線では一酸化炭素中毒による死亡事故が発生。マフラーにかかった雪を除くという知識・経験がなかったことも一因とみる。連載では大雪に慣れている県内北東部で野菜や漬け物などの保存食が役立った例も紹介。山本氏は「大雪は県民が自分でできる備えを考えるための良い教訓になった」と語った。(工)

ページの先頭へ