2018年 6月5日
「やりがい」に潜む過重労働

愛媛「『子どものため』の裏で 愛媛・中学校現場の疲弊」

 教員が悲鳴を上げている。文部科学省の2016年度の調査によると、中学校教員の約6割が「過労死ライン」の月80時間を超える時間外労働をしている。早朝から授業の準備、放課後や土日の部活動指導、夜間の電話に家庭訪問。それでも教員は「やりがい」を口にする。のしかかる負担を見過ごして良いのか。現状を4月3日付から全3回で報じた。

 報道部の伊藤絵美記者は、松山市のある中学校で2年生の学年主任を務める50代の女性教諭に密着した。同校では午前6時台には職員室の明かりが灯る。「生徒がいる間は気が抜けないので」。8時ごろまでに打ち合わせを終えると学級担任らは教室へ。息つく暇はない。予期せず生徒指導が必要な場面にも行き当たる。教師の仕事に、一日として同じ日はない。

 「教員は子どものためならいくらでも働くという印象を持たれている」。自身もそう考えている節があったと語る伊藤記者。生徒たちの家庭も多様化する中、従来の在り方が「当たり前」で良いのかと記事で問い掛けた。

 働き方改革が叫ばれる昨今。教員の働き方は子どもの学びの環境と直結する。伊藤記者は西条市で進む情報通信技術(ICT)による校務の効率化を紹介しつつ「単に教員の仕事を楽にすれば良いという問題ではない。教員が本来力を注ぐべき、生徒との関わりに集中できる環境を作ることが大事だ」と語る。

 厳しい労働状況を取材する中、伊藤記者は教員から「記者さんの仕事だって大変でしょう」と言葉を返された。「熱意を持って仕事に取り組んでいると時間を気にしなくなってしまうという感覚は分かるし、だからこそ難しい」と伊藤記者。「やりがい」の下に、真面目な人ほど負担を抱える現実は、教員だけの問題ではない。(斎)

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