2018年 6月19日
顧問任せの運営体質を問う

上毛「部活が変わる 第1部 改革前夜」

 超長時間練習、強圧的な指導、勝利至上主義。いわゆる「ブラック部活」の改革に群馬県も乗り出した。教員の働き方改革の号令が部活の見直しに拍車を掛ける。県教委は4月、中学校は平日1日と土日どちらかの週2日以上の休養日を設ける、活動時間は平日2時間・休日3時間程度とする―などの指針を策定。文化系も対象にした。

 6月5日付から全10回で部活の実態に迫った。記者4人が取材。社説で部活の課題を指摘してきた高橋徹事業局長(前編集局次長)が指揮した。高橋氏は指針が出たことで学校側に変化の兆しがみられる一方、練習が減り物足りなさを感じる生徒や保護者の声も届くと話す。連載では「両方の立場から問題を捉える」ことを意識した。

 伊勢崎市内の各中学は県教委の指針に対応した活動方針をホームページに掲載。吾妻郡の中学校体育連盟は活動時間の順守と休養日の確保を申し合わせた。吹奏楽部の練習が減り「体が楽になった」と話す中毛地域の女子生徒の声も伝えた。

 しかし西毛地域のバスケットボール部顧問の30代の男性教諭は「部活抑制の動きは賛成だが、練習日を減らそうと言えない空気がある」と漏らす。4、5月の時間外労働はいずれも120時間超。だが保護者から「他校の顧問は熱心にやっているのに」と言われるのが怖く言い出せない。別の教員は「上の大会を目指す生徒のためにできる限りのことをしてあげたい」と記者に語った。

 部活は本来「生徒の自発的な参加により行われる」活動。だからこそ外部人材や地域クラブを生かし、頑張りたい生徒の受け皿を確保する必要がある。高橋氏は部活改革の本丸はここにあるとみる。「教員側の改革だけでは顧問任せの運営体質や生徒の管理上の問題が改善されず、生徒が置き去りにされかねない」と懸念する。(海)

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