12月 3日付 問題指摘、廃案主張も

情報公開の重要性訴える

 政府・与党が日本版「国家安全保障会議」(NSC)設置法案とセットで成立を目指す特定秘密保護法案は11月26日、衆院を通過した。さまざまな問題が指摘され、自公とみんなの党、日本維新の会が法案の修正を協議。「秘密指定の基準を検証、監察する機関の設置を検討」(付則)や、「秘密指定が30年を超える場合は内閣の承認を得る」に加え「(7項目を例外とし)60年を超えることができない」などとする修正で合意した。各紙の論調を探った。

参院で丁寧な審議を

法案の衆院通過を受け、産経27日「主張」は見出しで「成立に向け大きな前進だ」と歓迎。知る権利や報道の自由について「政府には参院審議でも丁寧な説明を求めたい」と要望した。法案に一定の理解を示しつつ「徹底した慎重審議」を求めたのは読売。17日社説は「重要なのは、一定期間後に特定秘密情報を『原則公開』すると明示することではないか」と主張。27日は「機密保全法制が必要だとの意思が、明確に示された」と評価し、「指定対象絞り『原則公開』確実に」と注文をつけた。日経16日社説は「疑念消えぬ秘密保護法案に賛成できない」の見出しで、機密漏えいを防ぐ仕組みが必要としながら問題点を指摘。27日は「国民の抱く疑念や不信感はまったく解消されていない」と批判し、参院審議について「『良識の府』の理念に恥じない議論と法案の抜本的な見直し」を求めた。

明確に「廃案」を求めた社説も多かった。朝日は、修正協議中の16日社説で「短い臨時国会で議論が尽くせるわけがない。(略)廃案にするしかない」と主張し、27日は「数の力におごった権力の暴走」と批判し「論戦の舞台は参院に移る。決して成立させてはならない法案である」と結んだ。毎日、中日・東京も社説にワッペンなどを付けて連日のように展開し「重ねて廃案を求める」(毎日8日)、「国会議員は今こそ良識を発揮して、廃案にしてほしい」(中日・東京8日)と主張した。27日も「強行劇」「強行突破」などの言葉を使って批判し廃案を主張した。

京都9日社説は「法案は国民主権と基本的人権の尊重をうたう憲法と相いれない」と廃案を訴え、27日は「数の暴挙」と批判した。ほかにも西日本、徳島、琉球、沖タイ、愛媛、福井、岩手日報、北海道、信濃毎日などが「廃案」「法案の取り下げ」などの表現で反対の立場を明確にした。

国会答弁で欠陥を露呈

国会論戦は▽秘密指定の基準が曖昧で恣意(しい)的運用の懸念がある▽指定期間が30年を超えても内閣承認で延長でき(修正で例外を除き最長60年)、永久に秘密指定となる可能性がある▽最高刑懲役10年など刑罰の重さ▽報道の自由、知る権利の侵害―などが焦点となった。秘密指定の範囲などについて、衆院審議で森雅子内閣府特命担当相の答弁がぶれ続けた。信濃毎日15日社説は「法案が玉虫色で、いかようにも解釈できるからだ」と批判。北海道6日社説も「政権の都合の良いように恣意的に指定できるという法案の根本的な欠陥を早くも露呈した」と指摘した。

河北2日社説は、秘密指定の基準は「官僚らに『白紙委任』しているのと変わらない」と批判し、情報公開の重要性を訴えた。上毛8日論説は法案の「根っこ」は「重い処罰をちらつかせながら、メディアや市民運動から国会、司法に至るまでの外部チェックのすべてを排除し官僚主導で情報を支配」する点にあると警告した。

高知9日社説は「法律で定めておくべき犯罪行為が非常に曖昧」だと指摘し、法案の「報道、取材の自由に十分に配慮しなければならない」という文言について「国民のこの権利は、国から『配慮』されて守られるものでは決してない」と反発。長崎1日論説は、反核・平和団体から「自由に発言できない戦前への逆戻り」との声が上がっているとし、「核政策分野でも政府の『秘密』がつくられていくのだろう」と懸念を示した。

沖タイ9日社説によると、2004年に米軍キャンプ・ハンセンに都市型戦闘訓練施設の建設が始まった際、地元住民が施設近くで監視活動を行った。これについて、内閣情報調査室は同紙の取材に「防衛秘密の不正取得になり得る」との見解を示したといい、「憲法で保障された権利さえ侵害するような悪法」と訴えた。福島民報14日論説は「(原発の)警備計画に関わる事項は範囲が広い。解釈次第で拡大しないか。(略)福島第一原発事故以降、一層の情報開示を求める県民の要望に逆行する」と主張。地方公聴会が福島市で25日に開催された直後に衆院通過したため、28日は「(公聴会が)『採決への単なるお膳立て』だったとすれば、県民を愚弄(ぐろう)する行為だ」と強く批判した。(審査室)

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