9月 2日付 不戦の誓いを新たに

政権のスタンスに疑問

 69回目の終戦記念日は、「不戦の誓い」が焦点となった。7月に安倍晋三内閣が憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をした。戦没者追悼式で安倍首相はアジア諸国への加害責任に触れなかった。日本の平和と国の形が大きく変わる中で、平和の重みが問われる日となった。

集団的自衛権、容認も

 読売「戦後日本の平和国家の歩みは、国際社会に高く評価されている。集団的自衛権の行使容認は、その延長線上にあり、中韓両国を除く、大半の国に支持、歓迎されている。その事実はきわめて重い」、産経「歴史認識についても、再検討されるべき時だろう。(略)靖国論争も、そろそろ終止符を打つ時にきているのではないか。中国や韓国は、かたくなな態度をとり続けるのではなく、日本人の心情を酌み、理解してほしい」。

 日経「日本国民の8割が戦争を知らない世代である。(略)歴史に学ぶとは、同じ過ちを繰り返さないことだ。昭和の惨禍があってこその平成の平和である」、中日・東京「全国戦没者追悼式に臨まれる天皇陛下は傘寿。(略)このところ天皇の節目の会見でもれるのは歴史への懸念です。『次第に歴史が忘れられていくのではないか』(略)若き政治指導者たちには謙虚に耳を傾けてもらいたい」。

首相式辞、加害に触れず

 朝日「安倍首相は8月6日の広島、9日の長崎という日本と人類にとって特別な日の、特別な場所でのあいさつを、昨年の『使い回し』で済ませた。そればかりか、集団的自衛権に納得していないと声をかけた被爆者を『見解の相違です』と突き放した。見解の相違があるのなら、言葉による説得でそれを埋める努力をするのが、政治家としての作法である」、毎日「無謀な戦争による犠牲者は、日本人だけで310万人、アジアでは2000万人以上にのぼるとされる。(略)であるなら、日本軍の犠牲になった、おびただしい数のアジアの死者も忘れてはならない。(略)内外の死者を等しく追悼する誠実さを身に備えることは、アジアに計り知れない人的、物的被害を与えた日本の、当然の務めだ」、北海道「安倍晋三政権は本当に中国や韓国との関係を改善する気があるのか、疑わざるを得ない。(略)首相は戦没者追悼式で、(略)アジア諸国への加害責任について、昨年に続いて言及しなかった。(略)戦争への反省を強く疑わせる姿勢だ」、信濃毎日「加害に触れなかったきのうの(安倍首相の)式辞は内向きな内容で、平和への思いが聞く人の胸に深く伝わるものとは言えなかった。独自の信条にこだわってばかりでは、日本の国益にとってプラスにならない」、中国「これで国内外の信頼は得られるだろうか。変えてはならないという言葉と裏腹に、安倍政権が安全保障政策や歴史認識について歴代政権と明らかに違うスタンスを示してきたからだ」。

安保政策の大転換を危惧

 神奈川「『戦争ができる国』へ向かう一連の動向に危機感を持ち、今こそ70年近くも『武力行使』の抑止となってきた憲法9条の役割を再認識したい」、静岡「熟議を欠いた意思決定は危うさを抱える。議論を通じてこそ平和は鍛えられる。それもまた、戦争に突き進んだ時代の教訓だ」、京都「私たちは戦死を現代の問題として考えなければならない状況に立たされている。(略)だが、安倍晋三首相は、この重い問題について国会などで再三質問を受けながら正面から答えたことがない。(略)自衛官の命のリスクにさえ触れようとしない」、神戸「『戦後レジーム(体制)からの脱却』を掲げる安倍首相が信念を通そうとしたとしか映らない。個人の思いで安全保障政策の大転換を図るのは、危ういかじ取りというしかない」、熊本日日「安倍首相は過去を直視できていようか。(略)個人の情念で歴史をどうとらえるかは自由だが、一国のリーダーとなれば別である。過去を美化するところから、国の誇りは生まれない」、西日本「アジアの隣国との(略)和解どころか、互いを敵視する不穏な空気さえ漂う。それに後押しされるかのように、日本の安全保障政策は大転換されつつある。いつの間にか、繰り返していないか」、南日本「中国、韓国両首脳と絶交状態にありながら、首相は『地球儀を俯瞰(ふかん)する外交』を掲げる。何ともちぐはぐだ。優先すべきは隣人との関係改善である」、琉球「日本の戦後の原点である『戦争の反省』を安倍首相が踏まえているようには見えない。(略)安倍政権の一連の安全保障政策は戦前を想起させる。(略)戦争体験に基づく声に真剣に向き合うのが被爆国日本の首相の在り方である。(略)憲法を順守する立場にあることを安倍首相は心に刻んでほしい。それが平和国家日本のリーダーのあるべき姿である」。(審査室)

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