12月 9日付 安倍政治を問う論調多く

「大義ない」批判に反論も 

 慌ただしい師走選挙はいよいよ12月14日に審判が下る。安倍首相が消費増税先送りと経済政策「アベノミクス」への評価を求めれば、野党各党は、それ以外の政策も含めた「安倍政治」全般を問う。首相の解散表明(11月18日)直後の社説を軸に各紙の論調をまとめた。 

長期政権狙いか

 降って湧いた衆院解散―総選挙だけに、首相が解散する「大義」を問う社が多かった。朝日は景気悪化による増税先送りは消費増税法を改正すればよく、「その努力をする前のいきなりの衆院解散は、短絡に過ぎる。別の政治的打算が隠されていると考えざるを得ない」と指摘。中日・東京が「増税先送りという『解散の大義』は政権側の言い分にすぎない」といえば、北海道のように「支持率が高く、野党の準備が整わないうちに解散・総選挙を実施し、衆院での過半数を維持した上で政権の再スタートを切り、長期政権の礎を築く―。大義なき解散と批判されるゆえんである」と、長期政権狙いの意図を勘繰る向きもある。

 これに対し読売は「大義なき解散」批判は当たらないと反論。長年のデフレからの脱却や、「積極的平和主義」を体現する日米同盟や安保政策の実質的強化などを挙げ、「こうした安倍政治の信任を得ることが解散の大義だろう」と支持する。産経も「民主党政権の3年余の失政は国益を損なった」と指摘。その後、政策の強力な推進を期待されて誕生したのが第2次安倍内閣だとし、「経済再生を進める上でも、政治が安定し、適切な政策が継続的に取られることは重要な要素」で政権継続の必要性を訴えよ、と解散に理解を示す。

アベノミクスの成果は

 争点は目白押しだ。消費再増税先送りについては、「再増税が、景気に深刻なダメージを与えるのなら、先送りの判断もやむを得ない」(山梨日日)と賛意を示す社が多い。経済政策についても、日経は「アベノミクスに通信簿つける選挙」と見出しをつけ、「アベノミクスはうまくいっているのか。(中略)途中段階での難しい判断になる。選挙戦での与野党の論戦にしっかり耳を傾けたい」とする。

 ただ、その恩恵がまだ及ばない地方からは悲鳴が上がる。「アベノミクスによる円安・株高で輸出企業を中心に業績は回復し、賃上げ実現や雇用改善などの成果は出ているが、地方には及んでいない」(熊本日日)、「地方の人口減少は深刻で、雇用創出や東京一極集中の是正は急務」(徳島)など、地方振興を訴える声が相次ぐ。北國のように「アベノミクスに限界が見えたというより、第3の矢となる『成長戦略』がほとんど手付かずのままになっていることを問題視すべきではないか」と理解を示す社は少数派といっていい。

山積する課題

 経済政策以外も争点が山積する。毎日は「「首相が最も有利なタイミングで解散を図るのは政治の常」とし、「日本の政治を総点検し、過ちがあれば正す、リセットの好機にしなければならない」と指摘。「最大の争点は、安倍政治である」と強調する。

 個別政策ではまず政治改革。前回の衆院解散時、当時の野田首相と安倍自民党総裁が合意した国会議員の大幅な定数削減は手つかずのままだ。新潟は「国民に約束した『身を切る改革』を放置した解散を、政治はどう説明するのだろう」と疑問を投げ掛ける。衆院で第三者機関が設置されたが、「第三者に検討を任せざるを得ない事態となったのは、与野党にとって重い反省材料である」とする。

 社会保障制度と財政立て直しも重要だ。上毛は、両立を図るには「消費税増税だけでは困難だ」とし、「痛みを伴う制度改革が欠かせず、それが財政再建にも直結する。これこそ政治の仕事だ」と真正面からの説明を求める。財政再建では健全化目標について、秋田魁は「20カ国・地域(G20)首脳会議での約束事だ。再増税先送りの判断と同時に対応策を示すのが最低限の責務である」と説く。

 地域特有の課題もある。東日本大震災からの復興では、「編成作業が遅れれば予算成立が遅れ、震災復興や景気の足を引っ張る恐れがある。作業の効率化を図るなど工夫して、影響を最小限に抑えてほしい」(福島民友)といった声は切実だ。米軍基地を抱える沖縄では、「知事選で米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対の意思表示をした民意を国政の場で問うことになる」(琉球)と訴える。

 また、「成長戦略」の規制改革の柱、農業改革に対しては、「農業現場の目線で、安倍政権の功罪を検証し、新自由主義的な成長戦略路線の是非を問い正していきたい」(日本農業)と、"安倍新自由主義"に疑問を投げ掛ける声もある。

 さて「12.14政治決戦」で、どういう審判が下るのか。(審査室)

ページの先頭へ