1月20日付 戦後70年、地域の視点で

安倍政権の路線に注目

 2015年は「戦後70年」の節目の年。元日付地方紙の社説もさまざまな角度から「戦後70年」に焦点をあてた。昨年末の衆院選で与党が大勝したことで、長期政権をうかがう安倍晋三首相の路線に注目が集まった。「地方創生」もキーワード。春には統一地方選を控え、今年を地方再生の起点とし論じた社説が目立った。

将来世代に何を引き継ぐか

 中国は「戦後70年を迎えた。ヒロシマにとっては被爆70年でもある。歴史の節目に当たり、私たちはまず、あの戦争がもたらしたおびただしい犠牲に、謙虚に向き合わなければならない。それが、この70年の出発点だったからだ」と切り出した。北海道は「『戦争を知らない世代』が大半を占め、体験を聞く機会はどんどん減ってゆく。外に目を向ければ、東アジアはもちろん世界の環境も大きく変わった。くしくも、『戦後レジームからの脱却』を信条とする安倍晋三首相が、衆院選の勝利を受けて新しい年へ踏みだそうとしている。将来世代に、何を守り何を改善して引き継ぐのかが問われる」と説く。

 京都は「4月の統一地方選後には、集団的自衛権行使に関する法整備や日米防衛協力指針(ガイドライン)改定をめぐる国会審議が始まり、長期政権への切符を手にした安倍晋三首相は宿願の憲法改正に挑むことを明言している。本丸は9条だ。戦争体験のない世代が大半となった今、私たちは不戦の意思を貫いていけるだろうか」と問う。茨城は「日本は先の大戦の反省から、戦争を放棄し、武力によって1人の命も奪うことはなかった。憲法9条の存在があったためである」と指摘。新潟は「憲法を改正するというなら、国民的議論を尽くすことを最初の課題としなければならない」とけん制する。徳島は「現憲法は過去の反省に立ち、武力行使に歯止めをかけてきた。それを変えれば、どうなるか。再び戦争への道を歩む恐れはないのか」と力説する。

首相談話発表に疑問

 夏に発表される予定の戦後70年首相談話にも注文がついた。熊本日日は「この時期になぜ新たな首相談話を出す必要があるのか。まずはそこに疑問がわく」と指摘。岐阜も「首相は植民地支配と侵略を謝罪した村山談話の立場を引き継ぐとしているが、中韓両国は警戒感を隠さない。今後の対話につながる内容になるか気がかりだ」と警戒する。

 悪化したままの中国、韓国との関係改善を促す意見も多かった。河北は「安倍首相は、中国、韓国との首脳会談を軌道に乗せるという大きな外交的宿題を抱える。その妨げとなる靖国神社への参拝は自重すべきである。対中、対韓関係を一層冷え込ませるだけではなく、欧米の対日イメージをも損なうことになるからだ」と主張。徳島は「日本と同様に戦争加害国で、ポーランドなど被害国と過去を克服したドイツに学ぶことは多い。大統領や首相が節目、節目に謝罪し、自国に不都合な歴史も修正しようとはしなかった。(中略)安全保障のためには防衛力も必要だが、安倍政権は近隣諸国と友好関係を築く外交をもっと重視すべきである」と提起した。

 信濃毎日は教育改革をテーマに「改正された教育基本法には、教育目標に愛国心を養うことが盛られた。これにそぐわない教科書は検定で不合格にする。社会科の教科書は政府見解を尊重するものとする。道徳は教科に格上げし、こうした検定を受けた教科書を使い、子どもの成績を付ける。教育の前面に国家が出てきている」と懸念した。

地方再生、起点の年に

 安倍政権は昨年末、「地方創生」に向け「総合戦略」を閣議決定した。山陽は「『異次元の政策を実施する』と首相が唱えただけのことはある。『5年間で地方に若者30万人分の雇用を創出』『年間1万1千件の移住を仲介』など各施策に数値目標を定めたことや、省庁間で重複していた施策を統合したことは異例といえよう」と評価。長崎は「この程度のものか、と失望が先立ってしまう。税制や奨励金での企業誘致競争は既に自治体間で激烈だ。過疎地の医師確保に奨学金の免除以上の特典を付加しても人材が獲得できない。この現状を認識しているのだろうか」と辛口だ。

 15年度中に「地方版総合戦略」を各自治体で策定することについて山形は「生半可な方策では退勢を克服できない。まずは住民も参加して、地域の実情と持ち味を考え合うことから始めてはどうか。国が税制で後押しする企業の本社機能の移転を誘導する強みはないか、新産業創出や自然エネルギー開発、農産物の6次産業化によるオリジナル産品の開発や海外輸出、県内大学への進学促進、〝田舎〟ならではの価値創造など多面的視点から熟議し、活路を探りたい」と前を向く。山陰中央も「地方自治体は国の補助に依存し、自主自立の熱意が薄れているのではないか。地方創生で国は地方にアイデアを競わせ、やる気のある自治体に手厚く支援する方針。自治体間の取り組み格差が出てくるだろう」と自立を促した。

辺野古移設問題、震災復興など

 沖タイは米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐる問題で政府との亀裂を指摘し「問題解決のボールは政府に投げ返された。選挙結果を受けて政府は、まず埋め立て工事を中止し、計画見直しを前提に県との話し合いを始めるべきである。『沖縄に寄り添う』(安倍晋三首相)という言葉は、そういう意味ではないのか」と迫った。琉球も「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を強行する政府の圧力はことし、一段と強まることが予想される。自己決定権を行使して昨年の各選挙で示した『移設ノー』の民意を背景に、政府を移設断念に追い込む態勢の構築が求められる」と主張した。

 東日本大震災からは5年目となる。福島民友は「国は、震災から5年間を『集中復興期間』として被災地に予算を集中投入してきた。15年度はその最終年度となる。本県の復興は途上であり、16年度以降の財源確保が不可欠だ」と注文。福島民報は「厳しい闘いは続くが、困難を乗り越えようとする県民の決意は再生の歯車を着実に回している。復興のバトンを受けた知事の下、新たな挑戦が始まった。より前面に立つよう国の背中を押し、賠償の責を負う東電には被災者にもっと寄り添う対応を求めながら、自らの歩みを力強く進めていきたい」と展望した。

 神戸は「未完の復興 なお重い震災の問いかけ」のタイトルで発生から20年を迎える阪神・淡路大震災を論じた。また、3月の北陸新幹線開業を控え、北日本は「北陸新幹線開業へ 新たな価値発信しよう」、北國は「金沢開業の年に 変わる『遠い北陸』のイメージ」の見出しで地域振興に期待を込めた。

ニュース36紙、企画・連載39紙

 【1面トップ】36紙がニュース、25紙が企画、14紙が連載でスタートした。

 《ニュース》北海道「戦中 北海道上陸作戦 米英43年に立案 気象面で制約幻に」は、米英軍が日本を早期降伏に追い込むため北海道上陸作戦を立案していたことを明らかにした。統一地方選挙や首長選挙関連では、山梨日日「選挙イヤー 知事、甲府市長選皮切り」、愛媛「えひめ県議選2015 郷土の未来担うのは」、佐賀「樋渡が先行 山口急追 県知事選本社世論調査」など。

 《1面連載》今年は戦後70年の節目にあたることから、それぞれの地域に根ざした切り口で連載が始まった。岩手日報「戦後70年 伝える生きる 『災後』から紡ぐ未来」、新潟「にいがた戦後70年 農村に国家再建の光 県北に咲いた自由」、京都「戦後70年 時を渡る舟 第1部 記憶のテクノロジー」、四国「香川の戦後70年 第1部 郷土の変貌 焦土から」など。阪神・淡路大震災から20年を迎える神戸は「震災20年 次代へ」の第8部「災(さい)の国 問われる覚悟」。(審査室)

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