3月 3日付 残虐行為を厳しく非難

日本の対応、検証求める

 過激派集団「イスラム国」が邦人2人を人質とした事件は、1月24日に湯川遥菜さん、2月1日に後藤健二さんを殺害した映像を「イスラム国」側が公開し、最悪の結果となった。後藤さんの殺害映像公開を受けた2月2日の社説を中心に各紙は、強い怒りを示すとともに厳しく非難した。

「無慈悲な行為に怒り」

 「なぜこうも簡単に市民の命を奪うのか。私たちは忘れない。これはイスラムを隠れミノとした無法組織の、決して許されない残虐行為だ」(毎日)▽「何ら罪のない民間人を不当に拘束し、身勝手な要求が通らなければ残忍な手口で命を奪う。断じて許すことはできない」(河北)▽「残虐、非道、冷血、どんなに言葉を重ねても表現できない蛮行といえる。(略)人命をもてあそんできた無慈悲な行いには怒りがこみ上げる」(静岡)

 「残した多くの著書や映像には、平和への強い思いがにじむ。勇気ある仕事をたたえ、その精神を引き継ぐことが日本に課せられた役割だろう」(熊本日日)

事態にどう対応すべきか

 これまで経験したことのない事態に日本はどう対応すべきか。各紙の大きな論点となった。

 読売は「今後も、欧米や中東の各国との連携を強め、地域の安定とテロの拡散阻止に努めたい」と主張。産経は「今後もイスラム諸国を含むテロと戦う国際社会と連携し、日本としての責任を果たさなくてはならない」と論じた。

 「平和国家・日本にふさわしい貢献を続けるべきである」としたのは中日・東京。さらに「人道支援や難民支援など、非軍事分野の民生支援を地道に進めるしかあるまい」と続けた。北海道は「日本は平和主義に徹し、中東諸国の信頼を勝ち得てきた。この成果を台無しにしてはならない」と指摘した。

 琉球も「平和国家」に触れ、「戦後70年の平和国家としての歩みを見詰め直し、中東諸国に粘り強く日本への理解を求めていく努力が今こそ必要だ」とした。

 日本政府の対応について、その検証を求める主張も少なくなかった。

 「最悪の事態を招いた今、結果的にヨルダン政府頼みとなった日本政府の外交がどこまで機能していたのか、開会中の国会の場などで検証する必要がある」(山梨日日)▽「今回の事件では日本政府が関係国にどう働き掛け、情報収集したのかなど詳細は明らかになっていない。検証を尽くし、教訓をくみ取ることが欠かせない」(山陽)▽「政府はどのような対応をしてきたのか。今回のような事態を想定していたのか。疑問点は多い。国会で明らかにしてもらいたい」(京都)▽「この事件には不明な点が多い。政府は情報公開に努め、国会は政府対応も含めて事件の徹底した検証をすべきである」(毎日)

 日経は「政府は後藤さんらの拘束情報を受けて昨年、非公表で対策本部を設置したという。事件は首相の中東訪問のタイミングが狙われた。どこまで状況を把握していたのか。(略)虚を突かれる前に点検すべきことがあったように思える」と指摘した。

 今後、こうした事態となったとき、どうするのか。北國は「自力で、誘拐やテロ被害の邦人を救出できるようにするために、自衛隊法の改正を検討してほしい」と主張した。一方、中国は「与党内には自衛隊による人質救出作戦を望む声もあるが、現実的な手だてとは必ずしも思えない。まず日常的な邦人の安全確保に全力を挙げるのが先である」とした。中日・東京は「特殊部隊による人質奪還作戦のようなことを想定しているのなら、飛躍が過ぎる」と指摘した。

 この点に関連して、読売は後藤さんの行動について、「本人一人の責任では済まない事態を招いたのは否定できない。同様の事態を避けるため、今後、危険地域への渡航には従来以上に慎重な判断が求められる」と主張した。

イスラム教、同一視しない

 「イスラム国」とイスラム教徒を同一視してはならない、という主張も目についた。

 朝日は「ほとんどのイスラム教徒は穏健で命を大切にする人たちだ。互いをもっと知り合う。そして必要な助けの手をさしのべる。悲劇を乗り越え、その原則を貫きたい」と訴えた。

 「非難されるべきはイスラム国と名乗るテロリストであり、イスラム教徒ではない―ということだ」と西日本。福島民報は「今回の事件によって一般のイスラム教徒が特別視されるようなことがあってはならない。(略)不信を排し、異なる価値観を互いに認めた上で平和への努力を誓い合う姿勢が大切だろう」と論じた。(審査室)

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