4月 7日付 置き去りにしない

復興支援策を提言

 「あの日」から4年が過ぎた。東日本大震災から4年を迎えた3月11日、ほとんどすべての新聞社が社説に取り上げた。被災地のインフラの復旧は進むものの、被災者の生活再建に向けた復興は進んでいない現状を懸念し、支援の大切さを訴える論調が多かった。震災の日は同時に東京電力福島第一原発事故が起きた日であり、将来の災害への備えを考える機会でもある。論点は多く、各紙は3月11日前後に複数回、社説を掲載した。ここでは11日付朝刊に絞って各紙の社説を振り返ってみる。 

被災地と向き合う

 被災地の地元紙はどうか。岩手日報は「進捗状況を数値で示すことのできる復旧・復興工事の一方で、被災者には別の時間が流れている」と書き、「自立して前を向いて歩き始めた人がいる一方で、置き去りにされたと感じている被災者も少なくない」と注意喚起した。河北も「被災者を置き去りにして、耳に心地いい掛け声だけが一人歩きする事態は戒めなければならない」と警鐘を鳴らし、巨大防潮堤への過信が大津波への油断を生んだとして「再びの巨大防潮堤建設と減災思想に、整合性は見いだし難い」と問題提起した。

 東奥は「インフラは整いつつある。一方、自治体職員や作業員らのマンパワー不足、入札不調の影響で、災害公営住宅などの完成は遅れている」と指摘した。日経も「政府の補助金を受けて立地する企業はおよそ900社に達し、被災3県の生産水準は震災前に戻りつつある半面、業種ごとの違いが目立ってきた」と復興の格差を問題視した。毎日は急速な高齢化と人口減少など被災地が向き合う問題は「日本の社会全体が直面する課題の縮図だ。被災地で苦闘する人たちの姿は、明日の私たちの姿でもある」と問い掛けた。

 総額26兆円の財源をかける国の5年間の集中復興期間は来春終了する。安倍晋三首相は新たな復興支援の枠組みを策定する方針を表明した。読売は「集中期間終了後に、全体として支援規模が縮小していくのは、やむを得ないだろう」とし「優先度の高い事業に、重点的に財源を充てるなど、メリハリをつけた支援」を提言した。これに対し北海道は「必要な予算が途切れることがあってはならない。実質的に全額国費で事業を進める集中復興期間の体制は維持すべきだ」と主張した。西日本は財源が被災地以外で流用されていた事実などを踏まえ、復興事業の検証は「政府任せにせず、国会が積極的に役割を担うべきだ」と注文をつけた。

福島の子どもの夢かなえる

 原発事故に伴い12万人が今なお避難し、苦悩が続く福島。福島民友は「避難によって失われた隣近所との触れ合いのようなコミュニティーの場を新たな生活圏でどのように構築していくかが課題になる」と強調した。福島民報は「子どもたちの夢、希望をかなえることが復興につながると肝に銘じたい」「将来『どこの生まれ』と聞かれたとき、『福島県の生まれです』と誇りを持って堂々と言えるようにするのが、今を生きる大人の責任だ」と決意を込めた。

 福島への帰還が進まない現状に朝日は「戻らないと決めても元の町とつながっていたいと考える人や、迷っている人もいる。帰還だけを優先させれば、そうした人たちへの支援がおろそかになりかねない」とし「住民が避難先で新生活を築きながら、故郷の町とも関わり続ける」仕組み作りを提案した。山梨日日は福島から山梨への避難者が585人いて「定住を決めた人もやむなくという選択であることは想像に難くない」とし「心のケアや避難者同士の交流、居住地域での親交を深めることを促す支援」を呼び掛けた。

 「原発に依存しない地域の未来図を、描き始めてもいいころだ」と脱原発を訴えたのは中日・東京。「他の原発立地地域にも、もはや原発の安全神話を信じる人はいないだろう」と続けた。茨城も「地震国日本で、事故から何も学ばなかったかのように安易に原発に頼ることは、あまりにもリスクとコストが大きすぎる」と危惧した。神戸は「原爆投下と原発の暴走の二つの惨禍を知る日本だからこそ、今、立ち止まり冷静な判断を下したい」と提唱した。

震災教訓に防災を考察

 「地域の防災力を高めるには、地域や学校、行政に加え、企業の活動が不可欠」(紀伊)、「ハードとソフトを組み合わせ、地域の実情に合った対策を推進する必要がある」(静岡)と、震災の教訓から今後の防災を考察する社説も目立った。産経は「被災者はつらい記憶を忘れようにも忘れられない。震災時のできごとや被災地への思いを忘れぬよう努力するのは、被災を免れた人々の側であろう」と説き、「震災の記憶を風化させるわけにはいかない」と結んだ。(審査室)

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