12月 1日付 関係改善へ努力継続を

2国間対話も粘り強く 

 日中韓3か国の首脳による会談が約3年半ぶりにソウルで開かれ、関係改善に向けた首脳間の交流がようやく再開した。会談では、「歴史を直視」する一方、未来志向の関係を目指すことを確認。3か国首脳の会談を再び定例化し、来年は日本で開催することに合意した。引き続いて日中、日韓の首脳会談が開催され、とりわけ従軍慰安婦問題が関係改善の大きな障害となってきた日韓の首脳は問題解決に向けて交渉を加速させることで一致した。ただ、基本的な立場の違いは大きく、両国国民いずれもが納得のいく解決策を見いだすのは容易ではない。一連の会談が開かれた11月上旬に掲載された各紙の社説から。

会談の実現を評価

 3か国首脳会談が実現したこと自体は前向きに評価する社説が目立った。中日・東京は会談の定例化と来年の日本での開催が合意されたことを受けて「関係の修復、さらに改善を目指す流れと枠組みはできた」と評価。その上で「今後は二国間での対話で、安保を含めた粘り強い取り組みが求められる」と関係改善への努力の継続を訴えた。日経は「直ちに関係修復とはいかないのは当然だが、それでも中国、韓国と日本の間の溝を多少は埋められたのではないか」と指摘。さらに「日本政府としても安全保障や経済など互いに関心の高い分野の協力を深めることで、中韓との関係修復への努力を続けてほしい」と求めた。

 読売は3か国の共同宣言を踏まえて「未来志向で建設的な関係を構築すべきだ」と主張。併せて「3か国は環境、防災、観光など約20分野で閣僚級会合を開いている。実務的な協力を着実に進展させる中で、日中・日韓関係を改善させることが大切」と強調した。今後、関係改善を軌道に乗せるため歴史問題への慎重な対応を求める声も目立つ。北海道は「歴史問題でこれ以上の関係悪化を招かぬよう、安倍首相は靖国神社参拝など、先の大戦への反省を疑わせるような言動を厳に慎むべきだ」と主張。同時に「中韓両国も、過剰な対日批判で対立をあおってはならない」と求めた。

 今回の3か国会談の実現について経済的な側面を指摘する社説も多かった。中国は会談実現の背景として「経済という実利に他ならない」と指摘。さらに「中国経済の減速はかなり深刻になってきた。貿易や投資の相手として日本はやはり外せない。首脳会談と同じ日に、日本経済界の訪中団を北京に受け入れたのもその流れといえよう」としている。毎日は3か国の経済的な結びつきについて「日中韓がともに加わる広域のメガFTAがないことは、各国が成長する機会の損失につながる」と指摘。今後、「日中韓のFTA交渉が高い自由化水準を目指して前進するよう期待したい」と注文を付けた。

 会談では安全保障問題については深入りしなかった。これに関し産経は「中国が国際ルールを無視して実効支配を強める、南シナ海情勢への言及はなかった」と指摘。その上で「国際社会がより強い関心を寄せている問題でありながら、当事者を含む3カ国首脳会談で取り上げなかったというなら、きわめておかしな姿ではないか」と批判している。

慰安婦問題、解決策探れ

 一方、日韓2国間の首脳会談の実現にはこれまで、従軍慰安婦問題が最大の障害となってきた。朝日は「ようやくその平行線を破って会談してみると、『早期妥結をめざして交渉を加速させていく』ことで一致した」とした上で、「この3年間で失われた隣国関係発展の機会を取り戻すべく、約束通り、積極的な協議を指示してもらいたい」と訴えた。沖タイも「ようやく芽生えた関係改善の機運を大切にし、懸案である従軍慰安婦問題の決着につなげてほしい」としている。

 50年前の日韓協定により法的には解決済みだとする日本側と、法的責任の認定や国家賠償を求める声が強い韓国側との意見の隔たりは大きい。北國は「日本としては、日韓請求権協定で解決済みという立場を崩すことはできない」とした上で、「女性の人権、尊厳を守る観点から政府の意を尽くすことで、妥協点を見いだすことはできないか。『国民が納得する水準での解決』を主張する韓国側も相応の妥協が求められる」と指摘した。西日本は「韓国側は、日本が『アジア女性基金』などで解決への努力を重ねたことを理解すべきだ。日本側は、深く傷つけられた元慰安婦の女性たちの名誉と尊厳の回復を第一に考えて、解決策を探りたい」と注文を付けた。その上で、「安倍首相と朴大統領は、相手国への反発で過熱しやすい国内世論にとらわれるのではなく、両国の将来のために『原理原則』から一歩踏み出す勇気を見せてほしい」と訴えている。(審査室)

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