7月 5日付 各紙とも「当然」で一致

政治資金の使途に制限を

 舛添要一氏が6月21日、東京都知事の職を辞した。政治資金の私的流用問題で、都議会与党の自民、公明両党からも不信任決議案を突き付けられた末のことだった。各紙の社説は「辞職は当然」のトーンで一致。政治資金の使途に制限が必要との主張も目立った。

公私混同繰り返すな

 朝日以外の在京紙は、舛添氏が辞職願を提出した翌日の16日付で関連の社説を掲載した。

 毎日は「『公と私』の区別に対する感覚がいかに世間とかけ離れているかを浮き彫りにした」「多くの人が怒りを増幅させた真の原因は、ことを甘くとらえ、開き直った舛添氏にある」と批判した。

 自民党には「政治とカネをめぐる問題を本気で正そうとしているのか」と疑問を呈し、甘利明前経済再生担当相の口利き疑惑にも厳しく臨むべきだと注文。政治資金を巡る制度の改善策の議論を与野党で深めるべきだと主張した。

 読売は「遅きに失した辞意表明」と断じ「参院議員時代から長らく公人の立場にあった政治家として、辞職後も説明責任が残ることを忘れてはなるまい」とクギを刺した。また「舛添氏に思いのままの行動を許してきた都庁の管理体制に落ち度はなかったのか」「問題が深刻化する前に、監視機能を果たせなかった都議会の対応にも疑問が残る」とした。

 日経も辞職は遅きに失した判断としつつ「世論に一度火が付いて流れができると、長期的な視点は顧みられなくなる。これが『劇場型政治』の現実だろう」と論評。石原慎太郎知事時代の負の遺産だった新銀行東京が、他行との経営統合に踏み切ったことを例に「舛添都政そのものはある程度評価できるのではないか」とした。

 産経は「2代続けてのお粗末な退任劇で、都政は深く傷ついている」「東京五輪・パラリンピックを開催する首都の新しい顔を、今度こそ冷静に、厳格に選択しなくてはならない」と説いた。新知事に必要な資質として「清新さ」「実務能力」を挙げ、候補の選定に向け各政党に「改めて責任の重さを感じてほしい」と要望した。

 中日・東京は「すべての政治家とカネの問題へと憤りを向かわせた」と指摘。政治とカネの問題が、法の支配が及ばない「聖域」と化しているとして「政治活動の自由を守りつつも、双方が適合する仕組みづくりが緊要だ」と強調。

 朝日は23日付の社説で「問題は、政治家による公金の使い方がずさんすぎることにあるのは明らか」「同じような公私混同を繰り返させない仕組みをつくることが肝要」と説いた。

 多くのブロック紙や地方紙も社説で取り上げた。

 山梨日日は16日付から2日連続。安倍晋三首相には甘利氏の任命責任と、舛添都政を誕生させた責任があることを挙げ「2人に説明責任を果たすよう、強く促すべきではないか」と問いかけた。

 山陽も16、18日付の2回掲載。舛添氏の辞職で税金の使途が不問にされるわけではなく「強く問われるべきは、都議会の責任」「本来求められていたのは、疑惑の徹底解明であったはず」として、幕引きにしてはならないと訴えた。

 河北も「真っ先にチェックしなければならない議会はこの2年半、一体何をしていたのかということになる」と都議会に疑問を示した。

都議会に疑問示す

 石原都政に言及したのは琉球。15回の海外出張で2億4千万円かけたと指摘されたことや、美術館事業で4男を外部役員に登用し、公費で欧州に出張させたことなどを挙げ「こうした在り方を追及し切れず、許したからこそ、現在の問題があるのではないか」と都議会を批判した。

 高知は「うその記載さえなければ、常軌を逸脱した政治資金の使い方も罪に問えない現状を浮き彫りにした」として、政治家の良識を前提とした現行法の不備だと指摘。北海道も政治資金規正法について「問題がこれだけ大きくなった以上、秋の臨時国会での改正が急務と言えよう」と断じた。

 「政治とカネ」ではほかにも「再発防止へ法改正に向けて議論を高めていかなくてはならない」(静岡)、「舛添氏個人の問題で済ませず、抜本的な解決策を政界全体で議論すべきだ」(神戸)、「不適切な使途を根絶するために法改正も早急に検討すべきだ」(西日本)などの意見が目に付いた。

 都知事選に向けて岩手日報は「地方からも論議してほしいことが数多い」とし「東京五輪を本当に『復興五輪』にするにはどうすればいいのか」と問いかけた。神奈川も「人口減、少子高齢化が加速する中、都は地方が抱える諸問題の解決モデルを示し、活性化を先導すべき存在」とし「後任選びはそうした観点に基づくものであってほしい」と期待を示した。(審査室)

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