11月 1日付 核燃サイクル在り方問う

透明性高い議論が不可欠

 日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、政府の原子力関係閣僚会議は廃炉を含めて抜本的に見直すことを決めた。年末までに最終的に廃炉を決め、もんじゅに代わる新たな高速炉の開発を検討する。もんじゅはプルトニウムなどを使った以上に増やせる「夢の原子炉」として期待されたが、稼働直後のナトリウム漏れ事故に加え、ずさんな安全管理も発覚。原子力規制委員会が昨年、運営の見直しを勧告していた。高速増殖炉の見直しは日本の原子力政策の大きな転機になるとともに、国のエネルギー政策の将来をも左右する。関係閣僚会議が抜本見直しを決めた9月後半を中心に各社の社説を点検した。

遅すぎた決断

 今回の抜本見直しについて、朝日は「遅すぎたが、当然の決断」と評価。もんじゅに投じた事業費は1兆円に達するが、「ほとんど成果をあげられなかった」とした上で、「ずるずると事業が続く無責任体制と決別しなければならない」と指摘した。とりわけ、もんじゅを推進してきた文部科学省について、北海道は「『夢の原子炉』との触れ込みにすがり、延命を図り続けた。その責任は重い」と強調する。仮に再稼働するとしても数千億円規模の追加投資が必要とされるが、毎日は「それでも、成果が見通せない施設である。廃炉は当然だ」と指摘。併せて、核燃料サイクルの中核であるもんじゅを廃炉とする一方で、「破綻しているサイクル政策の延命を図るのが本当の狙いではないのか」と疑問を呈した。

 核燃料サイクル政策について佐賀は「使用済み燃料を『ごみ』ではなく『資源』とみなすことで、さまざまな矛盾を封印してきた」とみる。もんじゅの行き詰まりを受けて、神戸は「廃炉にするしかない事態に陥ったことは、もんじゅをその中核と位置づけていた核燃料サイクル政策そのものの行き詰まりを示した」と指摘。京都は「使用済み核燃料をどう扱い、処分するのか、改めて重い課題を突き付けられた」と問題を提起する。さらに、もんじゅと両輪である六ケ所再処理工場(青森県)の稼働も見通せないと指摘した上で、「未来の見えない核燃料サイクルにしがみつくべきでない」と政策の見直しを主張している。

 今後、政府は茨城県にある高速増殖炉の実験炉「常陽」の再稼働や、実証炉に取り組むフランスとの共同研究を進める考えだ。しかし、フランスの実証炉にしても実用化のめどは立っていないという。新潟は「もんじゅの二の舞いになる恐れがある」とした上で、「高レベル放射性廃棄物の処分地選定などを含め、核燃料サイクル政策はもう行き詰まっている」と、エネルギー政策の転換を訴えた。

重要性変わらない

 核燃料サイクル見直し論に対し、読売は「核燃料サイクルは日本の原子力政策の要だ。頓挫させてはならない」と主張する。もんじゅを廃炉にするとしても、原子力利用への影響を最小限に抑えるべきとした上で、「新たな高速炉開発により、その歩みが確かになることが、もんじゅを廃炉にするための条件だろう」と強調している。産経も「今はウラン価格が安定し、油価も下がっているが、この状態が将来も続くと見るのは早計だ」として、核燃料サイクルの重要性を指摘。日米原子力協定の更新が2年後に迫っていることに触れ「核燃料サイクルからの撤退準備と米国が受け止めれば、日本のエネルギー政策の将来は根底から揺らぐ」と警鐘を鳴らす。

 日経は、政府が今後も高速炉の研究開発を続けるとするならば、「目的や意義をきちんと説明し、実用化の時期や経済性についても見通しを示すべきだ」と注文を付ける。核燃料サイクルについても「意義や実現性、コストなどについても改めて点検するときだ。そこでは透明性の高い議論が欠かせない」と主張する。

地元は蚊帳の外

 もんじゅ廃炉を含む見直しについて地元では、福井が「矛盾だらけの国策が露呈する中で、国は地元の長い貢献にどう向き合うのか」と批判する。県民福井は「もんじゅ廃炉の議論では、福井県や敦賀市は蚊帳の外に置かれている」とした上で、「国策に貢献し、国際的な研究開発拠点になる、という誇りや期待があった。それだけに、国の独走への不満は強い」と地元の空気を伝えている。

 他の原発立地県でも関心が高く、南日本は「プルトニウムを、日本はすでに約48トン保有している」、「もんじゅを廃炉にするだけでは、核燃サイクルに内在する多くの問題の本質的な解決にはつながらない」などと指摘。北國は「政府は廃炉に踏み切る理由を丁寧に説明し、地元の理解を得られる支援策を具体的に示す必要がある」と注文を付けた。   (審査室)

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