10月 3日付 外交、防衛両面で備えを

対話呼び掛けが日本の役割

 北朝鮮は6回目の核実験に続き、9月半ばに弾道ミサイルを再び発射した。核実験を受けて国連の安全保障理事会が石油の供給制限を含む制裁決議を採択した直後のことである。今回の飛行距離は約3700キロで、8月末の前回発射に比べ約千キロ伸びた。その直後に始まった国連総会の一般討論演説では、トランプ米大統領が激しい口調で北朝鮮を非難したほか、日本を含む各国からの批判が相次いだ。国際社会は制裁実施で連携を強め、北朝鮮が繰り返す挑発行為に歯止めをかけることができるのか。北朝鮮と密接な関係を持つ中国、ロシアの協力をどう確保するのか。また、国民の安全確保のために日本政府や自治体は具体的にどのような対策を講じるべきか。核実験とミサイル発射を受けて9月半ばに各紙に掲載された社説を点検した。

制裁で資金源を断つ

 弾道ミサイル発射が繰り返されることについて、毎日は「太平洋が恒常的な実験場になれば発射のたびに日本上空を横切り、飛行機や船舶が被害を受けるおそれもある」と指摘。「安全な生活が繰り返し脅かされる事態は断じて容認できない」と批判した。秋田魁は北朝鮮が「今回のミサイル発射によって核・ミサイル開発を続行するという強硬姿勢を改めて鮮明にした」とし「国際社会は一層結束を強め、制裁の実効性を高めるために安保理決議の完全履行に全力を挙げなければならない」と強調する。

 産経は「北朝鮮は米国を標的とする核戦力獲得に突き進み、日本と韓国は直接の脅威にさらされている」とした上で「安保理はただちに、石油の全面禁輸を含む制裁決議作りに着手する必要がある」と訴えた。山梨日日も「最悪の事態になれば大きな被害を受けるのは日本であり韓国だ。核・ミサイル開発資金の遮断が不可欠である。さらなる制裁強化も検討すべきだろう」と一段の取り組みを求めた。

 中日・東京は「東アジアを覆う危機は長期化する見通しで、外交、防衛両面での備えが欠かせない」と指摘。迎撃ミサイルの増設などには巨額な費用と時間がかかるとした上で「今は北朝鮮ミサイル発射の事前探知など、米韓と防衛協力を固めるのが最も効果的だろう」と訴えた。読売は日米韓の一段の連携を求めるとともに「日本の領土・領海へのミサイル着弾や落下物の警戒も怠れない。防衛省には引き続き、監視に万全を期してもらいたい」と注文を付けた。

 日経は「警報が出た場合はどこへ避難し何をすればいいのか。国民には戸惑いの声も根強い。不安をあおらない配慮をしながら、訓練や危機管理の点検が欠かせない」と指摘。その上で「自治体は地域の実情に応じ、どう行動すべきかについて住民に分かりやすく周知しておく必要がある」としている。韓国など一部で議論される核を含む防衛力強化策については日本海が「朝鮮半島の非核化を逆行させてしまう」とし、「軍拡競争を回避するためにも、北朝鮮の核・ミサイル開発を封じ込めることが不可欠」と訴えている。

中国の対応注視

 国際社会の今後の連携について、神奈川は「対北包囲網の効果を確かなものにするには、北朝鮮の経済的な依存度が高い中国の対応が鍵を握る」とした上で「核実験から日数を経ないミサイル発射を受け、中国がどう対処していくか注視したい」と強調する。宮崎日日は「貿易分野での抜け道が存在することも事実だ。制裁が効果を確実に上げるには、この抜け道を断ち切ることが重要」と指摘。加えて「朝鮮半島周辺水域が船舶検査の集中する舞台となることを考えた場合、日韓連携が不可欠になる」と両国の協力を訴えた。

 関係国以外との連携の重要性を指摘する中国は「安倍首相が先日のインド訪問でモディ首相と、対北朝鮮政策で共同声明を出したのは成果といえよう」と評価した。加えて「制裁の抜け穴とされる密貿易や裏取引を防ぐためには、北朝鮮に近いとされるアフリカ諸国の協力も欠かせない」としている。

 米朝間の威嚇の応酬が激しくなる中で、北海道は「制裁によって北朝鮮を対話の場に引き出し、平和的な解決に持ち込む努力が不可欠だ」と強調。さらに「日米韓中ロと北朝鮮による6カ国協議も08年を最後に開かれていない。米朝、あるいは日本を含む関係国による協議など、対話の枠組みづくりを急がなければならない」と迅速な取り組みを求めた。日本の役割について朝日は「ミサイルが相次いで北海道上空を飛ぶ事態である。日本政府はもっと独自の役割を切り開く必要がある」とした上で「米韓とスクラムを組み、ロシアとも頻繁に対話を重ねる日本は、6者協議のような多国間の対話を呼びかけるにふさわしい立場にある」と指摘している。(審査室)

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