1月23日付 平和への誓い新たに

分断から「共生」「寛容」へ

 地方紙の元日付社説は今年が「明治150年」であることから、歴史を振り返るとともに、最近の北朝鮮情勢や改憲の動きを踏まえ、平和への誓いを新たにするものが目立った。天皇陛下の来春退位が決まったことから、平成に思いをめぐらす論調も。また、人口減少や分断といった現状認識を基にした展開も変わらず多かった。

外交努力で戦争阻止

 「2018年の日本は、平和の誓いを実行に移せるかが問われる」。そう書き出した岐阜は、明治改元から150年の歴史を振り返った。前半は日本が大規模な対外戦争を定期的に起こす軍事の国で、その反省から戦後70余年、平和主義の下で成長し、そのシンボルは平和憲法だったと意味付けた。北朝鮮情勢を踏まえ、安倍政権に対し「鍵を握る中国、ロシア、韓国を巻き込んだ地道な外交をなぜ展開しないのだろう」と疑問を投げ掛け「平和主義こそ日本が誇れる最高の教訓」として「平和を守り、世界に広める努力に汗をかかなければ」と注文した。被爆地・長崎は昨年、核兵器禁止条約の国連採択で節目を迎えた。長崎は「私たちは、核兵器を否定する声を上げ続けなければならない」と誓った上で、昨年ノーベル文学賞を受けた地元出身の英作家カズオ・イシグロ氏を招待する年になれば、と願った。

 軍事衝突の危険性が高まる米国と北朝鮮の関係について、河北は「米国が威嚇すればするほど、北朝鮮が核を諦めないのでは、との懸念が募る。今年も先が読めない。確かなのは戦争を絶対阻止しなければならないということ。外交努力を含めて国際社会の英知が試されるときだ」と説いた。愛媛は9条改憲への意欲を見せる安倍晋三首相について「安全保障関連法の施行など、日本が『戦争ができる国』へと戻りつつある危惧は増すばかりだ」と不安視し、核兵器禁止条約不参加姿勢に「保有国と非保有国との『橋渡し』役を自任するなら、米国をはじめとする保有国の説得に乗り出すべきだ」と主張した。

 天皇陛下の退位が決まり、新潟は「これまでの日本の歩みを振り返り、新たな時代への方向性を探る年になるだろう。何よりも受け継ぎたいのは、平和への強い思い」とした。同じく退位に絡め「平成の終わりが、ともすれば平和の終わりになりはしないか」と懸念を示した西日本は、内政や外交の問題などに触れて「時代の変わり目こそ、政治を監視するメディアは熟議・公論の輪を広げる役割を担わなければならない」とメディア界にも警鐘を鳴らした。

 分断について、北日本は米国のトランプ大統領の就任で加速したと分析。日本国内でも、ヘイトスピーチや子どもの貧困など貧富の差などを例に「大切なのはこうした流れを断ち切り、異なる価値観を認めた上で尊重し合う『共生』の動きを広げていくことだ」とした。北海道は過去を検証し、次の時代へ向かいたいとし「キーワードは『分断から寛容へ』ではないか」と提案した。高知は「分断が危険なまでに深まるのか、ここで踏みとどまるのかという時代の岐路に立っている」とした上で「互いの存在を認め合う寛容の精神に立ち、多様性のある社会や国々を取り返すしかあるまい。しかも国家というレベルではなく、市民社会という『下からの再構築』が求められている」と結論付けた。

 人口減少など過疎化に悩む地方の活力を見直す主張も目立った。デーリー東北は東京一極集中に対抗するには「地域の力を結集しなければならない」とし「地元に元々ある素材に磨きをかければいい」と提案。活性化の鍵はそこに凝縮されていると唱えた。人口減少率が2016年の総務省統計で最も高かった秋田県。秋田魁は「若者が働きたいと思える職場をもっと増やす」「地元就職を促進するには、何より受け皿の整備が必要」とし「地方の魅力を高め、活力を引き出したい」と主張した。一方で、好調なリンゴ産業に支えられた青森県。陸奥は「ようやく景気回復の波が到達したのだろうか。有効求人倍率など各種経済指標には好反応を示すものがある」としながら「県民一人ひとりが実感するまでには至っていない」とし「地方の自立をどのように果たしていくのか」と呼び掛けた。徳島は、本州と四国を結ぶ明石海峡大橋の開通20年、第1次大戦中に鳴門市にあった捕虜収容所のドイツ兵捕虜によりベートーベンの第九交響曲が演奏された史実から100年になるのをとらえ「地方の持つ歴史的、文化的な財産に改めて目を向け、次の世代に引き継いでいかなければ」とした。

 異世代同居の試みを紹介した信濃毎日は「充足感をもたらす日々の体験の中には常に人との関わりがあります。人と在る時間をもっと大切に」と主張した。南日本は今を「人口減少社会への転換はこれまでの右肩上がりの方向から脱し、『本当に豊かで幸せを感じられる社会』をつくってゆくチャンス」とみた上で、90歳まで生きた親鸞の言葉を引き「この1年、少しでも希望を見いだしたい」「覚悟を持って進んでゆきたい」と結んだ。

 ヒトに焦点を当てたユニークな論を展開したのは京都だ。生殖補助医療や人工多能性幹細胞(iPS細胞)、人工知能(AI)の現状や将来を見据え、これらの研究に人材や資本が集中するとし「ヒトをめぐる秩序が揺れる年ともなる」と予測した。

復興の鍵は参加と共助

 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から3月で7年となる。福島民友は、復興と活性化の鍵は県民だけでなく多くの人の「参加」だと指摘。移住による「定住人口」や観光による「交流人口」の中間とも言える「関係人口」を増やしたいと提案した。福島民報も人口減少への危機感を訴え「福島を世界、そして日本の中で、どんな姿として次代につなげていくのか。県民自らが自立の気概を持って」新しい福島像を描く必要があるとした。

 神戸は23年前の阪神大震災で「厳しい状況に置かれるほど人は知恵を出し合い、助け合おうとする」ことを確信し、震災が「共助」の大切さを教えたと意味付けた。自宅の開放や子ども食堂などを例に、新たな支え合いとして、信頼の糸をつむぎ直す「一歩を踏み出そう」と訴えた。熊本地震から2回目の正月を迎えた。熊本日日は、多くの被災者の自宅再建が遅れている現状を踏まえ、「住まいの確保なしには被災者の心の復興はない」との県知事の言葉を引き「最後尾にある人にこそ、しっかりとした支援が必要だ」と訴えた。

 今年、名護市長選と県知事選が行われる沖縄。琉球は「自己決定権が試される年になる」と書き出し、両選挙で「名護市辺野古の新基地建設の是非が主要な争点になる」とともに「国会で改憲勢力が3分の2を占める中、今年は憲法改正が国民的な議論となるだろう」と書いた。沖タイは、歴史から「沖縄の切実な声よりも米軍の運用上の都合が優先される現実は復帰前も復帰後も基本的に変わっていない」と憂え「困難な時代の新年に当たって『政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないようにする』(憲法前文)ことを改めて決意したい」と訴えた。

ニュース27紙、企画・連載48紙

 【1面トップ】27紙がニュース、30紙が企画、18紙が連載でスタートした。ニュースと連載の主な見出しを拾う。

 《ニュース》北海道「道―サハリン ビザ免除検討 政府、四島は別枠想定 共同活動 協議加速狙う」、信濃毎日「ドクターヘリ 高速道に着陸 県内運航本線上の除外規定削除へ―軽井沢のバス転落受け 大規模事故・災害備え」、神戸「三つの山口組、拠点一掃へ―使用差し止め 県警専門班 県内50カ所超」、熊本日日「南阿蘇鉄道JR豊肥線乗り入れ検討―高森と肥後大津直通 全線復旧後 利便性、アクセス向上」など。

 《1面連載》山形「山形新聞・山形放送8大事業 山形再興」、静岡「無知の知『てんかん』という現実」、新潟「にいがた経済R」、京都「Re:あなたへ届ける カタチの未来」、中国「イワクニ地域と米軍基地―各地からの報告」、西日本「あなたの特命取材班」など。(審査室)

ページの先頭へ