2008年 4月15日
現場発 人口減社会の生き方

南日本「故郷(ふるさと) かごしま地域再生」

十年以上も人口が減り続けている鹿児島。深刻な過疎にあえぎ疲弊する地域社会の現実を見つめ、再生への道筋を探ろうと、昨年四月から一年間取り組んできた。

第一部「ムラが消える」(四~五月)は、十年前に無人となった集落訪問から始めた。高度成長期に出稼ぎで住民が流出、その後を襲ったのは少子高齢化の波だ。路線バスは撤退、郵便局や農協も廃止や縮小、効率主義が過疎の集落をますます追い込んでいる。

第二部「自立遠く」(六~七月)は過疎対策を検証。第三部「農の行方」(九月)は危機に立つ小農家を追った。第四部「足元の格差」(十~十一月)では、中央と地方の格差を鹿児島市と郡部の格差に引き寄せて考えた。

今年に入ってからの第五部「担い手の形」(二月)は人材がテーマ。枕崎市のかつお節産業は中国からの研修・実習生に担われている。約二百七十人の大半が若い女性で、日本人従業員との割合は半々。三年限定の労働力が伝統産業の維持に欠かせない存在となっている。

第六部「新たなモノサシ」(三月)で計六十回の連載を終えたが、ここでは、都会志向や右肩上がりの成長を追いかける従来の価値観を転換することの重要性を訴えた。最終回の見出しは「田舎の豊かさ見直しを」。

「徹底的に現場にこだわって考えた。人口減社会をどう生きればいいかの処方せんを目指したが問題提起に終わったかもしれない。地域問題は奥が深い。今後も息長くやっていく」と光安善樹・編集委員。取材班は高嶺千史、上仮屋美佳、北村茂之、深野修司、木場志郎、門田夫佐子記者。

一面連載のほか月一回の写真特集「むらに生きる」(橋口実昭、福留梓記者)、くらし面連載「かごしまの足跡・宮本常一生誕一〇〇年」(二十四回)にも共通ワッペンをつけ、変わりゆく地域の姿を紹介した。 (審査室)

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