2008年 11月11日
活性化に生かせ 地域の財産

南日本「地財再発掘」

豊かな自然の恵みをはじめ歴史や文化、人材など地域にはその土地ならではの財産、「地財」がある。年間シリーズとして「地財」を活用した地域活性化の取り組みを六月から十月まで、四部にわたって取り上げている。

第一部は「奄美ロード」(七回)。奄美大島は「癒しの島」という地財を生かし、陸上選手の合宿誘致に取り組んでいる。二〇〇三年には日本陸連公認マラソンコースが完成、北京五輪イヤーの今年もマラソンの野口みずき選手や中村友梨香選手らの合宿場所となった。地元の人々の親身となった応対に、選手らも厚い信頼を寄せている。

第二部「農村は誘う」(六回)は、グリーンツーリズムに挑戦しているさつま町からの報告。高齢化率四割を超える過疎の地域で、「一宿一飯」と銘打った農家民泊運動を展開。食材や景観、人情など町の独自色をどう打ち出すか、模索が続く。

第三部の「つばめを生かせ」(六回)は、二年半後の九州新幹線「つばめ」の全線開通と、始発・終着駅鹿児島の観光振興がテーマ。鹿児島市は四月から、ボランティアガイドが歴史や文化などを説明しながら観光案内する「鹿児島ぶらりまち歩き」の企画を始めた。地元との交流までをも「地財」として活用、滞在型観光の定着を目指す。

第四部は「新風、桜島で」(六回)。鹿児島のシンボル桜島を「丸ごと体験して楽しもう」と呼び掛けている特定非営利活動法人(NPO法人)桜島ミュージアムの活動を中心に、産品のつばき油や熔岩の加工体験、ナイトウオーキングなど桜島の新たな魅力を発信。

「外部の力に頼らず、住民自身が活性化のすべを見つめ直すよう訴えている」と取材班デスクの光安善樹・編集委員。社会部・豊島浩一、犬塚政志記者、政経部・児美川勝記者が担当。(審査室)

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