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2009年 4月7日
人、食、環境...閉塞感の打開へ

宮崎日日「真の時代」

世界的な不況の深刻化で閉塞(へいそく)感が充満し、明日が見えにくい。何にどう取り組んでいけばいいのかと模索する。三つのテーマを選び一月三日から「いま真に求められていること」を探った。

第一部は信頼し合い、支え合う地域や人々の姿を追った「コミュニケーション」(十回)。宮崎県内初のニュータウンとして一九六〇年代に造成された「平和が丘団地」はいまや、すっかり活力が衰えた。ここに暮らす八十代と、六十代の女性は互いの部屋の鍵を持ち合うことにした。一人暮らしの二人が支え合って生きるための「知恵」だ。時折昼食を共にし「親、きょうだいのきずなより強い」と笑みをこぼす。

ウェブサイトで知り合った人との付き合いは、若者にとってコミュニケーションの場だ。初めは細いパイプでも、それを束ねることで太くなる。「人と会うことだけがコミュニケーションではない」と教えられる。

食への関心がテーマの第二部は「食卓を見つめて」(十回)。農薬を使わず作られた野菜も、形がふぞろいだというだけで売り物にならない。疑問を感じた四十二歳の主婦は料理教室に野菜を持ち込み、農家の苦労を必死に訴えた。一本、二本と注文が増え、宅配販売へと広がった。農業体験を通じて食の尊さを学ぶ「食農教育」を目指して、農業高校の教員らのサークルは食卓で「命の循環」を伝えている。学校と地域、農家が手をつないで消費と生産の距離を近づけようという試みだ。

第三部は「宝物をあしたへ」(八回)。日照時間が長い利点を生かした太陽光発電システムは、環境問題への関心が高まる中で有望なビジネスとなる。東国原英夫知事が力を入れている観光PRでも「神話発祥の地」という資源は宝物だ。杉尾守・報道部次長らデスクと記者で取り組んだ。(審査室)

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