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2009年 4月21日
地域と共に生きる人々の活力

市民タイムス「絆(きずな)の風景」

都市部のベッドタウンで高齢化が進み、米どころの農村で兼業農家が増え続ける。山間地は医師や看護師不足に悩む。社会構造が変化する中で、人々は「絆」に活力を求める。長野県の中信地域ではどんな絆が守られ、はぐくまれているのか。タブロイド判の紙面の大半を使った年間企画が一月から毎週土曜日、その風景を見つめ続ける。

第一部『地域に根付く』は、新しい土地に移り住んだ人たちを描く。松本市寿台のベッドタウンに住んで四十年近く、町づくりに携わってきた男性は寿台が「骨を埋める場所」になった。安曇野市の県外出身者が多い地区で、関西出身の区長は都会出身者でつくる集まりのリーダー役要請を断った。「一人でも多く地元の人と交流する方がよっぽどためになる」との思いからだ。池田町に東京から越してきた一家は、道路補修や沿道の草刈り、町おこし活動などに参加する中で「地域と共に生きている」という充実感を味わっている。

一方で、家業や田畑を守る役目を背負う人もいる。絆は時にいや応なく「しがらみ」になる。疎ましさを嫌って古里を離れる人がいる中で、第二部『地域に生まれて』は生まれ育った土地に残った人々の姿を追う。松本市で印鑑店を継ぐ三代目。安曇野市で水田を受け継いだ兼業農家。塩尻市で国の重文の古民家を守る夫婦。ここでも人々は「地域の後継者」を自覚し、「助け合って生きる楽しさ」を実感している。第三部『地域で働く』は山間地の診療所の看護師など、仕事を通じて地域と絆を結び、「自分の役割」を果たそうと努力する人たちの姿を描く。

花岡明生編集局長は「現状を丹念に拾い上げることで、地域と人との『絆』の在り方が見えてくるようにしたい」と語る。安曇野支社の山本章三記者を中心に報道部、生活文化部、塩尻支社の計五人が担当。(審査室)

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