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2009年 7月14日
生きがいと不安―老いを描く

神戸「好齢者たち 長寿社会を生きる」

超高齢社会で、どう老いればいいのか。生きがい、健康、資金など多角的な視点から取材した報告で読み応えがある。

96歳の小林清さんと82歳の桐月とし子さんは、ケアハウスで出会って夫婦用の部屋で一緒に暮らし始めた。お互い「おとうちゃん」「おかあちゃん」と呼び合うから、子どもたちはびっくりしたが、2人の楽しそうな様子を見て「私たちの考えが古いのかな」。元旦に1面でスタートした第1部「老いの断面」の1回は、施設で生まれたお年寄り同士のカップルを紹介した。

第2部「わが家づくり」に続き第3部は「老後の資金」。わが国の家計の金融資産残高は約1400兆円。大半が高齢者の所有という。一方で老後の資金に不安を感じている人は7割という調査も。妻に金額は内緒で株や債権に分散投資する人。妻を介護する男性(75)は、月20万円の年金から各種保険料が天引きされて「風邪ぐらいでは病院に行けない」と嘆く。孫に進学祝いをあげようと、年金から毎月5千円貯金する人もいる。

健康は最大の心配ごとだが、第4部は「健やかな老い」。83歳の宮本弘さんはタイで開かれたマスターズ陸上アジア大会100メートル走で優勝した。毎朝ジムで2時間、油圧式マシンで全身の筋肉を鍛えている。食事はいつも「腹七分」で、「身体の調子がどんどん良くなっていく」と宮本さん。

兵庫県の高齢者のうち認知症患者は6.7%(05年)、30年後は10%と推計されている。なぜ認知症になるのか、研究と診断・治療の最前線も報告した。

6月に第4部が終わった。秋に5部を予定。取材は社会部の井関徹、石沢菜々子、広岡磨璃の3記者で、梶岡修一デスクは「高齢者の多種多様な生き方を、問題点も含めて描いてみようと思った。生きるヒントになれば幸いです」と語っている。(審査室)

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