2010年 5月18日
仲間との語り合いが第一歩

自己コントロールが利かなくなる「依存症」。治癒はしないが、回復する病気といわれている。「生きづらさ」の病気であり、ストレス社会で、そのリスクはますます高まっている。扉を開け、回復へ踏み出した沖縄県内の当事者や家族、支援者らの姿を追った連載は、1月末から「くらし」面で掲載している。

第1部「アルコール編」(24回)で紹介している糸満晴明病院(糸満市大度)はアルコール依存症の専門病棟を持つ。専門知識を有する「ピアカウンセラー」として患者の支援に当たっているのは、アルコール依存症で入退院を繰り返した経験を持つ回復者(48)だ。治療中は自分の生き方を総ざらいする機会となった。退院後、「自助グループ」「抗酒剤」「通院」の断酒の〝3本柱〟を徹底して実践。正職員として同病院に迎えられたいま、自身の経験を交え患者に接している。

依存症を乗り越えていく「扉」の大黒柱は自助グループだと連載は訴える。一人で問題を抱え込まず、仲間と語り合うことが治療の第一歩となる。「多くの人が苦しんでいる」と分かると、傷ついたプライドが癒され、回復へとつながる。

第2部の「薬物編」(9回)でも、体験をつなぎ薬の怖さを語ることで依存の連鎖を絶つ取り組みを実践する薬物依存リハビリ施設「ダルク」や、患者と家族の支援グループ「家族会」の役割の重要性を指摘する。だが依存者を隔離したところに回復への道はない。「社会復帰支援にどう向き合っていくか問われている」と呼びかけている。

「依存症への理解を深め、当事者も家族も八方ふさがりの状況の解消につなげたい」と語る学芸部くらし班の高崎園子キャップが、園部ルナ記者と担当した。

最終章「ギャンブル編」は17日から開始。(審査室)

ページの先頭へ