2010年 5月25日
攻めの営業で売り込み訴え

デーリー東北「ターミナル北へ―近づく新幹線全線開業」

東北新幹線八戸―新青森間が12月4日に開業する。盛岡―八戸開業から8年、待望の全線開通だ。新たに導入される新型E5系車両「はやぶさ」は東京―新青森間を3時間5分で結ぶ。観光や経済活性化の期待は大きいが、途中駅となる八戸がどうなるかなど課題も抱える。1月からの1面企画は、全線開業の意味を様々な角度から検証している。

第1部は「時代の奔流の中で」(1月、7回)。大宮―盛岡の開通からはすでに四半世紀。当時と比べて右肩上がりの成長は望めず、地域経済は冷え込んでいる。全線開業は閉塞(へいそく)感打破のきっかけになるのか。空の便との競合、二次交通網の整備、新駅周辺開発、並行在来線運営、観光PRなど山積する課題を提示した。

第2部は「検証・八戸開業の7年間」(3月、7回)。八戸開業は新幹線新規開業の成功例とされ、急増した乗降客は今も高水準を維持している。開業時に作られた「屋台村みろく横丁」や「八食センター」のにぎわいは絶えない。7年間の八戸地域への波及効果は900億円という試算もある。ただ最近はその効果もうすれがちだ。途中駅となる八戸には「第二の開業」を生かす努力が必要だ。

第3部は「模索する経済界」(5月、5回)。新幹線が企業誘致の起爆剤となり、県外からの客が増えることへの期待は大きい。一方で買い物客が盛岡、仙台、東京に吸い上げられるストロー効果は心配だ。地元企業は県外企業との競争にさらされる。「待ちの姿勢ではだめ」との提言を紹介、地元を売り込む「攻めの営業」の実践例を紹介した。

「新幹線が来ればメリットを享受できる時代ではない。効果を生かすためには、手をこまぬいているだけではだめと訴えたい」と報道部の西舘康司次長。上野貴裕、橋端智和、岩舘貴俊、今井崇雄記者らが担当。連載は開業まで続く。(審査室)

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