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2010年 9月14日
深刻な就職難、脱却への道は

東奥「雇用」

厳しい雇用情勢の中、青森県では戦後ずっと続く就職難が一層深刻化している。なぜなのか、どうすればいいか。5月からの1面企画は考える。

第1部「つまづき」(5回)。昨春高校を出てJAL(日本航空)関連会社に就職した19歳の男性は、わずか8か月で退社し青森に帰った。先輩の給料を聞き、その低さに驚いたところへ冬のボーナス停止。手荷物の監視業務に飽きていたこともあり、「このまま居続けたら自分の将来がだめになる」と思った。担任の先生に勧められるまま、どんな会社か真剣に考えず決めたことを反省している。

第2部「貧乏くじ世代」(5回)の28歳男性は、高卒後に県内の縫製工場に就職したが、待遇のいい派遣会社に転職、さらに別の会社の契約社員に転じたが昨年3月に解雇された。高卒時は就職氷河期、派遣切りはリーマン・ショック後。時代の荒波にもまれた「ロスジェネ(失われた世代)」だ。

第3部は「出稼ぎ」(7回)。仕事と収入を求め大都市圏に向かう県人は今も後を絶たない。漁師をあきらめ約40年も首都圏などで道路工事を続けてきた62歳の男性は、65歳を潮時に陸奥の海に戻ること夢を見る。家族と離れ千葉で働いてきた55歳の大工。息子2人は父の仕事を継ぎ、仕事の少ない青森を離れて千葉に移り住んだ。70歳まで頑張ろうと思うが、自分は古里を捨てるつもりはない。

各部ごとに専門家の分析と提言を詳しく掲載。第1部では就職のミスマッチを防ぐ教育を、第2部では首切り社会の変革を、第3部では中央との格差克服、地域経済の自立などを呼びかけた。「読ませる工夫と提言報道を心がけた。重要なテーマなので、じっくり1年くらいは続けたい」と鳴海成二編集局長。松田修一編集委員室長を中心に、編集委員、政経部、社会部で取り組む。(審査室)

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