2011年 10月4日
生き残りへの挑戦

山陽「水島新時代  半世紀迎えたコンビナート」

岡山県倉敷市の臨海地帯に水島コンビナートが誕生して5月で半世紀。石油化学など素材型産業集積を中心に国内有数の規模で地域経済を支えてきた。だが、新興国の台頭で国際競争が激化、事業環境は厳しさを増す。1面と地方経済面の3部構成で企業連携や技術革新など生き残りへの取り組みを描いた。

第1部「歩み」(5月)は地元の企業誘致から高度成長期を経て現状までを紹介。石油精製や石油化学、鉄鋼、自動車などの産業集積で2009年には251事業所、従業者2万4600人規模に成長。県内製造品出荷額の45%を占める。「コンビナートがなければ、今ほど豊かな岡山はあり得ない」と県OB。

第2部は「連携」(7月)。国際競争力強化へ業種や資本系列の壁を超えて各企業の事業所が連携する動きをまとめた。港湾海底地下のパイプラインでJX日鉱日石エネルギーの製油所と三菱化学、旭化成ケミカルズの石化工場が原燃料を融通し合う。さらに石化2社は今春、エチレンプラントを一体運営する企業組合も折半出資で設立した。無駄を省き生産効率を向上させるのが狙い。

「一体運営で競争力を高める素地が整った」と旭化成ケミカルズの役員。今後は原料ナフサを共同調達し、需要に応じて生産を調整する計画だ。各社は技能者育成でも連携する。「最終的には水島全体を仮想的に一つの工場とみなす『バーチャル・ワン・カンパニー』となるのが理想」とJX日鉱日石エネルギーの副社長。

第3部は「技術に生きる」(9月)。三菱自動車の電気自動車や三菱化学のリチウムイオン電池材料など、次世代の新技術開発動向に期待を込めた。

「厳しい競争環境の中でも新たな挑戦への底力を紹介したかった」と小松原竜司・経済部副部長。萩原聡、玉川貢広記者が担当した(審査室)

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