2012年 1月24日
郷土のすばらしい歴史紹介

県民福井「ふくい城物語」

福井県内の城を巡る計100回(昨年5~12月)の長期連載。坂井市の丸岡城、敦賀市の金ケ崎城と敦賀城、小浜市の後瀬山(のちせやま)城と小浜城、大野市の大野城、福井市の北ノ庄城と福井城の計8城の歴史や城下町、武将や妻女たちの物語がバランスよく紹介されている。

丸岡城は天正4(1576)年の築城で、現存する国内12の天守閣のなかで「最古」を誇る。戦前は国宝だったが、1948年の福井地震で倒壊、修復された。江戸前期の丸岡藩主、本多成重の父、作左ヱ門重次が、主君徳川家康の陣中から妻あてに送った「一筆啓上、火の用心、お仙(成重の幼名)泣かすな、馬肥やせ」の手紙をタネに、地元の文化振興事業団が93年から「日本一短い手紙」コンテストを実施、全国的に知られるようになった。

金ケ崎城は、織田信長が朝倉攻めの際、浅井長政の寝返りで窮地に陥った舞台。妹で長政の妻のお市から両端を縛った小豆の小袋が届き、挟み撃ちを知って難を逃れた。

後瀬山、小浜城は、昨年のNHK大河ドラマ「江」の姉・初とその夫・京極高次ゆかりの城。初は気配りの人だったといい、墓がある常高寺には観光客が絶えない。

北ノ庄は、本能寺の変後、お市と茶々、初、江の三姉妹を迎えた柴田勝家の居城。賤ケ嶽(しずがたけ)の合戦で羽柴秀吉に敗れ、灰燼(かいじん)に帰した。福井城は家康の次男・結城秀康が開いた新たな北ノ庄だが、「北」が敗北に通ずるとして「福居」「福井」と改められた。幕末の藩主は、幕政にも参画した尊王開国派の松平春嶽(しゅんがく)。歴史ブームの昨今、櫓(やぐら)復元の機運が高まっているという。

中日新聞福井支社報道部の吉川博和次長が一人で執筆。「城が好きで始めたが、途中で新たな発見もあり、長い連載になってしまった。丸岡城をはじめ、郷土のすばらしい歴史を読者が再認識してくれればうれしい」と話している。  (審査室)

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