2012年 3月13日
県境越え一体的発展目指す

日本海「新・中海圏のあす―自立と連携」

「中海」は鳥取と島根の両県をまたぐ汽水湖。「出雲風土記」にも登場する。その周辺の自治体が県境を越え連携に動き出した。広域合併や交通インフラ整備を機に、一体となって観光など地域振興に取り組む。1面・地域総合面で1年かけて、その課題を探り、将来を展望する。

第1部は「バランス・オブ・パワー」(昨年12月5回)。周辺各市の連携への動きを追った。鳥取側の米子、境港と島根側の松江、安来の4市が中海市長会を結成。圏域の「一体的な発展」を掲げてきた。4月からはさらに西側の宍道湖に面した出雲市(島根県)も加わる。

松江、出雲市は昨年、広域合併で規模を拡大したばかり。中海と宍道湖を囲む5市の圏域人口は60万人に上る。日本海側拠点港の境港のほか、空港や高速自動車道など交通網整備も進む。連携の舞台は整った。

だが、「どうしたら一緒に取り組めるだろうか」。各市の担当者からは悩みの声も漏れる。補助金の有無など両県でさまざまな制度が異なるからだ。県境の壁はなお厚い。

第2部は「観光振興」(2・3月6回)。圏域は古代からの伝承や歴史遺産も多い。今年は「古事記編さん1300年」、来年は出雲大社「平成の大遷宮」。島根側では歴史遺産イベントが相次ぐ。

鳥取側でも漫画キャラクター像の並ぶ境港市「水木しげるロード」が人気急上昇中だ。米子では今年、「国際マンガサミット」を開く。日本百名山の一つ大山周辺でもスキーなどエコツーリズムに力を入れる。だが、境港と松江を結ぶ直行バスは運行を始めたばかり。県境を越えて空港や鉄道駅と観光地を結ぶ足の確保は遅れている。

「圏域の発展に向け課題を提起したい」と西部本社編集局の沢田圭太郎デスク。門永隆一、田村彰彦、酒井建治、堀田裕史記者らが担当。4月の第3部は各市の構想を点検する予定。(審査室)

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