2012年 4月3日
復帰40年、しがらみ踏まえ

沖タイ「沖縄の自画像」

本土復帰40年を機に、沖縄の今を報告する大型企画。1月スタートの第1部「風は南から」は八重山からの報告。2年前の石垣市長選で保守系市議の中山義隆氏が革新系現職を大差で破って初当選し、市政は一変した。「新しい歴史教科書をつくる会」系の教科書選択を主導した石垣市教育長の玉津博克氏を教育委員に推薦したのは中山市長。2人はかつて教育論で意気投合した間柄だ。教科書問題の背景に尖閣事件に象徴される中国への不安感を指摘し、賛否が交錯する自衛隊配備問題も取り上げた。

第2部「自立境界線」は産業界の現状報告。沖縄では本土に比べ酒税が泡盛で35%、ビールは20%も軽減されている。復帰特別措置法に基づく酒造業者保護が目的で当初は5年間のはずだったが、なんと8度目の延長が認められる見通しだ。この間、泡盛業者もオリオンビールも業界全体で計1093億円もの税金を免除されてきた。見出しは「酒税軽減 業界に甘え」。7度目の延長は知事選応援の見返り。「『政治』とのもたれ合いで染み付いた業界の依存体質」を批判した。建設業界は前近代的な体質が色濃く残る。まず会社が多すぎ「一つの発注に60社70社ぶら下がること」もあり、落札は「宝くじに当たるようなもの」と嘆きの声。通常ならつぶれる会社も「談合で温存」されてきた。売上高に下駄をはかせる「粉飾決算」も横行している。一定の完工高がないと大型工事への入札資格を失うからだ。3月の第3部「若者の群像」。復帰後、自衛隊に入隊した若者は7230人。かつての反感も今は安定した就職先。志願する若者の肉声を伝える。吉川毅、座安あきの、新垣綾子記者が担当。政経部の稲嶺幸弘デスクは「八重山も産業界も40年のしがらみや呪縛がある。そういう背景を踏まえて現実を書いていきたい」。(審査室)

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