2009年 10月20日
東京は説得力欠いた

五輪開催地決定・誘致をめぐる社説
招致活動費の使途示せ

国際オリンピック委員会(IOC)は2日、2016年夏季五輪開催地にリオデジャネイロ(ブラジル)を選出、52年ぶり2度目の開催を目指した東京は、シカゴ、マドリードとともに落選した。直後の11日、広島・長崎市が「核廃絶」を掲げて20年夏季五輪招致に名乗りを挙げた。一連の動きを計65本の社・論説が取り上げた。

新しい大陸に門戸開く

《南米初開催》神戸「リオの勝利は、何といっても『南米初開催』というアピールが共感を得たからだ。リオ五輪の成功は、五輪運動のさらなる発展と普及につながるだろう」、朝日「52年ぶりの東京五輪の夢は消えた。だが落胆している人の耳にも、地球の裏側からサンバのリズムに乗る歓喜の歌声が届いていることだろう」、高知「2000年にシドニー、以降アテネ、北京、ロンドンとなれば、未開催の南米という選択が、五輪の理念からすれば自然な形。『新しい大陸に門戸を開いてほしい』という訴えもまた委員にストレートに響いたに違いない」。

《意義示せず》読売「半径8キロ圏内に競技会場を集中させる『コンパクトな五輪』が、東京の最大のセールスポイントだった。(略)だが、『南米で初の五輪開催』というリオの訴えに比べ、説得力を欠いた感は否めない。五輪開催に対する世論の支持率の低さも、マイナスポイントだった」、南日本「東京は候補のなかで唯一2度目の開催であり、北京五輪から8年後に再びアジアで五輪を開く意義を、最後まで明確に打ち出すことができなかったことが響いた」、日経「日本の夏季五輪招致はこれで3連敗となる。五輪は都市が主役とはいえ、国家間の競い合いの様相がますます強まるなかで、五輪への世論の支持が低い点が東京の足かせになったのだろう」。

《都知事独走》毎日「今回の東京招致は石原慎太郎東京都知事の独り芝居で、それが墓穴を掘ったという印象をぬぐえない。(略)石原都知事にとって任期中に五輪招致を勝ち取るには16年五輪しかなかったのだろう。この結果、東京の五輪招致は『北京五輪の8年後になぜ同じアジアの東京なのか』というアキレスけんをスタートから抱え込む。『なぜ』に答えが出せないまま、招致活動は上滑りした状態で投票日を迎えた」、熊本「そもそも、どれだけの熱意があって誘致に動きだしたのかという原点にまで行き着く。『日本でもう一度』はスポーツ関係者の念願ではあったが、東京の立候補は石原慎太郎知事の独断の色合いが強かった」、福井「都民や国民の心は本当に五輪実現に向いていたのか。ここにも東京一極集中主義の政治力学が色濃く働いていないか」、上毛・静岡・日本海など「東京の招致活動費は150億円にも上る。4年前にロンドンが当選したときの2倍以上の額だ。(略)招致活動費の中身をできる限り早く、そして詳しく都民に説明すべきだ」。

《再挑戦は?》産経「東京五輪をここで断念することはない。16年がだめなら、次の20年である。(略)巨費を要する事業への反対意見もあろう。しかし、オリンピック開催が青少年だけでなく多くの国民に誇りと大きな夢を与える点は時代を超えて共通している。日本の底力を見せる五輪の実現へ、再挑戦を呼びかけたい」、中日・東京「早くも二〇年夏季五輪招致を目指せとの声があるが、捲土(けんど)重来を期すには都政の問題を克服してからだ。(略)東京が再び手を挙げるのなら、まずは今回つぎ込まれたという招致費用百五十億円の使途を明らかにし、都政の課題をどう解決するか示すべきだ」、北國「国内の支持率が低いままでは、再立候補は難しい。五輪期間中、あれほどテレビ中継に夢中になりながら、自国開催にはやや冷淡という理由がよく分からない。メディアの報道も含めて詳細な分析と対策が必要になる」。

被爆地の立候補には賛否

《広島・長崎》北海道「被爆地での五輪開催は、スポーツを通じた平和実現の理念を掲げるオリンピック精神にもかなうことだ。両市の五輪招致を歓迎したい。(略)平和の理念を強くアピールするのに、これほどふさわしい開催地は世界でも数少ないだろう」、中国「五輪を誘致できれば、国際世論を盛り上げる面で大きな意義がある。(略)ただ、複数都市による共同開催が認められるかどうか現時点では分からない。財政問題も含め、実現に向けて多くの課題がある。やや唐突感もある招致検討の発表。市民や広く国民の合意を得ながら機運をどう盛り上げていくのか。それが最初の関門になる」、長崎「重要な問題は、核廃絶という広島、長崎の使命を達成していく上で、五輪招致が本当に必要か、との疑問を抱く人も多いことだ。(略)被爆地が何を優先すべきかという冷静な議論を抜きに走り出すわけにはいかない」。(審査室)

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