2010年 7月6日
政権交代 検証の機会

「7・11参院選」公示をめぐる社説
公約の実現性、各党は示せ

第22回参院選が6月24日公示され、改選121議席に438人が立候補した。昨年の政権交代後、民主党が初めて審判を受ける大型国政選挙。今月11日の投開票で、国民新党との連立与党が非改選と合わせて過半数を維持できるか、自民党が巻き返すか。「第3極」を掲げて新党も多数の候補を擁立しており、混戦模様となっている。63本の社・論説が公示を取り上げた。

消費税からも逃げず

《選挙の意義》 中日・東京「昨年の衆院選で、有権者は歴史的な政権交代を選択した。参院選は、その選択を検証する機会だ。政権交代をよかったと思う人、期待を裏切られたと思う人、『政治とカネ』の問題に嫌気がさした人…。参院選に臨む有権者の思いはさまざまだろうが、肝心なことは『政治をあきらめない』ことだ。各党、候補者の論戦に耳を傾け、公約を読み比べ、自らの思いを投票にぶつけてみてはどうだろう」、信毎「菅政権を是とするか、否とするか。後者であるとすれば、どの政党を選ぶのか─。今回の参院選は、昨年の歴史的な政権交代の流れがどこに向かうかを占う分岐点となるだろう」、朝日「人々がつながり、これまで『官』が独占してきた政策づくりに取り組むグループがあちこちで生まれている。多様なムーブメントを起こし、政治の主語を『彼ら』から『私たち』に転換する。そして、その立場から厳しく政治を監視もする。この参院選を、その大きな一歩にしたい」。

《争点明確に》 高知「票目当ての甘い言葉は、もはや通用しない時代だ。そのことを意識してのことだろう。財源としての消費税に注目が集まっている。税率引き上げに賛成、反対はともかく、これまでの選挙では逃げてきたテーマだ。選挙期間中はこうした問題を真正面から取り上げる、骨太の論戦に期待したい」、山陽「日米安保改定50年の節目でもある。沖縄の負担軽減にしても、日米同盟を長期的にどう考えるかという国民を巻き込んだ議論なしには実現しない。そもそも鳩山前政権の迷走も党内で安全保障をめぐる議論が未熟だったためだ。民主党をはじめ各党は主張を明らかにし、日米同盟の目指す像を国民に示すべきだろう」、沖縄「菅政権はほんとうに(基地)負担軽減に取り組む意思があるのだろうか。普天間問題も参院選の大きな争点であることを忘れないでもらいたい」、新潟「主要国中最大の借金を抱え、財政再建のめどさえ立たない。年金や社会保障は破綻(はたん)寸前だ。このような状況では、政策の選択肢が乏しくなるのは理解できる。しかし、手法や優先順位の付け方などは各政党によって異なるはずだ。真っ先に取り組むべき課題は何か。それをどのように解決していくのか。各党はこの点を明確にすべきである」。

《見極め大切》 産経「菅政権がうたう『現実路線』への転換が本物かどうか。さらなる劣化を起こさない政治の枠組みはどうあるべきか。有権者の見極めに日本の未来がかかっている。懸念するのは、財源の裏付けなく、ばらまき政策を実施しようとする政権与党の無責任さだ」、山陰「各党は、まずはマニフェストの実現性について明らかにした上で、危機的財政状況を立て直す道筋の詳細な説明や、負担が伴うのであればそのための説得を尽くすべきだ」、日経「首相は参院で過半数割れした場合に、野党に協力を求める考えを明らかにしたが、自民党をはじめ公明党、社民党、みんなの党などは一様に民主党との連携に否定的だ。国政の停滞を招かぬために、各党は政策ごとに協力する部分連合(パーシャル連合)などについての考えもきちんと示してもらいたい」、毎日「選挙後に政党の数合わせ的な合従連衡が行われ、有権者の不信を買うことがあってはならない。新党の進出ラッシュもあり各党の主張が埋没しかねないきらいはあるが、多様な主張は民主、自民両党の政策をチェックするうえでも有力な指標となり得る」。

参院の在り方議論を

《改革忘れず》 陸奥「増税の必要性については国民の理解が徐々に浸透しているようだが、その前に国会議員の定数削減など国会改革や公務員制度改革、事業仕分け、地方分権改革などが必要である」、北海道「『政治とカネ』は鳩山前首相、小沢一郎前幹事長が辞任したからといって決着とはほど遠い。企業・団体献金の廃止を柱とする政治資金規正法の抜本改革が必要である」、読売「前回参院選で第1党になった民主党は、参院で政府提出法案や人事案を否決して、当時の自民、公明連立政権を揺さぶり、政治を混乱に陥れたこともある。参院が政局の行方を左右するようなことがないよう、第二院としては強すぎる権限を見直した方がいいとの意見もある。各政党は参院の在り方も論じ合うべきだ」。(審査室)

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