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2011年 3月8日
「説明」抜きの決着ない

小沢元代表処分と民主党混乱をめぐる社説
対立より国民の予算優先

民主党の常任幹事会は2月22日、政治資金規正法違反で強制起訴された小沢一郎元代表を、裁判の判決確定まで党員資格停止とする処分を正式決定した。処分前に小沢元代表に近い衆院議員16人が会派離脱届を提出し、2011年度予算案を可決した3月1日の衆院本会議を欠席。元代表支持の政務官辞任もあって党内対立は一段と激化、予算執行のための関連法案成立は困難になっている。元代表処分と民主党の混乱を70本を超す社・論説が取り上げた。

首相の退陣論も公然化

《混迷深めた処分》西日本「党倫理規則が定める処分で最も軽い党員資格停止とは合点がいかない。首相は小沢氏との会談で『裁判が終わるまで党を離れてはどうか』と事実上の離党勧告をしたが、小沢氏はこれを突っぱねていた。本来なら除籍(除名)処分を検討すべきなのに、党内対立を恐れて穏便な処分を落としどころとした印象は否めない」、沖縄「この決定は、厳しい処分を求める一部党員や有権者に強い不満を残し、処分に反対する小沢氏サイドの国会議員からも激しい反発を招いた。証人喚問を求める野党も一斉に批判した。状況打開のつもりが、ますます混迷を深める結果になっているのである」、北海道「処分は党として一応のけじめの表れだろう。だが小沢氏は国会での説明という政治責任を果たしていない。今回の処分はあくまで党内手続きであり、政治的な決着とは到底言えない」、朝日「忘れてはならないのが、小沢氏がいまだにこの問題について国会で説明していないことである。小沢氏が事実上、政治倫理審査会への出席を拒んでいる以上、野党が求める証人喚問に、民主党は応じるべきだ」。

《内紛もうごめん》産経「問題は、元代表が首相に揺さぶりをかけ、党内での影響力を保とうとしていることだ。元代表と近い衆院議員16人が会派離脱届を出し、予算の執行に必要な予算関連法案への反対を示唆している。16人は比例代表で選出されている。予算関連法案への対応が党議拘束を受けるのは当然だ。こうしたことを無視して造反する以上、離党すべきだろう」、読売「予算案の採決では、民主党からの会派離脱を求めている衆院議員16人が本会議を欠席した。与党議員としての責任放棄であり、統制が取れない民主党を象徴する事態だ。執行部は1人を党員資格停止、残り15人を厳重注意としたが、こんな甘い処分では、さらなる造反を招きかねない」、毎日「処分をめぐるゴタゴタの間に菅内閣を取り巻く状況は厳しさを増している。予算関連法案のうち特例公債法案などに社民党が反対する方針を決め、衆院再可決で乗り切る道は事実上、閉ざされた。民主党内では首相の退陣と引き換えに予算関連法案の成立を探る動きすら公然化している」、北日本「松木謙公農水政務官が首相の政権運営に抗議するため、鹿野道彦農相に辞表を提出した。(2月)17日に渡辺浩一郎衆院議員ら16人が民主党会派離脱届を提出したが、今回は足元の閣内からの『造反』である。辞任の連鎖が起き、首相退陣論がさらに噴出すればもはや政権の体はなさない」。

マニフェスト見直しも

《首相は決断の時》神戸「処分に不服ならば離党勧告もやむを得ない。野党の証人喚問要求に応じて小沢氏の国会招致も実現させる。菅首相は毅然(きぜん)とした態度でこの問題に真のけじめをつけるべきだ。それでも予算関連法案の成立は見通せない。自民党も含め野党との修正協議の糸口を再度探るしかないだろう」、日経「野党との協議を進めるには、民主党がマニフェスト(政権公約)の見直し作業を加速することが重要だ。小沢元代表を支持するグループは『政権交代の原点』に沿った政策実現を求めているが、財源が無いままの主張は説得力に乏しい」、河北「徹底した党内議論を通じ、一枚岩で対野党交渉に臨まなくてはならない局面である。首相は政治生命を懸けて仲間の説得に当たるべきだ。内輪もめにうつつを抜かしているようでは、下野が現実のものとなるだろう」、中日・東京「民主党が分裂の様相を見せ、公明、社民両党の協力が得られない状況では、関連法案を成立させることはできない。関連法案には赤字国債を発行する特例公債法案も含まれ、成立しなければ四十兆円の歳入欠陥となる。当面はしのげても、いずれ予算執行は行き詰まり、市場は混乱する。打撃を受けるのは国民だ」、京都「かたくなに衆院解散、総選挙を迫る自民党など野党の姿勢もいただけないが、こうした事態を招いた責任の大半は、菅首相と菅政権にある。その自覚が欠けているようにみえる。これからの参院での審議や予算関連法案の議論は、そこからスタートさせる必要がある」。(審査室)

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