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「憲法改正に関する国民投票法案」に対する意見

平成19年1月25日

衆議院日本国憲法に関する調査特別委員会
委員長
中山 太郎 殿

社団法人日本新聞協会
会長 北村 正任

 当協会(全国の新聞・通信・放送138社で構成)は、現在、貴調査特別委員会で審議されている国民投票法案に対し、以下のとおり意見を申し述べます。

 当協会は、昨年4月27日に開かれた貴調査特別委員会で、国民投票制度とメディアの関係をめぐり「原則として広告についても、自由な意見表明、情報流通を阻害するような規制には反対である」旨を表明し、その後、与党と民主党がそれぞれ衆議院に提出した「憲法改正に関する国民投票法案」に対しても、11月30日に衆議院事務局に同様の意見を再度伝えました。当協会は、広告も表現の一形態であるとの立場から、新聞に対するあらゆる法規制に強く反対するものであります。

 12月14日に開かれた貴調査特別委員会で、与党および民主党からそれぞれ「憲法改正に関する国民投票法案」の修正案(要綱)が示されました。与党案では「一般放送事業者等及び新聞社は、国民投票運動のための広告を放送し、又は掲載するに当たっては、料金その他の条件について、憲法改正案に対する賛成の広告又は反対の広告のいずれであっても同等のものとするよう、配慮するものとする」との修正案が、民主党案では「新聞の無料広告枠の規定は、国民投票広報協議会が行う『国民投票公報』で代替できることから削除したい」旨の修正案が表明されました。いずれも新聞の意見広告に関して、原案を変更する内容となっており、当協会が主張してきた「自由な意見表明、情報流通を阻害するような規制には反対である」という趣旨に照らし、決して看過できるものではありません。

 憲法改正案への賛否に関する政党等の広告の扱い、実際の運用にあたっては、法による規制ではなく、各新聞社が長期にわたり培ってきた自主的な基準や判断に任せるべきだと考えます。限られた紙幅・発行頻度で、憲法改正案に対する賛否の意見広告の外形的条件を完全に同等とすることは、現実には不可能ですが、それでも限りなく同等に近づけることは、新聞社の可及的努力によるところが大きいと思われます。「配慮規定」といえども、法的な規制を設けることは、広告を掲載する新聞社を委縮させ、ひいては主権者である国民が公正に判断するための手段を損なうことになります。

 一方、無料広告枠の対象から新聞を外すという民主党の考えは、憲法改正論議の進め方そのものにかかわる重要な問題であります。自由で多様な憲法改正論議を保障するという観点なしに、広く国民的な関心のもとに公正な判断が下されることはあり得ません。

 当協会が実施した「2005年全国メディア・接触評価調査」によれば、新聞に接触している人の割合は9割を超えており、メディア環境が大きく変化している現在でも、新聞が日常生活に欠かせない基幹メディアであることが分かります。全国に張り巡らされた戸別配達網を通じて、日本の新聞は各家庭に深く浸透し、政治・社会・生活などあらゆる分野で、国民が主体的な判断を行うために必要な情報を提供しています。民主党の、新聞広告は有料(私費)のみとする考えは、政党等の資金量の多寡が新聞広告量に直接反映することを意味し、言論の多様性を軽視して国民の公平・公正な判断の機会を奪うことにほかなりません。

 今後の貴調査特別委員会での法案審議にあたっては、国民の知る権利に奉仕し、国民に多様な情報を公正に提供するという点から、十分な審議が行われることを強く要望いたします。

以上

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