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「放送法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等の整備」に関する日本新聞協会メディア開発委員会の意見

2008年2月18日

 マスメディア集中排除原則が制定された1959年には、数多くの人たちにニュースや情報を伝えるメディアの主役は新聞、雑誌、ラジオ、テレビに限られていました。しかし今日では、人々が情報を入手する手段は当時と比べて格段に増えています。ケーブルテレビやBS、CSなどの放送メディアはもとより、インターネットの急速な普及に伴ってパソコンや携帯電話などの通信メディアを通じても、多種多様な情報が世界中で大量に流通しています。加えて、検索エンジンをはじめとする情報通信技術の進展で、必要な情報を簡便かつ瞬時に取り出すことも可能な時代になっています。

 日本新聞協会メディア開発委員会は、こうした言論空間の環境変化を踏まえて、これまで機会あるごとに、マスメディア集中排除原則の緩和を主張し、特に同原則に含まれる「三事業支配の禁止」規定については撤廃するよう、強く求めてきました。

 以上のような経過に沿って、今回の省令案について三点意見を述べます。

 第一に、省令案は同一放送対象地域におけるFMラジオとテレビジョン放送の兼営を認めるものですが、新聞、FM、テレビの同時支配を、新聞、AM、テレビの三事業支配と同様に原則禁止するとしています。前述のとおり、当委員会はこれまで再三、「三事業支配の禁止」規定の撤廃を求めてきました。地域に密着したフリーペーパーの発行部数は今や3億部に迫り、コミュニティーFM局も200局を超え、コミュニティーや生活情報が中心のSNSやブログも隆盛を極めています。こうした中で「三事業支配の禁止」を撤廃したとしても、情報の「多様性」「多元性」「地域性」が損なわれる状況にないのは明らかであり、改めて同規定の撤廃を求めます。

 次に、今回の制度整備案では、電波法改正に伴って「放送局の開設の根本的基準」のうち、いわゆるマスメディア集中排除原則に相当する部分を分離・独立させ、「放送局に係る表現の自由享有基準」という名称の新たな省令を設けることになっています。マスメディア集中排除原則は元来、有限希少な電波資源を使って行う放送事業の施設免許基準として設けられたものであり、行政機関による規制は混信防止など必要最低限にとどめるべきです。憲法で保障されている「表現の自由」を行政機関が規定・管理するかのような名称の省令は、マスメディア集中排除原則をコンテンツ規律の法体系に移行させるための布石ではないかという疑心暗鬼を生じかねません。

 最後に、認定放送持株会社制度の導入は、多額のデジタル化投資負担で地方の地上放送局の経営が圧迫されていることから、グループによる経営統合を新たな選択肢として加えることで、地上放送事業者の経営基盤を強化するのが主要な目的だと理解しています。今回の省令案では、認定放送持株会社が子会社にすることができる地上放送局の数が厳しく制限されるなど、経営統合の効果が期待できるかどうか、疑問を抱かざるを得ません。

 以上、当委員会の意見を反映した省令とすることを要望します。

以上

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