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公式携帯サイトでのNHKのニュース配信開始について

2009年1月29日
社団法人日本新聞協会
メディア開発委員会

 日本放送協会(NHK)が1月の放送総局長会見で明らかにした携帯サイトでのニュースサービス開始は、NHKが本来禁止されている通信社類似の業務を行おうとしていること、受信料で運営されている公共放送のウェブサイトが商業利用されようとしていることなど、きわめて大きな問題をはらんでいる。

 放送総局長会見における今井副総局長の発言要旨を読むと、「携帯サイトでの記事は要約版だが、詳細な記事は、NHK情報ネットワークの有料総合情報サイトで動画を含めて見ることができる」となっている。NHK情報ネットワークがユーザーに有料で提供するニュースはNHKから提供されるものと思われる。とすれば、これはNHKによる番組の「二次利用」ではなく、「第三者への情報提供」ということにほかならない。そもそも、第三者への情報提供については、放送法が制定された1950年の国会論議の中で、政府が「ニュース提供機関というような事業まで進むという考えは持っていない」と答弁、通信社類似の業務を禁止している。従って、NHKは情報ネットワークの有料情報総合サイトにニュース素材を提供することはできない。

 NHKは既に通信キャリアが運営する公式サイトの「TV」ジャンルの中で、「NHKケータイ」という名称のサイトを設けて、番組やアナウンサー、イベントなどの紹介を行っている。総務大臣が認可したNHKのインターネット実施基準では、既放送番組等の提供は「協会のホームページにおいて行うこと」となっている。新聞社や通信社、民放テレビ各社などのニュースサイトをまとめた「ニュース」ジャンルの中に、NHKが新たにニュースサイトを立ち上げるのであれば、これは実施基準に反するものである。また、NHK公式携帯サイトを、営利を目的とする関連会社の有料総合情報サイトへユーザーを誘導する窓口にするのであれば、国民の「特殊な負担金」である受信料を財源として運営されている公共放送サイトの商業利用であり、断じて容認できない。

 NHKが携帯電話向けニュースサービスを行うことについて、新聞協会メディア開発委員会はかねてより反対してきた。なぜなら、携帯電話を使った情報提供サービスは有料課金の環境が比較的整っている分野で、既に多くの民間企業がサービスを展開しており、法的にも収入構造的にも著しく保護されたNHKがこうした分野に無料で参入すれば、民間企業に深刻な打撃を与え、健全な競争市場を混乱させることになるからだ。NHKが2月から始めようとしている公式携帯サイトでのニュース配信サービスは、こうした観点から中止するべきだ。

以上

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