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NHKの次期経営計画案への意見募集に対するメディア開発委員会の意見

2011年9月28日

 NHKの次期経営計画案への意見募集にあたり、日本新聞協会メディア開発委員会(新聞・通信社のデジタルメディア関連部門の役員・局長54社で構成)の意見を述べる。
 今回、公表された意見募集では、7つの質問項目が示されているが、そもそもの意見募集の対象である次期経営計画案の内容が示されていない。さらに「NHK受信料制度等専門調査会」報告書で示されたNHK番組のインターネットへの同時同報、インターネット視聴者からの受信料徴収の問題と次期経営計画の関連も不明である。
 このような段階の意見募集の設定に疑問を感じる。次期経営計画案が公表された際は、再度、意見募集を実施し、視聴者・国民の意見を反映した修正が行われるよう要望する。

「NHK受信料制度等専門調査会」報告書について
 7月12日に「NHK受信料制度等専門調査会」報告書が公表された。また、今回の意見募集には、3.「インターネットを含めた新たなサービスの充実について」との項目がある。これらに対して、メディア開発委員会としての意見を述べる。
 

(1)公共放送としてのNHKの在り方
 NHKは地上波2波、衛星波2波、AM波2波、FM波1波の7波を持ち、NHKが制作した番組にはテレビ、ワンセグ、ひかりテレビ等を通じて多くのアクセス手段が確保されており、公共放送として「あまねく普及義務」を既に十分果たしている。インターネット業務については、無線業務の補完との位置づけであるにもかかわらず、予算の上限は当初から4倍に増えている。さらに、NOD(NHK On Demand)事業や関連子会社を通じての番組配信も含めれば、実質的にはインターネットによる番組到達回路は既に相当程度実現されている。民主主義社会のジャーナリズムは多様で多元的な視点を国民に提起する機能を果たすことが求められる。IT環境の変化とメディア状況の激変という認識があるにしても、唯一の公共放送であるNHKのこれ以上の業務拡大は、民主主義を支える重要な要素である放送の二元体制を崩すことになりかねず、言論の多様性、多元性、地域性を損ないかねない。また、公共放送の在り方は、国によって異なる。当該国のメディア環境やジャーナリズムの歴史によっても、その求められる機能は相当違うものになるはずで、その視点を欠いたまま、諸外国の公共放送局の事例を当てはめようとするのは短兵急と言わざるを得ない。
 

(2)受信料の在り方とインターネット配信
 NHKは公共放送としての使命を実現するために、受信料という安定財源が保障されている。放送のための受信料で成立しているNHKの行うサービス・事業範囲がおのずと限定されるのは当然のことである。ネットの世界に受信料概念を持ち込む可否については受信料支払者による議論が必須であり、なし崩し的に経営計画に盛り込むことは許されない。
 

その他
関連子会社を含めたNHKの経営全般について
 受信料によって制作されたNHKのコンテンツは、NHKを株主とする関連会社によって様々なサービス・商品としても流通している。受信料制度を論議するのであれば、肥大化が指摘されてきたNHKのグループ会社の在り方をめぐる議論も、逃げずに取り組むべきである。受信料還元などの経営委員会の公約も、これ以上の肥大化に対する危惧から出されたものではないか。例えば、NHK関連会社のNHKグローバルメディアサービスでは、NHKニュースの速報、地震情報を放送と同時に携帯端末に送信したり、最新ニュースや趣味・教養などの動画をスマートフォンで視聴できるアプリを提供したりしている。NHKが保有するコンテンツは受信料を払っている国民の共有財産である。こうした営利を目的とした関連会社へのNHK本体からのコンテンツ提供は抑制的であるべきで、その事業内容・規模は、NHKグループ全体として、透明化すべきである。


以 上

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