1. トップページ
  2. 声明・見解
  3. 「『放送ネットワークの強靱化に関する検討会』中間取りまとめ(案)」に対するメディア開発委員会の意見

「『放送ネットワークの強靱化に関する検討会』中間取りまとめ(案)」に対するメディア開発委員会の意見

2013年6月14日

 日本新聞協会メディア開発委員会は、今般総務省「放送ネットワークの強靱化に関する検討会」が取りまとめた標記中間取りまとめに対して、下記の意見を述べる。

 1 放送ネットワークの強靱化
(1)①難聴対策、災害対策としてのラジオ送信所の整備
 当委員会は、メディア環境の激変に伴い、ラジオ局の経営が困難さを増し、将来展望が描きにくくなる中で、V-Low帯の周波数を利用するマルチメディア放送において、アナログラジオのサイマル放送を認め、音声優先セグメントを設けてラジオの役割を維持・発展させる方向性を評価してきた。
 AM放送(中波・短波)やFM放送が、V-Low帯の一部の周波数を利用可能となることは、難聴対策とともに、ラジオ放送を継続していくための方策として理解できる。

4 新たなアイデアによる事業展開の推進
 新たなアイデアを検討すること自体には、反対するものではない。ただし、受信料制度によって支えられ、財政が安定的で規模の大きいNHKの業務範囲の無制限な拡大につながるのであれば、懸念を表明する。情報入手手段や言論の多元性、多様性に影響が及べば、放送ネットワークの強靱化という目的に反することとなるからである。

(1)①インターネットによる海外を含む、より広範囲のコンテンツ配信
 今回の提言は、ラジオを対象としたものと理解している。NHKが実施するにあたっては、①民間放送の取り組みとの調整を十分に図ること、②得られた知見は広く公開し技術的成果の共有を図ること――を求める。

(1)②NHKオンデマンドラジオアーカイブスの実現
 NHKオンデマンドは、いまだ黒字化が達成されておらず、受信料によって賄っている本体予算への影響が懸念される。

 提言では、ラジオドラマ等のラインナップ充実をうたっている。コンテンツの充実が聴取率の向上に資するという考え方は否定するものではないが、どのようなコンテンツが聴取率向上につながるのか、サービスの実現にどれだけの費用が必要で、収支にどのような影響が予想されるか開示されなければ、是非の判断ができない。

(1)③各種インターネットサイトの活用
 NHKによる動画投稿サイト等へのコンテンツ提供も含めた提言であれば、これまでのNHKのインターネット事業をめぐる論議を踏まえ、慎重に行うべきだ。

(2)③ラジオとテレビとの連携強化
 NHKが実施を希望するハイブリッドキャストに対しては、当委員会はこれまで具体的サービス内容が判然としないことから、意見表明を差し控えてきた。NHKによる実施も含めた提言であれば、放送法の基本概念に立ち返り、業務範囲について検討した上で、慎重に行うべきだ。

 以  上

ページの先頭へ