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「平成27~29年度NHK経営計画」策定に向けた意見募集に対するメディア開発委員会の意見

平成26年9月11日

 「平成27~29年度NHK経営計画」策定に向けた意見募集にあたり、日本新聞協会メディア開発委員会(新聞・通信社55社のデジタルメディア関連部門の役員・局長らで構成)の意見を述べる。
 今回の意見募集は、前回(平成24~26年度)の経営計画策定の際と同様に、そもそも意見募集の対象となる経営計画案が示されず、質問項目だけが示された。当委員会は前回、このような形での意見募集に疑問を呈して是正を求めた。にもかかわらず、今回再び同じ形式で意見募集が行われることは遺憾である。当委員会は、経営計画案がまとまった時点で再度意見募集を実施し、視聴者・国民の意見をくみ取って修正を行うよう改めて求める。放送法の理念を実現し、視聴者の信頼を確保する具体策を計画に盛り込むべきと考えるが、経営計画案が明らかになった時点で内容を精査し、しかるべき時期に意見を表明したい。
 経営計画案は示されていないが、籾井勝人会長は夏以降、報道各社のインタビューで経営計画の方向性について言及している。それも踏まえ、下記の諸点について実際の経営計画案がどのような内容になるのか、当委員会は注視している。

新たなサービスの充実(放送と通信の融合)について

 籾井会長は、放送と通信の融合を進め、現在放送法で制限されている放送と同時のインターネット送信を行えるよう法改正を求める考えを表明。同時再送信に伴って、ネット視聴者への課金など受信料制度の見直しも行う方針を明らかにしている。経営計画案で実際にどう打ち出すのか。受信料で成り立つ公共放送の在り方にかかわる問題であるばかりでなく、NHKとともに日本の放送を支える民間放送局をはじめメディア全体に影響を与える問題でもあることから、国民的な議論を行うべき重要な問題である。

国際発信の強化について

 国際放送を強化するとした上で、財源として将来的に広告収入も視野に入れる考えを籾井会長は示している。強化の具体策や、財源の確保策についてどう打ち出すのか。公共放送と民間放送という「放送の二元体制」に影響を及ぼす問題をはらんでおり、十分な議論が必要である。

経営改革について

 民間企業を経営してきた経験を生かしてNHKの経営改革に乗り出す考えを示しているが、具体策はどのようなものなのか。たとえば、会長の諮問機関「NHK関連団体ガバナンス調査委員会」が8月26日、「NHK関連団体ガバナンス根本的解決策についての提言」をまとめているが、これをどのように経営計画案に生かすのか。提言を公表した上で対応を明らかにするなど、透明性を拡大すべきだ。

その他

 籾井会長は、高画質の8K放送の開発に関連して、8Kの医療技術への応用に注目し、関連会社を活用して医療分野に進出する可能性を示唆している。経営計画案でどこまで踏み込むのか。公共放送として営利分野にどこまでかかわるのが妥当なのか、議論を尽くす必要がある。

 以 上

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