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「個人情報保護基本法制に関する大綱案」に対する共同声明

日本新聞協会
日本民間放送連盟
日本放送協会

日本新聞協会、日本民間放送連盟、日本放送協会の新聞・通信・放送314社は政府の個人情報保護法制化専門委員会がまとめた「個人情報保護基本法制に関する大綱案(中間整理)」〈以下、大綱案〉に対して以下のように共同の見解を表明する。

 情報通信の高度利用が急速に進むなかで、民間部門においても個人情報保護システムの早期の確立が求められている。大綱案はその一歩であり、関係者の努力に敬意を表したい。ただし、個人情報保護の法制化にあたっては憲法の保障する「表現の自由」を損なわない配慮が不可欠である。表現の自由の中核をなす「報道の自由」は国民の知る権利に奉仕するもので、基本的人権のなかでも重要な権利である。大綱案にはその点の配慮が欠けており、この方向で法制化が進むことに大きな危ぐを抱かざるを得ない。

 大綱案は個人情報の取り扱いに関して「利用目的による制限」や「透明性の確保」など5つの基本原則を示し、「事業者が遵守すべき事項」として「個人情報の利用目的、利用方法等の公表」や「保有する個人情報の本人に対する開示」など11項目の規律を掲げた。この原則と規律からなる基本法を、個人情報を扱う民間のすべての事業者を対象に制定しようとする内容である。

 そのうえで、「適用対象範囲」は「規律ごとに情報の性格等に即して」検討し、「表現の自由、学問の自由等に十分留意する」と付記している。これは「表現の自由」に関する分野も例外なく基本原則の適用対象とし、各規律については個別に適用を除外するかどうかを検討しようとする考え方である。

 各規律が報道分野に適用されると、取材報道、番組制作の過程への不当な干渉を許す懸念が生じることは言うまでもなく、基本原則の順守を要請されるならば取材報道活動の委縮は避けられない。情報提供者と取材側の信頼関係を十分に確保することが困難になり、取材源の秘匿という報道の根幹を崩してしまう恐れも強まる。

 また、大綱案は政府に調査権を与え、報道機関が報道のために収集した個人情報をその調査対象にする可能性を残している点も容認できない。報道はその使命を全うするために公権力からの独立が守られていなければならない。

 「表現の自由」への配慮を欠く法制化の結果、正確な情報に基づく報道が実現されないことになった場合には、国民の「知る権利」は十分に満たされないことになる。そのような事態にならないように、我々は報道に関する個人情報を基本法の適用の対象外にすることを強く主張する。

以上

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