個人情報保護法の全面施行にあたっての見解

2005年1月19日
日本新聞協会編集委員会

 「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)が4月から全面的に施行される。

 われわれは、これまで一貫して、個人情報保護の重要性を指摘するとともに、表現の自由、報道の自由が損なわれることのないよう主張してきた。個人情報保護法は、報道・著述分野などについて義務規定の適用を除外しており、われわれは、個人情報を取り扱ううえで適切な措置を自主的に講じていく。当然ながら、法の運用にあたっては報道の自由が狭められることがあってはならない。

 報道の自由は、国民の「知る権利」に応えるために存し、憲法が基本的人権として保障する「表現の自由」の中核を成している。多様な理念や価値を認める民主主義社会の下では、時として、相異なる理念同士がぶつかり、報道の自由と個人情報の保護も、そうした関係になることが起こり得よう。そのとき、国民の信頼と理解が得られる接点を、われわれは自らの努力で見いだし、解決していく決意である。

 報道の責務を果たすためには、高い使命感と記者倫理が求められる。新聞倫理綱領は「自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない」と前置きして、「人間の尊厳に最高の敬意を払い、個人の名誉を重んじプライバシーに配慮する」ことを掲げている。この綱領を踏まえ、報道倫理に基づいて自律的に個人情報を取り扱っていく考えである。

以上

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