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「特定秘密の保護に関する法律案」に対する意見書

 政府が国会への提出を準備している特定秘密保護法案に対し、日本新聞協会の意見を表明する。

 日本新聞協会は2011年11月、当時の民主党政権が検討を進めていた「秘密保全法制」の整備に対して反対の意見を表明した。その理由として、保全すべき秘密の範囲が恣意的に広がる恐れや、厳罰を恐れた公務員らが報道機関の取材に応じなくなる可能性を指摘し、「国民の知る権利」や取材・報道の自由を阻害しかねないことを挙げた。このほど政府は、当時の法制の流れをくむものとして特定秘密保護法案の概要を公表したが、われわれの懸念が払拭されたとは言いがたい。

 法案概要では「防衛」「外交」「安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4分野のうち、国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあり、秘匿の必要性が特に高い情報を行政機関の長が「特定秘密」に指定し、どのような事項が該当するのかは法案の別表に限定して列記している。だが、何が特定秘密に当たるかをチェックする仕組みがないうえ、別表の規定は抽象的な表現にとどまっており、政府・行政機関にとって不都合な情報を恣意的に指定したり、国民に必要な情報まで秘匿したりする手段に使われる疑念は依然として残る。対象範囲をより明確化する必要がある。

 厳罰化の影響への懸念も消えない。特定秘密の漏えいに対する10年以下の懲役は、国家公務員法、地方公務員法の1年以下、自衛隊法の5年以下の懲役よりも重く、公務員らの情報公開に対する姿勢を過度に萎縮させはしないか、という疑念は残る。個人情報保護法の全面施行によって、社会の存立に不可欠な情報の流通まで阻害される事態がすでに起きているが、法案による厳罰化はそうした事態に拍車をかける恐れもある。さらに特定秘密の漏えい、取得を働きかける行為も処罰対象として残されており、報道機関の正当な取材が運用次第では漏えいの「教唆」「そそのかし」と判断され、罪に問われかねないという懸念はなくならない。取材・報道の自由は侵害しないとの明文規定を盛り込むべきだ。

 法案には拡大解釈によって基本的人権を不当に侵害してはならないとの規定を設けるとしているが、「不当に」の範囲が不明確で、それが担保される保証はなく、政府や行政機関の運用次第で、憲法が保障する取材・報道の自由が制約されかねない。結果として、民主主義の根幹である「国民の知る権利」が損なわれる恐れがある。その点に関して強い危惧を表明する。

                                                      以   上

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