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記者クラブに関する協会見解
記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解
(1997年12月11日 第565回編集委員会)
日本新聞協会編集委員会は、これまで数次にわたって「記者クラブ」に関する方針・統一解釈を示してきたが、ここに新たな「見解」をとりまとめた。全国の記者クラブが、これを基本的指針として運用するよう望むものである。
国民の「知る権利」概念の定着、公的機関の情報公開原則の徹底、電子メディア時代の到来など、報道をめぐる環境はめざましい変化を遂げつつある。編集委員会が新見解を策定したのは、そうした時代背景を踏まえ、国民一般の報道に対する信頼を確保していくうえで、報道側の自律的な改革が必要であるという厳しい認識に基づいている。
記者クラブは「言論・報道の自由」を確立していくため、一世紀を超える歴史的経緯を経て、日本の報道界が培ってきた取材・報道システムである。報道機関は国民の知る権利に応える重要な責務を帯びており、一方、公的機関は国民への積極的な情報開示義務と説明責任(アカウンタビリティー)を有していると考える。記者クラブは、そうした報道機関側と公的機関側のそれぞれが担う重要な役割が重なり合う部分に位置している。
記者クラブは可能な限り「開かれた存在」であるべきであって、その構成員は互いの自由な取材を妨げてはならず、また、記者クラブに属さないメディア、記者の取材活動を阻害してはならない。
この見解は主として公的機関における記者クラブのあり方についてまとめたものだが、民間団体などの記者クラブにおいても、これを準用することとする。
われわれは記者クラブに対する国民の理解と信頼を維持していくために、この新見解に基づき、報道倫理を保持し、さらなる自己革新をはかっていく決意である。
以下、記者クラブに関する新たな見解を示し、記者クラブのより機能的かつ適正な運営をはかることとしたい。
1. 性格、目的など
記者クラブは、公的機関などを取材対象とする報道機関に所属し、その編集責任者の承認を得て派遣された記者によって構成される組織である。公的機関が保有する情報へのアクセスを容易にする「取材拠点」として、機能的な取材・報道活動を可能にし、国民にニュースを的確、迅速に伝えることを目的とする。その運営は構成員が自主的に行う。
2. 組織、構成員など
記者クラブは日本新聞協会加盟社およびこれに準ずる報道機関から派遣された記者によって構成される。在日外国報道協会加盟社など外国報道機関も同様に扱うものとする。ただし、記者クラブへの参加形態は、常駐、非常駐、オブザーバー加盟など、それぞれの記者クラブの事情に応じて弾力的に運用されることを妨げない。記者クラブへの加盟をめぐって疑義が生じ、当該記者クラブで解決できない場合は編集委員会で取り扱うものとする。
記者クラブは可能な限り「開かれた存在」であるべきであり、一部報道機関の特権ではない。したがって、記者クラブに加盟していない記者、報道機関の取材・報道活動を阻害してはならない。公的機関側も、記者クラブへの加盟・非加盟を理由に情報提供を操作するなどの行為はしてはならないと考える。
3. 調整機能
記者クラブは自由な取材・報道活動を基本としつつ、一定の範囲内で調整機能を持つことが認められる。しかし、調整の目的は誘拐事件などでの人命・人権の擁護、国民へのより質の高い情報の提供など合理的な理由のある場合に限定し、その範囲を拡大したり、乱用してはならない。
(1)報道協定
記者クラブは安易に報道協定を結ぶことによって構成員の自由な取材・競争を妨げてはならない。ただ、人命・人権にかかわることがら、記事化に相当の時間を要する発表事項、大量の名簿・データ類などについては協定を認める。協定は、新聞協会編集委員会が承認するもののほかは、クラブの総意に基づき、加盟各社の責任者の了解によって成立する。解禁時間を含め、一社でも反対すれば協定は成立しない。
(2)記者会見
公的機関の記者クラブがかかわる記者会見は、原則としてクラブ側が主催する。クラブ構成員以外から出席を求められた場合、認めるかどうかはクラブ総会などで決める。
(3)紛争処理
協定行為にかかわる違反などの処理は、クラブ総会で決めることとする。
なお、記者クラブで自主的に処理できなかったり、被処分者が不服を申し立てたりした場合は、記者クラブ加盟各社の編集幹部で構成される特別委員会で処理する。
4. 記者室
各公的機関は、国民に対し積極的に情報公開と説明責任を果たすべき使命を有しており、当該公的機関で常時取材する記者の活動に資するため、記者室を設けている。記者室は、ニュースを的確、迅速に報道するためのワーキングルームであり、記者クラブは、記者室を活用し、知る権利に応える任務の遂行をはかるべきである。取材、送稿のための施設である記者室と、取材記者の組織である記者クラブとは、あくまで別個の存在である。組織としての記者クラブは、会費によって運営されるもので、取材源からは特別な形で、いわゆる便宜供与を受けるべきではない。
以上
解説
記者クラブは明治時代に権力側に対し報道機関側が情報開示を求め、取材の便宜をはかる場を要求したことに始まる。その後、戦時統制を経て戦後の占領体制下で記者の「親睦・社交」組織として再出発、今日の記者クラブの原型となった。
新聞協会編集委員会は昭和24年(1949年)以来、数次にわたって記者クラブに関する方針、統一解釈を示してきたが、昭和53年(1978年)の「見解」(その後一部修正)が現在の記者クラブのあり方を規定するよりどころとなっている。
以来、20年近くを経て、報道界をめぐる状況は激変した。国民の知る権利概念が定着、報道機関はその期待に応えていく重要な責務を帯び、国民の信頼を維持していくために不断の努力が求められている。一方で、情報公開制度の法制化の動きなどにみられるように、公的機関には可能な限りの情報を開示する姿勢と説明責任が必要とされるに至った。また、報道機関の多様化、報道内容の高度化が一段と進み、電子メディアの登場など報道現場も大きく変わりつつある。
知る権利と情報公開の接点に位置するのが、まさに記者クラブであるといって過言ではない。しかし、こうした報道界をめぐる情勢変化のなかで、現在の記者クラブに関する見解は現実とのかい離が生じ、種々の問題も発生している。ジャーナリズム一般に対する国民の目も一段と厳しくなり、記者クラブに対する批判も出ている。
こうした現状認識を踏まえ、報道界に対する国民の信頼を維持し、記者クラブへの理解を深めるため、編集委員会は「記者クラブ問題小委員会」を設置して、記者クラブの位置づけをはじめ総合的な見直しを行った。記者クラブに対する「閉鎖性」「横並び体質」「特権意識」など一般の批判にも謙虚に耳を傾けた。その結果、記者クラブを「取材・報道システム」としてより積極的かつ前向きに位置づけるべきであるという結論に達したものである。
財界や業界団体をはじめ、公的色彩の強い組織などに設置されるいわゆる民間記者クラブも、当見解に準じた対応をはかることが望ましい。文化、芸能、スポーツ関係などの記者クラブについても、当見解の趣旨を踏まえて運営に当たることを望むものである。
1. 性格、目的など
記者クラブの性格については、過去、幾多の議論の変遷があった。昭和24年(1949年)10月の「記者クラブに関する新聞協会の方針」では、「記者クラブは各公共機関に配属された記者の有志が相集まり、親睦社交を目的として組織するものとし、取材上の問題には一切関与せぬこととする」と定められた。この基本的な見解については、その後の論議を経て、昭和53年(1978年)10月の「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」で「記者クラブは各公共機関を取材する報道各社の有志が、所属各社の編集責任者の承認を得て組織するもので、その目的はこれを構成する記者が、日常の取材活動を通じて相互の啓発と親睦をはかることにある」と変更された。「親睦・社交」から「啓発・親睦」へと性格づけが一部変わったのは、従来の方針を踏まえながらも、記者クラブ活動の実態面をより考慮したものとされた。
今回の新見解では、これをさらに進め、「取材のための組織」と位置づけた。これは「親睦組織」という性格づけでは、記者クラブの実態にそぐわないという判断に基づく。現実の記者クラブは、取材・報道活動を通じて一定の調整機能を有している。むろん、親睦・啓発という側面があることは否定しないが、記者クラブの性格をそこに限定したことで、さまざまな問題点が生じるに至った。例えば、公的機関側が記者クラブに庁舎の一部スペースを提供していることや、記者クラブで報道協定その他の取り決めを結ぶことなどについて、親睦組織という観点だけでは国民の理解を得るのは難しい。こうした事情から、より実態に即して「取材拠点」であることを明確にした。
2. 組織、構成員など
この見解は日本新聞協会編集委員会がとりまとめたものである以上、記者クラブの構成について、新聞協会加盟の新聞、通信、放送各社を中心に定義づけることは妥当なものと考える。ただし、個々の記者クラブにはさまざまな事情もあり、現状からしても、新聞協会加盟社のみに限定することは非現実的である。したがって、新聞協会加盟社およびこれに準ずる報道機関とした。
外国報道機関については、すでに過去の見解にも盛り込まれている通り、報道の自由、国際的な相互主義の観点から、記者クラブへの加盟を原則として認めるべきである。この場合、記者クラブへの入会を認める基準としては、①外務省発行の外国記者証を保有する記者であること②日本新聞協会加盟社と同様の、またはそれに準ずる報道業務を営む外国報道機関の記者であること─の2条件を満たしていることが望ましい。
記者クラブの「閉鎖性」については、とかく指摘される課題であり、あえてここで「開かれた存在」に言及した。記者クラブの性格、構成などに関してはすでに触れた通りだが、いうまでもなく記者クラブは当該公的機関を取材、報道する唯一の存在ではなく、開放性は記者クラブと公的機関の双方に求められている。記者クラブは加盟社以外のメディアの取材活動をいかなる理由によっても阻害してはならない。また、加盟社であっても記者クラブ構成員でないという理由で取材規制を行うことも認められない。
記者クラブ加盟社以外のメディアが当該公的機関を取材しようとして何らかの問題が生じた場合は、そのメディアが公的機関との間で折衝、解決すべきものと考える。むろん、記者クラブはそうした交渉に干渉する立場にはない。
(注)日本新聞協会定款および施行細則によると、協会加盟資格は、新聞の場合、(1)一般時事またはスポーツに関するニュースを報道(2)紙面内容が新聞倫理綱領に合致し品位を保持(3)週6日以上発行(4)4ページ以上(5)発行部数1万部以上、通信は一般時事に関するニュースを週6日以上配布し協会会員相当数と通信契約を行っている、放送は一般時事に関するニュースを報道し公共的性格を有する―などとなっている。
3. 調整機能
記者クラブにおいても、報道は自由競争が基本であることはいうまでもない。しかし、公的機関などから事前に説明を受け、ある日時が来るのを待って公にするなどの「調整機能」が一切認められないわけではない。誘拐事件など人命・人権にかかわるケースはいうまでもないが、それ以外にも、直ちに報道するよりは、十分な準備のもとに正確でわかりやすい報道がなされるほうが、情報の受け手である国民にとってメリットが大きい場合があると考えるからである。
(1)報道協定
事前発表による報道協定が許されるケースとしては、ことがらが複雑多岐にわたり内容の理解や分析に時間を要するもの、事前の補足取材によって報道に肉付けすべきもの、取材が不十分のまま報道するとむしろ弊害があるような場合が考えられる。新聞協会が各社間協定として正式に認めている叙位・叙勲、文化勲章・文化功労者などはこれに当たる。ただ、これはあくまで限定的に適用すべきものであり、記者クラブ構成員および加盟各社責任者は、本来事前協定の対象にすべきでないものまで協定(いわゆる黒板協定)に持ち込み、自由な報道を妨げることのないよう厳しく自戒する必要がある。
なお、取材源側は自由な取材・報道の規制につながる報道自粛要請、協定締結の申し入れなどを安易にしてはならないと考える。
事前発表がなされたものの解禁時間は、自動的に決まる場合(閣議や会合終了後など)と、ある日時を期して公表されるもの(叙位・叙勲・褒章、人事、名簿、通知など)がある。それ以外のニュースについて解禁時間を設けて報道規制することはあってはならない。
なお、解禁時間をどう定めるかは、新聞と放送各社間に基本的な見解の相違があり、記者クラブで紛争になった事例も少なくない。その中で、昭和60年(1985年)に中国残留孤児訪日調査団名簿発表をめぐって厚生記者会で起きた紛争は、新聞協会に処理がゆだねられ、社会部長レベルの特別委員会が翌年1月に合意に達した。しかし、この決定は厚生記者会に限ってのものとされ、当時の編集委員会の協議では、他の記者クラブにも適用すべき一般原則とするかどうかで意見の一致をみるに至らなかった(参考資料参照)。
(2)記者会見
記者会見は、公的機関の恣意的な設定にゆだねず、記者クラブが主催して行うべきである。この場合、公的機関側との事前調整を妨げないことはいうまでもない。また、記者クラブ構成員以外から会見への出席を求められた場合、正当な理由なしに排除することのないよう、開放性にも配慮すべきである。
(3)紛争処理
昭和45年(1970年)の編集委員会決定は「各社間協定に対する違反および取材報道上の原因で生じた紛争等は、クラブ加盟各社幹部で構成される特別委員会で処理する。特別委員会の構成および運営は別記の基準による」「特別委員会の決定に異議があるときは、当該社から編集委員会幹事会に異議申し立てを行うことができる。幹事会がこの申し立てを審議し、決定が下されるまでは、特別委員会の決定は有効である」と取り決めた。この紛争処理のルールは、今後も維持していくべきものと考える。
(注)特別委員会の構成、運営に関する基準は次の通りである。
1 構成
特別委員会は各記者クラブ加盟社の主管部長または支局長以上の編集幹部によって構成する。
クラブ加盟社が多数の場合などで、加盟全社の幹部により特別委員会を編成することが困難であれば、互選により特別委員会委員を限定することができる。
2 招集
記者クラブに協定違反その他取材・報道上の原因で紛争が生じた場合は、クラブ幹事または必要に応じクラブ員が自社の編集幹部を通じて特別委員会に報告することとする。
当該クラブ幹事社の特別委員会委員は事件の処理について協議のうえ必要と認めた場合は、各委員を招集し、特別委員会を開催する。ただし、あらかじめ特別委員会幹事が決まっている場合は、同幹事が特別委員会を招集する。
3 審理
特別委員会は委員総数の過半数の出席によって成立し、議決には出席者の3分の2以上の賛成を要する。
審理に当たっては、当事者から直接事情を聴取したうえで、措置を決定する。
4 本規定の運用
この規定の解釈、運用に疑義を生じた場合は、編集委員会で審議決定する。
4. 記者室
この項は、記者クラブが日常利用している記者室について述べたものである。報道機関には、ニュースの迅速な伝達が求められていると同時に、ニュースの多面的、多角的な補強取材や、その後の系統的なフォローも課せられており、取材記者がこれらの任務を遂行するには、取材源である各公的機関内に、執務のほか待機のためのスペースが必要である。
主要な公的機関が報道機関に、記者室を無償で提供することは、世界各国で行われている。わが国でも、日本新聞協会は昭和24年(1949年)10月、「新聞記事取材上必要な各公共機関は記者室を作り電話、机、椅子など記事執筆、送稿などに必要な施設を設け全新聞社に無償かつ自由に利用させることとする」という方針を打ち出し、記者室の必要性を明らかにしている。
また、政府は昭和33年(1958年)1月の大蔵省管財局長通達で、新聞記者室は国の庁舎の目的外使用には当たらない、とする判断を示しており、現在、公的機関の多くは、記者室を情報提供、広報業務の場としてとらえ、記者室に記者会見場が併設されている公的機関も少なくない。
情報開示義務を負う公的機関は、近年新たに、説明責任の重要性を認識し、実行することも要求されているが、その一方で各公的機関には、公開される情報ばかりでなく、秘匿された情報が多数に上ることも事実である。したがって、報道する側が、公的機関の内部で粘り強い取材活動を継続し、これら秘匿された情報を発掘して報道することは、知る権利に応え、さらに報道機関として公的機関に対するチェック機能を果たす意義にも結びつくと確信する。
こうした点から、目的意識を持って常時取材する報道機関の記者に対し、日常活動に資するうえから、各公的機関は一定の広さの施設を無償で提供しており、報道機関側も公的機関にそれを要求できると考える。
ただし、日本では多年の慣行から、公的機関内にある現在の記者室は、記者クラブ加盟社によってほぼ専有使用されており、このため、施設である記者室が、組織である記者クラブと混同されて論じられたりもしている。
記者クラブが記者室を専用している慣行は、記者室の広さの問題、公的機関と報道機関との取材をめぐる歴史的経緯など、種々の理由から生じたもので、現在直ちにこれを改めることは極めて困難である。しかし、将来は、公的機関側がプレスサービスのための体制を整備することなどによって、現在の慣行が実態として改善されていくことが望まれる。
例えば、記者クラブの備品、職員配置などの便宜供与については、過当なものがないかどうかを常に留意し、過当なものはこれを正していかなければならない。
記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解(旧)
(1978・10・14第355回編集委員会決定)
(1985・9・3第431回編集委員会一部修正)
(1993・6・10第516回編集委員会一部修正)
日本新聞協会編集委員会は、昭和二十四年以来、数次にわたって記者クラブに関する方針ならびに統一解釈を示し、全国の記者クラブが、これをよりどころとして円滑に運営されるよう報道界の協力を求めてきた。
しかし、近年、情報メディアが著しく多様化し、報道界を取り巻く環境が変容の度を深めているところから、従来の方針、統一解釈のみでは、クラブ運営の基準として十分な実効を期しえない状況も生じているかにおもわれる。
よって、編集委員会は今回あらたに記者クラブに関して、以下の見解を明らかにして従来の基準を補正し、記者クラブ制度のより現実的かつより適正な運営を期することとした。
記
一、記者クラブは各公共機関を取材する報道各社の有志が、所属各社の編集責任者の承認を得て組織するもので、その目的はこれを構成する記者が、日常の取材活動を通じて相互の啓発と親睦をはかることにある。
二、記者クラブは取材記者の組織であることから、取材活動の円滑化をはかるため、若干の調整的役割を果たすことが認められる。ただし、この調整機能が拡大もしくは乱用されることのないよう厳に注意すべきである。
三、記者クラブの調整機能のひとつとしてのニュース協定については、「各社間協定以外の出先だけの協定は認めない」という昭和三十七年七月の方針、および協定行為に付随する違反・紛争処理等を定めた昭和四十五年十一月の方針を改めて確認する。
これにより、記者クラブに所属する記者は当該クラブに加盟する他社の自由な取材、報道活動を尊重し、いやしくもその行動を阻害もしくは規制するかのような協定・申し合わせ等を行うべきではない。
四、取材源である各公共機関は、記者クラブ加盟社の記者であると否とにかかわらず、取材活動を行うあらゆるメディアの記者に対して、正確な情報を提供することがその責務であると考える。この場合、記者クラブは、クラブ加盟社以外の報道機関と当該取材源との間における取材上の問題について影響力を行使する立場にはない。
五、同行取材については、昭和三十七年一月、および昭和四十一年五月に示した「同行取材に関する編集委員会の方針」を再確認し、今後とも必要不可欠の場合のほかはできるだけ自粛すべきである。
重要な同行取材(たとえば首相もしくはこれに準ずる要人の海外訪問など)で、記者クラブ加盟社以外の報道機関から同行の希望が出た場合、事情の許す限り、これが認められることがのぞましい。
六、記者クラブは、参入を希望する外国報道機関の記者については、原則として正会員の資格でクラブへの加入を認めるべきである。公式、非公式記者会見への出席はもとより、取材源への公正かつ平等なアクセスを妨げてはならない。(この場合、外国報道機関の記者とは、外務省発行の外国記者証を持ち、日本新聞協会加盟社に準ずる報道業務を営む報道機関の記者とする)
七、各公共機関は記者室に、什器、備品、電話等を備えて取材・送稿の便宜をはかっている。これらの便宜供与は、当該公共機関を常時取材する記者の活動に対して行われているもので、記者クラブの組織に対するものではない。組織としての記者クラブは会費によって運営されるもので、取材源からはいかなる形においても特別の便宜供与を受けてはならない。
また、取材活動に対する便宜供与といえども、必要最小限にとどめるべきであり、これが過度にわたり、報道機関に対する信頼をそこなうことのないよう留意すべきである。
記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解第六項の解説
外国報道機関の記者の入会を認めるか否かは、基本的には各記者クラブが自主的に判断するものであるが、報道の自由の原則に照らし、また、国際的な相互主義の観点から、クラブへの正式加入を認めるべきである。これを踏まえて実際に外国報道機関の記者のクラブへの入会を認める際の基準としては、(1)外務省発行の外国記者証を保有する記者であること、(2)日本新聞協会加盟社と同様の、またはそれに準ずる報道業務を営む外国報道機関の記者であること、の二つの条件を満たしていることが望ましい。
外国の国営の報道機関や政党機関紙については、相手国でのわが国報道機関への処遇や協力・支援などに対する互恵・相互主義を、とくに勘案すべきである。また、個々の報道機関の国際性、その国における地位や役割なども上記2条件に加えて考慮することも必要である。外国の雑誌については、ニュース報道を第一義とし、日本の新聞に準ずる報道を行い、国際的に活動しているものについては特別の配慮をすべきであろう。
これら一定の条件を満たした外国報道機関の記者に対しては、できるだけ日本の新聞・放送・通信社の記者と変わりのない活動ができることが望ましい。しかしながら、外国報道機関の記者が正式にクラブ会員になったとしても、常勤記者が輪番で務めるクラブ幹事の業務を果たすことは現実的に困難であると思われる。したがって正会員として加入を認めても、通常は非常駐・非常勤会員の形が予想される。この場合でも、公式、非公式を問わず記者会見への出席や報道資料の入手など、ニュース・ソースへの公正で平等かつ同時的なアクセスが可能となるよう、取材の便宜をはかるべきである。また定例でない緊急記者会見等の連絡については、状況に応じてクラブ幹事がニュース・ソースに働きかけることも必要であろう。
以上
