<広告の狙い・内容>
東日本大震災で岩手の人々が受けた悲しみと後悔の思いを風化させたくない。あの日、多くの人々が知った「今日と同じ明日が来ることは当たり前のことではない」ということを語り継いでいきたい。3月11日を「大切な人を想う日」とするために署名を呼び掛けるキャンペーンは、震災で被災した人や震災に関係している人だけではなく、全国すべての人に関係のある日とすることで、悲しみと教訓を永遠に語り継いでいきたいと企画しました。
いまだ仮設住宅に暮らす人々や犠牲になった方や行方不明者のご家族を思い、悲しみの中にいる人々が多くいる中で、一過性の話題づくりのためのものとしない、小さくても息の長い活動とすることを目指しています。
この企画では、2017年3月11日に掲載した詩「最後だとわかっていたなら」を18年、19年と3年連続で掲載しています。18年3月11日から始めた署名活動は、特設サイト(
https://www.iwate-np.co.jp/content/taisetunahito-omouhi/)にて継続中です。新聞広告と合わせて、テレビCM、ウェブ動画やウェブサイト、SNSを連動させました。30段で始めた企画には、賛同いただく協賛社が増え続け207社となり、スペースは60段となりました。
フロント面の全15段(①)は、「おもかげ復元師」とよばれる笹原留似子さんと、笹原さんがご遺体を復元した女子高生の村上華さんの話を掲載しました。笹原さんは、震災で傷ついたご遺体をボランティアで300体以上復元して家族と対面させ、納棺しています。紙面では、華さんのご遺体を修復する笹原さんの思い、華さんを前にした母親のあふれ出す悲しみを、遺影や納棺の写真とともに「明日何が起こるのか、わたしたちは知ることはできない。」というコピーで表現しました。
中面の全30段(②)は笹原さんが遺体と交わした会話をつづった文章とイラストを掲載。さらに「今日3月11日を、いまそばにいる大切な人を想う日に。」と訴えました。
終面全15段(③)ではいまも毎月続けられている岩手県警による行方不明者捜索の写真に詩「最後だとわかっていたなら」を重ねながら、署名を呼びかけました。
<反響・効果>
広告掲載後、「今朝の岩手日報を読んで体内の水分と塩分がだいぶ抜けた」「私にとっての3月11日は『大切な人を想う日』。それから、毎日を大切に、丁寧に生きようと日々を振り返り、気持ちを新たにする日」「今日の14:46。この文章を読んでから迎えてみませんか?」「イラストのページはちょっと平常心ではいられないくらい心がかき乱された。機会があれば、ぜひ実際に手にとって見ていただきたい広告だ」「明日後悔しないために、今日を大事にしたい。感謝を忘れず」「もし岩手日報を手に入れる事が出来る方は手に入れてほしい。復元師の方の記事を読んでほしい」「姉ちゃんもこの方に奇麗にしていただいた。お化粧しながらたくさん話しかけてくれた」「華ちゃんだ。たしかうちらの同級生、亡くなったの26人くらいだったよね」など、たくさんの反響がありました。
署名活動には、19年4月末現在で約1万8000人の方から賛同を得ています。たくさんの方々から寄せられた想いを受け止め、この企画を続けていきたいと考えています。