禁煙からは程遠いイメージを持つ「舘ひろし」さんを起用
「お医者さんと禁煙しよう」キャンペーンは、2010年3月よりスタートした。製薬会社の場合、いかに患者様に疾患を知っていただくかが、DTC(Direct To Consumer)マーケティングの大きな役割になる。タバコをやめたくてもやめられない──これは、「ニコチン依存症」という病気だ。現在、「ニコチン依存症」は健康保険などを使って医療機関で治療することができる。この「禁煙治療」をどのようにすれば多くの方に伝えられるのか?ということで、タバコが似合う有名人である舘ひろしさんを起用し、実際に禁煙治療を受けていただいた。テレビCMでは、舘さんが初めて禁煙治療に行く「受付に来た男編」から始まり、続く「診察1回目編」以降の禁煙治療の様子はウェブで動画を公開し、秋には「禁煙に成功した男編」を放映した。一連のキャンペーンは、「あの舘さんが禁煙した」ということで、大きな反響を呼んだ。
2011年は「舘さんに続け!」の「軍団禁煙」
2011年は、2010年の舘ひろしさんによるキャンペーンを進化させ、「軍団禁煙」というコンセプトが生まれた。「さらに若い層にターゲットを広げる」、「1人よりも仲間と一緒に禁煙する」という要素を入れ込みながら、実際に舘ひろしさんが所属する石原プロモーションの30代若手俳優4人(石原軍団)の方々が「禁煙宣言」をし、治療を受けておられる。
このキャンペーンは、テレビCMの放映とウェブサイト「すぐ禁煙.jp」と新聞広告を連動させている。新聞広告とテレビCMを通してできるだけ多くの患者様とそのご家族の方に疾患を知っていただき、あわせてウェブサイトで「禁煙治療」の詳しい情報と石原軍団が禁煙治療を受けている様子を見ていただけるようにする事で、「禁煙治療」を認知・理解いただき、興味を持っていただくことを目的としている。
「禁煙デー」広告
特に、年間を通して禁煙をする良いきっかけとなる「世界禁煙デー」のタイミングでは、テレビCM放映をピークに持っていくとともに、全国紙と地方紙に新聞広告を掲載した。特に新聞広告は、「世界禁煙デー」特別バージョンとしてセンター部分に世界禁煙デーにちなんだメッセージを入れた。喫煙によって疾患になり死亡にまで至ってしまう悲劇を少しでもなくしたい、東日本大震災で「いのちの大切さ」を実感した今だからこそ、声を大にして伝えたい、という思いをこめたコピーだ。「きょうは、世界禁煙デーです。いのちの大切さを改めて考えさせられたこの春、自分のいのちのためにできることをいまこそ」。ここで、コピーの「いまこそ」を「すぐ禁煙(サーチワード)」へと、スムーズな文章でつなげて、「すぐ禁煙.jp」へのアクセスを促進した。禁煙治療を受診するためには、ウェブサイトで禁煙治療を行っているクリニックを検索してから訪問する必要があるので、まずはウェブサイトに来ていただくことが重要である、と考えたからだ。
キャンペーンの効果
5月31日~6月1日にかけて、「すぐ禁煙.jp」へのアクセス数は、通常の8倍へと跳ね上がり、当初目標としていたウェブサイトへの誘導→禁煙外来クリニック検索は達成された、と実感している。5月31日の新聞広告掲載後に実施した調査結果によると、広告接触率も高く、特にインパクトがある、目立つという意見が多く、15段広告としての威力が発揮されたようだ。「禁煙しようと思う」、「シンプルながらも、熱い思いが伝わってくるような広告だと感じた」など、前向きなコメントも数多くいただいている。
「父の日も禁煙の日に」
キャンペーンの最終日である6月19日(日)の「父の日」には、朝日新聞のスポーツ面やスポーツ紙に、「父の日バージョン」の広告を掲載した。土曜にあったスポーツイベントの結果を、のんびりと日曜日の新聞で確認している男性に「父の日=自分の日=家族の日」であることを思い出していただき、禁煙をスタートするきっかけを作っていくのが目的だった。父の日を意識して、あえて石原軍団ではなく、舘ひろしさんのみに登場いただいた。また、新聞広告では珍しいブルーを多用することで、「父の日を、禁煙の日にしてみるとか。」というコピーが際立ち、強いインパクトを与えることができた。5月31日時点と比較した調査結果においても、理解度が10%以上アップし、興味度・高感度・信頼度も高まり、キャンペーンの効果を実感している。
今後も、「Working together for a healthier world(より健康な世界の実現のために)」を心に、禁煙治療の啓発にまい進していきたいと思う。来年のキャンペーンにもご期待いただきたい。
(プライマリー・ケアマーケティング本部 循環器領域チャンピックスチーム 担当部長 原田佳実(はらだ・よしみ))