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《セクハラ被害調査》 5割が10回以上経験 業界が許容してきた証左 毎日・本橋氏

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の月例会が8月28日、新聞協会会議室で開かれた。メディア関係者のセクハラ被害に関するアンケートの最新結果について、毎日の本橋由紀編集委員と上谷さくら弁護士が解説した。被害経験ありと答えた122人の半数が10回以上セクハラを受けたと答えた。会社の相談窓口などに被害を訴えた人は47人だった。本橋氏は「業界がセクハラを許容してきたことを示している。相談窓口の設置など体制上の課題はすぐにでも対応できる」と述べた。

 アンケートは性暴力の被害者と報道関係者らで作る「性暴力と報道対話の会」が、4月24日から8月1日までインターネット上で実施した。回答者の内訳は女性122人、男性5人。所属は新聞・通信社52人、放送局38人、フリーランス17人など。5月に速報値を発表していた。

 被害者は男性が1人で、ほぼ全てが女性だった。加害者を尋ねると(複数回答)、取材先・取引先が85人で最多。上司(54人)、先輩(45人)が続いた。身体に触られた、性的関係を強要された、性的な冗談を言われた――などの被害があった。

 被害者122人にその回数を尋ねたところ、半数の61人が10回以上と答えた。55人が2~9回と回答。1回は5人だった。

 被害を相談した人のうち「解決した」と答えたのは14人だった。相談しなかった75人にその理由を尋ねると(複数回答)、47人が「女は面倒だと言われる」と回答。「きちんと対応してくれると思えなかった」(38人)、「関係を壊したくなかった」(37人)が続いた。

 本橋氏は、加害者はセクハラを繰り返す傾向があると指摘。自身が対応に当たった経験を振り返り、被害の訴えがあったことを知らせず加害者を異動させるのはその場しのぎでしかないと述べた。

 記者の側も「『セクハラを受けてもネタが取れればよし』という考えを捨てるべきだ」と話した。上谷氏は記者の意識について「社会的意義のある仕事をしているから『世の中の働き方と違っていてもいい』と思っていないか」と問い掛けた。

〝夜回りやめろ 筋違い〟

 福田淳一前財務事務次官による女性記者へのセクハラ発覚以降、夜回りや取材対象者との飲食が一部で批判されていた。上谷氏は「夜回りも、酒を飲むのも取材のやり方の一つ。やめろというのは筋違い」との見解を示した。放送局でセクハラの相談窓口を担当する出席者からも「この問題を取材手法の制約に結び付けないようにと伝えている」との意見が出た。

 昨年改正された刑法では「強姦(ごうかん)罪」が「強制性交等罪」に改められた。被害者を女性に限定せず、対象となる性的行為も広げた。

 本橋氏は「強制性交等罪」という法律用語は分かりにくいとし、報じ方に工夫が要ると述べた。上谷氏は「『(旧強姦罪)』と併記するなど、定着するまで丁寧に説明するしかない」との考えを示した。

 記事では「強姦」を「婦女暴行」、小児に対する性犯罪を「いたずら」と言い換えることがある。これについても上谷氏は「被害の実態が伝わらない。報道の仕方を考えてほしい」と要望した。

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