NSK ニュースブレチン オンライン
2002年7月

日本新聞協会のホームページ「プレスネット」の英文ページが新しくなりました。
NSK News Bulletinにアクセスできるほか、日本新聞協会の活動や会員紙に関するデータ、日本の新聞に関するさまざまなデータ、新聞博物館についてお知らせしています。ご利用ください。

-------------------------------------------------------------------
*新聞社の総売上高は2年ぶりに減少 広告収入が落ち込む
*新聞・通信60社で新聞著作権協議会を設立
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
*Topics
--沖縄タイムスが海外電子配達版サービスを開始
--伊勢新聞社は読者懇談会を設置
--岡山県新見市で初の電子投票
--首都圏で無料ニュースペーパー創刊
-
------------------------------------------------------------------
今月の話題>>>
 
日本のスポーツ紙
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


新聞社の総売上高は2年ぶりに減少 広告収入が落ち込む

 新聞協会はこのほど、2001年中に新聞社が売り上げた総額を2兆4,900億円と発表した協会会員の日刊新聞98社(法人単位、スポーツ紙を含む)の総売上高を推計したもので前年比1.3%減となった。販売収入は微増ながら広告収入が落ち込みんだことにより、2年ぶりのマイナスに転じた。

 調査は毎年実施しており、各社の決算書を基に暦年の総売上高を算出。決算書を提出していない社は同規模社の平均的な数値などから推計した。総売上高は販売収入、広告収入のほか、その他収入(出版・受託印刷・事業収入等の営業収入、営業外収入、特別利益)の合計額で、新聞社の総収入に当たる。

 2001年の総売上高のうち販売収入は0.1%増の1兆2,847億円で微かながら3年ぶりに増加した。一方、広告収入は3.2%減の8,725億円で、2年ぶりに減少に転じた。その他収入も1.4%減の3,328億円で6年ぶりにマイナスに転じた。

 この結果、総売上高に占める構成比率は販売収入が前年より0.7ポイント拡大して51.6%、広告収入は0.7ポイント縮小して35.0%となった。

<Reference>
Financial Affairs Newspaper Revenue


新聞・通信60社で新聞著作権協議会を設立

 新聞紙面の著作権を管理する団体「新聞著作権協議会」の設立総会が6月14日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで開かれ、規約、業務規定を承認し、役員を選出した。同協議会には、新聞協会加盟の新聞・通信社のうち60社が加盟した。加盟社は今後、「紙面の20部以内の複写に関する権利」の管理を協議会に委託、協議会は日本複写権センター(Japan Reprographic Rights Center)に加盟すると同時に、加盟社から委託された権利を同センターに再委託する。会長に石黒克己・毎日新聞代表取締役専務取締役が選ばれた。

 規約では協議会の目的を「新聞に関わる著作権の保護に努めるとともに、著作権思想の普及を図る」ことと掲げ、(1)新聞紙面の複写に関わる権利の管理(2)日本複写権センターとの連携(3)著作権思想の普及・啓蒙活動――等の事業を行うと定めた。業務としては、「複写権センターに、会員より受託した権利を再委託する」「複写権センターから受け取る複写使用料を、分配規定に基づき会員に分配する」ことなどを行う。

 協議会加盟各社は、日本複写権センターが契約した企業などから徴収した複写使用料を協議会の分配規定に基づき、得ることができる。分配規定は、収入見通しが立つ2004年3月までに理事会が原案を策定、総会に諮る。また、協議会は、加盟新聞・通信社が他社の新聞・雑誌などをコピーした場合に生じる複写使用料を、同センターに一括して支払う。日本複写権センターからの利用収入のうち30%を超えない範囲を協議会の事務運営費に充て、会費は徴収しない。事務局は当面、毎日新聞東京本社内に置く。

 日本経済新聞社、北海道新聞社など協議会に加盟しない大手紙もあり、日経は既に自社管理を進めている。

 日本複写権センターは、著作権のある出版物をコピーする際、企業内部における1回20部以内の少部数の複写利用に関し、著作権者の許諾を得て対価を支払う手続きなどを代行する組織で1991年9月に発足した。1998年社団法人として文部省の認可を受けた。同センターには著作者団体連合会、学術著作権協会、出版社著作権協議会が既に加入しており、新聞著作権協議会は第4の正会員となる。利用企業は約3,300社。

Topics.......Topics.......Topics........

沖縄タイムスが海外電子配達版サービスを開始

 沖縄タイムス社は6月1日、ニュースペーパーダイレクト社(本社・カナダ)のシステムを利用し、海外電子配達版のサービスを開始した。日本国内で同社のシステムを利用するのは、毎日新聞とスポーツニッポンに続き3紙目。

 このシステムは、37か国122紙が利用している。紙面データをPDF(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)ファイル化し、インターネットでニュースペーパーダイレクト社のサーバーに送信。利用者は、同サーバーに接続された「プリントステーション」から購読を申し込み、紙面レイアウトをそのままA3判で取り出すことができる。

 ニュースペーパーダイレクト社は1999年から同サービスを開始。プリントステーションは米国、カナダ、英国など約30か国の主要ホテル、大学、官庁など約300か所に設置されている。7月中旬には沖縄タイムスの本社と東京支社にプリントステーションが設置される。


伊勢新聞社は読者懇談会を設置

 伊勢新聞社は6月20日、長期購読者の意見を紙面作りに反映させることを目的とした「伊勢新聞読者懇談会」を発足させ、初会合を開いた。三重県内の津、伊勢、松阪、鈴鹿、四日市、伊賀の各地区の一般長期購読者から20人を委員として選出した。

 会議は年4回開催。長期購読者との交流を主眼として、紙面内容について自由に意見を述べてもらい、地域に密着した紙面作りを目指す。委員の任期は1年で再選は妨げない。


岡山県新見市で初の電子投票

 全国で初めて電子投票方式を採用した岡山県新見市の市長・市議会議員選挙は6月23日投票が行われ、即日開票された。開票作業時間の大幅な短縮化に注目が集まるなか、電子投票分の開票作業は22分で終了した。通常3、4時間かかる開票作業は、手書きの不在者投票を含めて2時間で終えた。

 電子投票の導入は、今年2月1日の地方選挙電子投票特例法の施行により、地方選挙に限り可能になった。新見市の有権者数は19,381人で、市長選の投票率は86.82%、市議選の投票率は86.83%だった。有権者は午前7時から午後8時まで、市内43か所の投票所に設置されたタッチパネル式の機械で投票した。

 投票終了後、各候補者の得票を記録した小型メモリーカードが開票所に運ばれ、コンピューターで集計、即日開票された。

 新聞協会編集委員会は以前から「民主主義の根幹である選挙結果は速やかに読者・視聴者に伝えるべきだ」と主張、即日開票の徹底・開票作業の迅速化を関係省庁、各地方自治体に求めている。オンラインで開票結果が報道各社に送稿されるようになれば、選挙報道のスピードは飛躍的に向上する。来年以降、広島県広島市、宮城県白石市が電子投票を導入する考えを示している。


首都圏で無料ニュースペーパー創刊

 1日、東京都内を中心とする首都圏の駅周辺で無料配布する日刊情報紙「HEADLINE TODAY」のキャンペーン版が配られ始めた。正式創刊は15日。同誌を発行するヘッドライン(本社・東京港区、社長・中山清美氏)は、英国の投資会社メディア・ベンチャー・キャピタル・リミテッド社が100%出資する日本法人。同誌発行を目的に今年4月に設立された。

 タブロイド判24ページ(カラー8ページ)で、部数は30万部。10代後半から30代の新聞を読まない層をターゲットとし、月〜金曜日の週5回発行する。JR、私鉄、地下鉄などの駅周辺に設置した専用ラックに収め、朝刊と同じ時間帯に配布する。独自取材に加え、ロイター、ブルンバーグ社が配信するスポーツ、音楽、社会記事を掲載している。テレビ番組表も毎日収録する。

 広告は、飲食、自動車、エンターテインメント、通販などを中心に、広告主のURLや連絡先を掲載することで、インターネットや携帯電話と連動させた形を追及する。ヨーロッパなどで成功を収めている無料日刊紙「METRO」のような媒体を想定しているようだが、読者にどう受け入れられるかは未知数で、既存の新聞はその行方に注目している。駅を配布拠点とした首都圏での無料日刊紙は日本で初めて。


<< back


今月の話題>>>

W杯で盛り上がる
日本のスポーツ紙
W杯決勝戦を伝える
在京スポーツ6紙(7月1日付)

サンケイスポーツ
報知新聞
日刊スポーツ
スポーツニッポン
東京中日スポーツ
デイリースポーツ
(写真上から)

-----------------------

 2002FIFAワールドカップがおこなわれた6月の1か月間、日本独特の新聞といってもいい「スポーツ紙」も盛り上がりを見せた。詳細なW杯報道で部数を伸ばし、日本戦の結果についてはそのつど号外を発行した。

 日本では約612万部のスポーツ紙が読まれている(2001年10月新聞協会経営業務部調べ)。これは日本の新聞総発行部数53,680万部のうち11.4%にあたる。発行している社のほとんどは一般紙を発行する新聞社か、その系列の会社で、日本新聞協会の会員112紙のうちスポーツ紙は11紙。

 スポーツ紙といっても、紙面内容は必ずしもスポーツ報道に限定されていない。事件や政治・経済ニュースを一般紙とは違う切り口で分かりやすく、時にはスキャンダラスに報じる。野球、サッカー、相撲などスポーツの勝敗報道のほか、選手の私生活情報も扱うし、競馬や競艇、釣り情報も定番メニューだ。芸能ニュース、旅・レジャー情報、映画や音楽、イベントなどエンタテインメント情報もスポーツ紙の守備範囲となる。

 スポーツ紙の1面にはたいてい大きな写真と赤や青、黄の色つきの大きな見出しが躍っている。最近は、女性読者が全体の2割を超えるスポーツ紙もあるが、基本的な読者層は中高年男性で、プロ野球や大相撲といったスポーツが盛り上がりをみせると部数が伸びる。近年はこれらの人気が停滞気味で、スポーツ紙の発行部数にかげりも見えていたが、今回のW杯をきっかけに盛りかえしたいというのがスポーツ紙の思惑だ。26〜36ページ建ての紙面の中面には若い女性のヌード写真やポルノ情報を掲載するスポーツ紙もある。スーツ姿の男性が通勤電車内で裸の女性が載っている新聞や週刊誌を堂々と広げている光景がしばしば外国人を驚かせるというエピソードに登場する「新聞」とは、一部のスポーツ紙だろう。

 日本のスポーツ紙のユニークさは、販売面にも現れている。日本の一般日刊紙が5千万部を超える発行部数(夕刊を含めれば7千万部以上)を維持している秘訣は、戸別配達制度の完備である。全国に約2万2千店ある新聞販売店の店員が毎朝新聞を配達している。

 一般紙の宅配率は99%以上だ。しかし、スポーツ紙の13〜35%は即売、すなわち駅の売店やコンビニなどが販路となっている。ちなみに宅配される紙面には女性の裸は載らない。即売用の紙面を入れ替えているためだ。

 スポーツ紙の多くは戦後生まれ。日本の新聞に高級紙と大衆紙の区別はないが、スポーツ紙が大衆紙的な役割を果たしてきたのかもしれない。

<< back

Nihon Shinbun Kyokai
The Japan Newspaper Publishers & Editors Association
Nippon Press Center Bldg., 2-2-1 Uchisaiwai-cho, Chiyoda-ku,
Tokyo100-8543, Japan

bulletin@pressnet.or.jp.

Copyright 2002 Nihon Shinbun Kyokai
All right reserved