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2002年9月

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*9件に新聞協会賞授賞-- 新聞週間に向けて準備進む
*日本の新聞・通信社の従業員数は5万7000人に
*アセアン記者研修で7か国から13人の記者が来日
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*Topics
--地方紙3紙が統合データベースを共同開発
--日本の中国語メディアの競争激化
--分かりにくい外来語を日本語に
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今月の話題>>>
 
新聞広告掲載量、11か月連続で前年割れ
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9件に
新聞協会賞授賞-- 新聞週間に向けて準備進む

 9月4日に開かれた9月度理事会で新聞協会賞、新聞広告賞が決まり、毎年10月15日から始まる新聞週間に向けた諸行事の準備が進んでいる。

新聞協会賞は編集部門7件、経営・業務部門2件が受賞した。昨年の米国の同時多発テロ事件を反映して、テロリストのモハメド・アタの足跡を追った企画、テロと家族を取り上げた企画、また9・11テロによって米国の攻撃を受けたカブールの陥落をスクープした写真などが受賞した。新聞広告賞(本賞)は広告主部門が静岡県、全日空、日本サッカー協会などの広告5件、新聞社企画部門は朝日新聞、東京新聞、山形新聞など5社が受賞した。毎年新聞週間に向けて読者から募集する「新聞週間標語」の代表標語は「知りたい 本当のこと だから新聞」、「新聞配達に関する標語」の代表標語は「届けます今日の情報明日の指針」に決まった。

 新聞週間は10月15日からの1週間で、この間、新聞協会賞の授賞式が行われる新聞大会、新聞広告賞の授賞式が行われる「新聞広告の日」の式典、読者を招待する「記念の集い」などが行われる。

 今年で第55回を迎える新聞大会は16、17の両日、愛知県名古屋市の名古屋国際会議場で開催される。新聞協会賞の授賞式や昨年ノーベル化学賞を受賞した野依良治名古屋大学大学院教授の基調講演のほか、新聞事業をめぐって新聞社の幹部らがパネルディスカッションを行う。新聞週間中の読者向けのイベントしては、名古屋市で「新聞のある風景」写真コンテスト」の入賞作品を展示する。東京、大阪、名古屋、福岡では読者を招待して「記念の集い」を開く。

 「新聞広告の日」は毎年10月20日。今年は20日が日曜日にあたるため、18日に東京・千代田区のパレスホテルで式典を行う。「新聞配達の日」と「新聞少年の日」(10月20日)には、全国で新聞配達従業員や新聞少年・少女を慰労するための行事が行われる。

新聞協会賞の受賞作は以下の通り。

[編集部門]
◇毎日新聞東京本社
編集局社会部 大 治 朋 子
防衛庁による情報公開請求者リスト作成に関するスクープ
◇共同通信社
編集局写真部 原 田 浩 司
「カブール陥落」アフガニスタンの首都カブール制圧をスクープ
◇共同通信社
中国総局  平 井 久 志
瀋陽亡命事件のビデオ映像
◇朝日新聞東京本社
(代表)編集局編集委員 松 本 仁 一
連載「テロリストの軌跡 アタを追う」とそれにかかわる一連の報道
◇中日新聞社
(代表)「テロと家族」取材班 前編集局社会部部次長 土 岐 正 紀
連載企画「テロと家族」
◇中国新聞社
(代表)暴走族取材班 編集局社会・経済グループ 高 本   孝
キャンペーン 断ち切れ 暴走の連鎖 ―「ただいま」が聞きたくて
◇フジテレビジョン
(代表)報道局報道センター「ニュースJAPAN」編集長 熱 田 充 克
シリーズ検証・C型肝炎
[経営・業務部門]
◇信濃毎日新聞社
(代表)代表取締役社長 小 坂 健 介
「全社員入力による事務系改革 ウェブ連携のトータルシステム」
◇中日新聞社
(代表)名古屋本社広告局長 中 村 淳 治
「広告を編集紙面と同じ鮮度に
総合デジタル化で開く広告の新境地―仕事の流れが変わる、社員の意識を変える―」



日本の新聞・通信社の従業員数は5万7000人に

 日本新聞協会はこのほど今年4月1日時点での新聞・通信社の従業員調査の結果を発表した。新聞協会加盟の新聞・通信全社(106社)の従業員総数は5万7105人で、前年比755人、1.3%の減少となった。新聞業界の従業員数は1980年ごろから減り始め、1988年バブル時代に一転増え始めるが、1993年の6万6250人をピークに1994年に前年比2.4%減となった後、ほぼ1%台のベースで減少し続けている。10年間で9145人、13.8%減少した。

 詳しい回答のあった76社で見ると、男性従業員数は4万8409人、女性は5606人、合計5万4015人で、男女比は男性89.6%、女性10.4%。平均年齢は41.2歳だった。

 記者総数は2万0851人でこのうち女性記者数は2384人で、女性記者比率は11.4%。

 部門別構成比では、編集部門が44.5%、製作・印刷・発送部門が18.3%、営業部門が14.3%、出版、事業、電子メディア部門が6.7%、統括・管理部門が8.4%、その他部門が7.9%だった。製作・印刷・発送部門はこの10年で9.0ポイント減ったのに対し、出版、事業、電子メディア、その他の部門は拡大する傾向にある。



アセアン記者研修で7か国から13人の記者が来日

 第25回アセアン記者研修計画が9月6日スタートした。研修参加者はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、ラオス7か国から14人の記者が5日に来日、「融合するアジア文化と日本社会」を主要テーマに29日間の研修日程をこなす。

 一行は、アジアと日本の食文化、映画、マンガ、アニメーション、狂言などについて専門家からブリーフィングを受ける。また、日本の経済や政治状況について、毎日、日経の編集幹部からそれぞれ話を聞くほか、新聞博物館、NHK、大分合同新聞社を訪問する。日程の後半には、福岡、奈良、京都を視察するほか、個人取材を行う。

来日した記者は以下のとおり。
【Indonesia】
Mr. Benny Siga Butarbutar=Reporter/Coordinator, Antara
Mr. Dedi Sahputra=Reporter, Waspada Daily
【Laos】
Mr. Anoulack Khammalavong=Assistant Editor, Vientiane Times
Ms. Simanithone Malivarn=Deputy Head of the English Service Lao National Radio
【Malaysia】
Ms. Ng Li San=Reporter, Sin Chen Daily
Mr. Yushaimi Maulud bin Yahaya=Journalist, Malay Mail
【Philippines】
Mr. Adolfo Ares P. Gutierrez=News Editor, People's Taliba
Ms. Maria Aurea Leis Calica=Reporter, Philippine Star
【Singapore】
Mr. Chairul Fahmy Hussaini=Journalist, Berita Harian
Ms. Rowena Heng Jee Kian=Journalist, Lianhe Wanbao
【Thailand】
Mr. Bamrung Amnatcharoenrit=News Reporter, Bangkok Post
Ms. Wanwisa Choochon=Reporter, Thairath Daily
【Vietnam】
Ms. Nguyen Thu Hoai=Assistant of International Relations Vietnam Journalists Association

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地方紙3紙が統合データベースを共同開発

 京都、神戸、中国の新聞3社は5日、記事、写真、紙面イメージの統合データベースを共同開発すると発表、京都新聞社内で覚書の調印・交換式を行った。2003年6月の稼働を目指す。まずは3社間相互の社内利用から始め、商用化については今後検討する。開発メーカーは日本IBM。統合データベースの構築は日本の新聞界では初の試み。他の地方紙にも参加を呼びかける予定で、激化する企業間競争を勝ち抜くための「地方紙連携の強化」も視野に入れている。

 開発コンセプトは(1)初期投資費用・保守管理費用の削減、(2)データベース管理の省人省力化、(3)NewsMLへの対応−−などで、共通の基本部分と各社固有のオプション部分に分けて構築。保守管理費用が抑えられるほか、地震等の災害対策面で優れていることから、データベース本体は、一括して日本IBM系列のデータセンターに置く。

 稼働後はセンターの運営費とセンターと本社を結ぶ回線料を各社が負担する。3社は現在稼働中のデータベースが更新時期を迎えていることから、共同開発を検討、今年1月から計9回の実務者協議などを行ってきた。3社がこれまで行ってきた独自のデータベース事業は継続する。


日本の中国語メディアの競争激化

 38万人(外務省調べ)を超えるといわれる在日中国人を対象にした中国語メディアが日本で続々と誕生、「戦国時代」を迎えている。中国語メディアの将来性に着目、新規参入を狙う動きも表面化しており、厳しい淘汰の波が押し寄せている。

 メディア専門家によると、日本で現在、商業用に発行されている中国語の新聞・雑誌は約30。テレビ局はいずれもCS放送だが、計3社5局に上り、ラジオ局開設を検討する動きも出ている。

 中国人向け新聞では最大の8万部(公称)を誇る週刊「中文導報」は、都内の一部のコンビニや地下鉄駅の売店にも販路を広げた。「私たちは中国の代弁者ではない」という呉耀明副編集長(42)は「これからも在日中国人の視点で何が事実かを冷静に伝えていきたい」と抱負を語る。1998年に放送を始めた「楽楽チャイナ」(加入世帯は公称約2万)は従来、主に在日の中国人を対象に、中国の番組を編集するなどした「生の中国」を放送してきた。今後は日本人視聴者の獲得も目指し、日本語字幕付きの番組などを増やしていくという。

 自主制作の番組を増やし、「等身大の日本」を中国に発信することも目指す。中国人の女性ディレクターは「今は過渡期。これからは日本社会でどれだけ独自性を高めていけるかが重要」と語る。在日の中国人向けメディア研究家、段躍中(Duan Yue zhong)さんは「現在は乱立気味。今後は質の低いメディアは整理されていくのでは」と分析している。(共同通信)


分かりにくい外来語を日本語に

 分かりにくい外来語の日本語への言い換えを検討、提案するために設置された国立国語研究所「外来語」委員会が8月7日、初会合を開いた。

 同委員会は、6月に遠山敦子文科相が設置を提案、国立国語研究所が人選を進めていた。委員には学者、作家、翻訳家のほかマスコミ関係から朝日新聞社、読売新聞東京本社の用字用語担当者、NHK放送文化研究所主任研究員らが加わっている。

 同委員会は各省庁の行政白書や公共性の高い新聞・雑誌などを対象に、分かりにくい外来語に換わる表現を検討、緩やかな目安としての言い換え例などの具体的な提案を目指す。

 当面は行政白書から抽出した外来語や、委員から検討の要望があった外来語について検討し、年内をめどに言い換え案を提示する。


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新聞広告掲載量、11か月連続で前年割れ

 日本のマスメディアの広告出稿量が減少し続けている。特に新聞広告の落ち込みが激しく、回復の兆しは見えない。

 大手広告会社、電通はこのほど、2002年上半期(1〜6月)のマスコミ4媒体広告の出稿量調査を発表した。3年ぶりに全媒体で前年割れとなった2001年下半期(7〜12月)に続き、すべての媒体で出稿量は減少した。日本経済の景気低迷、企業業績の悪化、IT関連需要の減少など厳しい環境下で、企業の広告出稿に抑制傾向が広がったためだ。

 業種別では、情報・通信、自動車、飲料・嗜好品、外食産業が4媒体すべてで前年同期を下回った。121紙を対象とした新聞広告掲載量は前年同期比で4.4%減少し、2期連続のマイナスとなった。スポーツ紙は微増で、カラー広告や見開き広告も活発だったが、一般紙は全国紙、地方紙ともに前年を下回った。人事募集などの案内広告も4.5%減で、4期連続の減少となった。

 この電通調査を月間ベースで見ると、今年の7月度も前年同月比5.0%減で、新聞広告の落ち込みは、昨年9月来11か月連続で前年割れが続いている。ワールドカップ開催で期待された広告出稿も5月、6月はそれぞれ3.5%減で、前年同時期の景況感が比較的良かったこともあり、テレビ中継の視聴率の高さは広告出稿にはつながらなかった。

 さらに、経済産業省の調査結果によれば、新聞広告の売上高は今年3月が前年同月比22.3%減、5月が18.7%減など、テレビ、雑誌、ラジオなど他のマスメディアに比べると金額ベースでもその落ち込みぶりは著しい。

 9月初旬、東京株式市場は一時9000円割れとなるなど、日本経済が好転する材料は見当たらない。新聞広告を呼び戻す努力は各社で続けられているが、新聞広告業界として取り組んでいる努力のひとつにデジタル送稿がある。

 広告会社から新聞社に送る広告原稿をデジタル化し、オンラインで送稿するデジタル送稿である。従来のフィルムの形での送稿に比べコストダウンをはかれるだけでなく、広告制作から掲載までの時間を短縮することで、広告原稿に最新情報を盛り込んだニュース広告を実現できる。今年度新聞協会賞(経営・業務部門)を受賞した中日新聞社をはじめとする先進的な新聞社が広告会社と協力して広告のデジタル化推進に1990年代後半から取り組んできた。午前中に気象庁が発表する天気予報を踏まえた内容の広告を夕刊に掲載したり、イベントの告知広告に前日の会場の様子を撮影した写真を掲載するなど、編集紙面と同様鮮度の高いニュース広告は広告主の満足度も高い。取引情報や経理情報との連携、広告クリエーティブの開発など、課題は残るが、新聞広告の新しい媒体特性を生み出すものとして期待がかかる。

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