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2002年10月

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*2001年度の新聞事業の経営動向調査結果まとまる
*新聞博物館の企画展「『海外邦字紙』と日系人社会」始まる
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*Topics
--新聞週間、各種募集事業の入賞作品決まる
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今月の話題>>>
 日朝首脳会談で速報体制
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2001年度の新聞事業の経営動向調査結果まとまる

 新聞協会はこのほど、2001年度の新聞事業の経営動向に関する調査結果をまとめた。売上高は前年度比2.5%減の1兆9897億7000万円、営業費用は1.5%減の1兆8928億0300万円で、営業利益は19.0%減の969億6700万円。販売収入は微増だったものの、広告収入の激減により、3年ぶりの減収減益となった。

 調査は新聞協会加盟の日刊新聞112紙のうち大・中規模社42社を固定サンプルとして2001年度の決算を集計している。新聞協会全会員社を対象とした売上高推計調査によれば2001年の売り上げ推計は2兆4900億円なので、経営動向調査の対象社42社が新聞業界全体のほぼ80%を売り上げていることになる。

 売上高を見ると、販売収入は前年度比0.1%増の1兆295億8800万円で、3年ぶりにわずかながら増率に転じた。広告収入は好調だった前年度から一転し、前年度比7.1%減の7108億9000円。すべてのクラスで減少した。減少率は部数の多い社ほど高かった。その他営業収入は0.7%増の2492億9300万円で、2年連続で増加した。

 営業費用は1兆8928億0300万円で前年度比1.5%減。特に用紙費は5.1%減だった。用紙費と人件費はほとんどの社で減少した。

 この結果、営業利益は前年度比19.0%減の、969億6700万円となった。経常利益は17.9%減の1003億8500万円、当期利益は22.1%減の417億2900万円となった。



新聞博物館の企画展「『海外邦字紙』と日系人社会」始まる

 日本新聞博物館(ニュースパーク、横浜市)主催の企画展「『海外邦字紙』と日系人社会」が1日、スタートした。海外日系新聞協会加盟紙を中心に世界の邦字紙約50紙を一堂に展示、約250万人の海外日系人社会の中で邦字紙が果たす役割に焦点を当てている。同企画展は12月23日まで開催される。海外日系新聞協会、海外日系人協会、外務省、国際協力事業団、横浜市が後援。

 同企画展では、1868年に海外移民が始まって以来、北米、ハワイ、中南米などの移住地で誕生した邦字紙の沿革、創刊号や最近の紙面を紹介。また、移住当時の生活を伝える写真や、戦後の日本で起きた大事件を報じた紙面なども展示している。 

 海外邦字紙の老舗のひとつにロサンゼルスで1903年に創刊された羅府新報がある。近代日本の移民政策によって海外に出て行った人々のためのメディアが海外邦字紙である。

 期間中の11月3日には海外邦字紙の発行者、編集者らによるシンポジウム「海外邦字紙の歴史と今」を開催する。


 日系人のための邦字紙に加えて、最近は仕事や留学、結婚などで海外に住む日本人を対象とした日本語メディアが元気だ。

 海外日系新聞協会が昨年まとめた調査によれば、海外の日本語メディア80のうち、1990年以降出現したメディアは30。アジア、オセアニア、ヨーロッパでの創刊が盛んで、スポーツ、音楽、芸能ニュースを扱うメディアが増えた。無代紙も多い。


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新聞週間、各種募集事業の入賞作品決まる

新聞協会が、毎年、10月15日からの新聞週間に向けて行っている募集事業の一環である第6回「新聞のある風景」写真コンテストの入賞作品(写真上)がこのほど決まった。

 また、新聞週間のPR用ポスター(写真左下)と「新聞配達の日・新聞少年の日」ポスター(写真右下)も完成した。新聞週間ポスターは、「新聞のある風景」写真コンテストのグランプリ作品と、一般読者から募集した今年度の新聞週間代表標語「知りたい 本当のこと だから新聞」を使ったデザイン。「新聞配達の日・新聞少年の日」ポスターには、今年度の新聞配達に関する代表標語「届けます今日の情報あしたの指針」を掲載した。

「新聞のある風景」写真コンテストグランプリ=「ブレイクタイム」
受賞者=糸満知加子さん、沖縄県

第55回新聞週間ポスター
新聞配達の日・新聞少年の日ポスター


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日朝首脳会談で速報体制

 小泉純一郎首相は9月17日、政府専用機で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問、金正日総書記と史上初の日朝首脳会談を行い、同日帰国した。国交のない国への電撃的な首相初訪問だけに、同行取材の準備も難航、同行希望者数は240人以上となったが、最終的には計120人の報道陣が同行。外務省によると、うち新聞・通信社の記者が53人、放送が52人、雑誌等が7人だった。海外メディアの東京支局からも韓国と米英仏4か国の新聞・通信社の記者計8人が同行した。

 多くの新聞が17日夜に号外を発行し、「日本人拉致事件」の被害者の安否情報を報じた。翌18日付朝刊では首脳会談の背景、模様、拉致事件の解明、今後の日朝関係などについて詳報した。映像は大半が代表撮影によるもので、回線の使用時間もあらかじめ放送局ごとに決めておくなど、制限の多い手探りの中継となった。

〈平壌〉
 記者団のうち90人は全日空のチャーター機で会談前日の16日に平壌入り、同市内の高麗ホテルにプレスセンターを開設した。首相同行に記者団が民間機をチャーターしたのは初めて。小泉首相はじめ政府関係者と同行記者30人を乗せた政府専用機は17日午前6時46分に羽田空港を出発、9時6分に平壌国際空港に到着した。
 日朝首脳会談は17日午前11時3分から平壌市内の百花園迎賓館で始まり、昼の休憩をはさんで午後3時半過ぎに終了した。午後5時過ぎに田中均外務省アジア大洋州局長が、日本人拉致疑惑に関し「4人生存、8人死亡、行方不明1人」との情報を記者団に明らかにし、一気に緊張が高まった。記者らは直ちに電話で日本に速報、現地で「日朝平壌宣言」の署名式が行われた午後5時半ごろには日本国内でも生存者4人の名が一報された。
 現地と日本との通信には、通常の電話回線のほか、衛星携帯電話が利用された。

〈号外〉
 
拉致された人々の安否情報が平壌からもたらされた段階で、多くの社が号外発行を決めた。全国紙の号外発行部数は、朝日5万5000部、毎日7万2300部、読売7万8200部、日経3万5000部、産経3万部。早い社では午後6時半ごろから東京都内の主要駅などで配布した。毎日は4ページ、他は2ページ。朝日の裏面はヘラルド朝日の号外、読売の裏面はデイリー・ヨミウリの号外だった。
 共同通信によると、「生存者4人」などの見出しで地方紙29社が号外を発行した。

〈映像取材〉
 
小泉首相の出発から帰国までの映像は、NSNP(Nippon Satellite News Pool=日本衛星中継協力機構)が代表取材した。
 NSNPは政府関係者らの外遊の取材映像を共同伝送することを目的に、NHKと民放キー局が設けた組織。今回は6局25人のカメラマンらで構成し、NHKとフジテレビが幹事。映像の伝送は、すべてプール衛星回線を使った。北朝鮮の朝鮮中央テレビから提供された3回線のほか日本から持ち込んだ中継装置で2回線側確保し、平壌国際空港に1回線、プレスセンターに4回線を振り分けた。
 各局の独自取材映像は、プール衛星回線のほか、持ち込んだ衛星テレビ電話を利用した局もあった。

〈論調〉
 
訪朝前から、米国など海外の関心は北朝鮮の核・ミサイル問題などと伝えられたのに対し、国内メディアの報道の中心は拉致問題に据えられた。会談直後、「4人生存、8人死亡、行方不明1人」という予想外の展開に加え、外務省が死亡年月日等北朝鮮から得た情報を公開していなかったことが19日の新聞報道で明らかにされ、メディアはさらに拉致報道に傾斜した。
 訪朝直後の各紙の緊急世論調査によれば、訪朝会談を成功と評価する意見と拉致問題をめぐる北朝鮮の対応を納得できないとする意見とがほぼ拮抗する結果だった(朝日新聞の調査結果では「成功」が81%、「納得できない」が76%)。
 関連の社・論説は会談後だけで100本を超えた。北朝鮮の国家犯罪を糾弾する一方、正常化交渉は再開すべきだとの論調が大半を占めた。

首脳会談を終え、金総書記と握手する小泉首相=9月17日、平壌・百花園迎賓館(代表撮影)

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