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2003年1月

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*2003年日本の新聞界展望――渡辺恒雄新聞協会会長あいさつから
「記者クラブの実情を知らない批判には毅然と対応」
*2002年日本の新聞発行部数は5320万部
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*Topics
--写真記者協会2002年度の協会賞作品決まる
--新潟日報社の新工場が本格稼働
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今月の話題>>>
正月の新聞
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2003年日本の新聞界展望――渡辺恒雄新聞協会会長あいさつから
「記者クラブの実情を知らない批判には毅然と対応」

   

 2003年の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。米同時多発テロ事件から一年以上たった現在も各地でテロ事件が相次ぎ、イラク問題の動向は、国際社会に新たな緊張を生んでいます。

 また、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が日本人拉致事件への関与を認め拉致被害者5人が無事、帰国を果たしましたが、一方で、2年ぶりに再開された日朝国交正常化交渉は拉致問題による対立で難しい局面にあります。

 新聞界も厳しい状況が続いています。個人情報保護法案は、いったん廃案ということですが、通常国会では修正案の提出が確実な状況で、引き続き人権擁護法案とあわせて、報道の自由がそこなわれることのないよう、手を尽くしていきたいと考えています。

 最近では、司法制度改革の一環として導入が検討されている裁判員制度の中で、取材・報道に制限を加える議論が行われたり、全国消防長会が事件や事故の被災者名の公表基準を定めるための検討会を設けるなど、公的機関が報道の在り方を規制しようとする動きが目立っています。こうした面でも警戒が必要です。

 報道各社は、報道の検証や苦情処理のために外部識者による第三者機関を設置するなど主体的対応を続けています。メディアの集団的過熱取材の問題に対しても、編集委員会は昨年5月に「集団的過熱取材対策小委員会」を発足させ、問題が発生した場合の地元協議機関を公表するなど、自主的努力が進んでいます。拉致事件被害者に関する取材でも、各現場の協議機関が機能し、大きな問題の発生を防ぐことができました。

 記者クラブの在り方についても、昨年1月に編集委員会が新しい見解をまとめました。

 また実情を知らない海外などからの批判には毅然とした姿勢で対応することとし、再度、記者クラブ問題検討小委員会を発足させました。報道界に対する国民の信頼を維持し、揺るぎないものにしたいと考えています。

 言論・表現の自由を守り、その基盤を維持するとともに、新聞の意義を広くアピールし、国民・読者の身近な存在として感じてもらうことも、喫緊の課題です。

 日本新聞教育文化財団では、新聞博物館(ニュースパーク)、NIE事業を通じて、新聞と新聞社の役割や活動を広く一般に理解してもらうための取り組みを続けています。

 昨年9月には開館以来の入館者が10万人を超え、年5回の企画展もご好評をいただいております。Read Me.キャンペーンや各種のコンテストなど多様なPR活動によって、新聞ファンの増加につなげたいと考えています。

 技術の分野での標準化が着々と進んでいます。記事データの標準送稿フォーマット「NewsML」に加えて、昨年9月にはISO(国際標準化機構)の国内委員会で新聞印刷カラーの標準色の指標となる新聞用ジャパンカラーの規格値が決定されました。

 カラー印刷の色再現の安定化は、広告のデジタル送稿の普及に向け大きな前進といえましょう。本年末には東京、大阪、名古屋で地上波デジタル放送が始まります。BSアナログ放送の期限も近々、明示される見通しであり、いよいよ放送のデジタル化も本格化します。

 新しい年を迎えて、実りある1年となるよう願うとともに、みなさまのご健勝とご発展をお祈り申しあげ、年頭のごあいさつといたします。



2002年日本の新聞発行部数は5320万部

 新聞協会による2002年10月現在の「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」によると、日本の新聞の総発行部数は53,198,444部。前年比0.9%減で3年連続の減少。一般紙は0.4%減、スポーツ紙は5.1%減少した。朝刊、夕刊をそれぞれ別々にした場合は70,815,071部。朝刊は51,517,523部、夕刊は19,297,548部。調査対象は新聞協会に加盟する124紙。スポーツ紙は昨年の前年比2.9%減に続き、さらに減った。

 朝刊夕刊セット部数は前年比2.2%減で12年連続の前年割れ。朝刊単独部数は0.1%増、夕刊単独は、産経新聞東京本社が夕刊発行を停止したこともあって6.9%の減少となった。地区別では、0.7%増加した沖縄を除き、すべての地区で減少した。

 一世帯当たりの部数も、前年比0.03ポイント減少し1.09部となった。人口1,000人当たり559部。

総発行部数と普及度

2002年10月 2001年10月
〈総発行部数〉 53,198,444部
(△0.9)
53,680,753部
(△0.1)
一般紙

スポーツ紙

47,390,027部
  (△0.4)
5,808,417部
  (△5.1)

47,559,052部
(0.3)
6,121,701部
(△2.9)

セット部数

朝刊単独部数

夕刊単独部数

17,616,627部
(△2.2)
33,900,896部
(0.1)
1,680,921部
(△6.9)

18,013,395部
(△1.0)
33,862,600部
(0.5)
1,804,758部
(△0.8)

〈普及度〉
1世帯当たり部数
1.09部

1.12部

〈世帯数〉

〈人口〉
48,637,789世帯
  (1.3)
126,478,672人
(0.2)

48,015,251世帯
(1.3)
126,284,805人
(0.2)

(注)かっこ内は前年比(%)、△=減、人口および世帯数は2002年3月31日現在の住民基本台帳による。

Topics.......Topics.......Topics........

写真記者協会2002年度の協会賞作品決まる

 東京、関西、北海道、東北、中部、九州の各地区で活動している写真記者協会は、相次いで2002年度の協会賞を発表した。主な受賞作品は次のとおり。

東京写真記者協会受賞作品

「自由を求めて」
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の住民が中国・瀋陽の日本総領事館に亡命を求め駆け込んだ瞬間

受賞者=加藤智久
(
共同通信社中国総局特派員)

北海道写真記者協会賞受賞作品

北方四島の不正支援など一連の政治疑惑で自民党を離党した鈴木宗男が、地元釧路市に帰った際、ホテルから出る場面

受賞者=玉田順一
( 北海道新聞釧路支社報道部写真課記者)

東北写真記者協会賞受賞作品

「消防ヘリ、決死の救出」 
台風で増水した広瀬川の中洲に取り残された人を救助する場面

受賞者=佐瀬雅行
( 河北新報社写真部記者)

中部写真記者協会一般ニュース部門優秀賞受賞作品(協会賞は該当作なし)

「燃え広がる山火事」 

受賞者=鮫島弘樹
( 毎日新聞中部本社記者)

関西写真記者協会協会賞受賞作品

「瞳の奥のアフガン」

受賞者=佐藤賢二郎
( 毎日新聞大阪本社写真部記者)

関西スポーツ紙写真部長会賞受賞作品

「逆転負けに激怒する星野監督」

受賞者=今野 顕
( 大阪サンケイスポーツ記者)


新潟日報社の新工場が本格稼働

 新潟日報社の新しい印刷拠点となる「新潟日報社印刷センター」が12月9日、本格稼働した。新工場は、新潟市善久にある新潟日報本社の敷地内に建設され、延べ床面積は15,906.53平方メートル。輪転機は東京機械の「カラートップCT−7000」を4セットを導入。1セットの構成は2Tower3Press1Folder5Reel。これにより、同紙の印刷体制はこれまでの32ページ8個面カラーから40ページ12個面カラーに増強された。同敷地内の旧工場は閉鎖した。

 印刷するのは、新潟日報の朝刊約50万部、夕刊約6万7000部など。


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正月の新聞

 日本新聞博物館(ニュースパーク)主催の「元旦紙面展」が、8日から東京都千代田区の日本プレスセンタービル1階ロビー(写真)と、横浜市中区の横浜情報文化センター1階「情文プラザ」の2会場で行われている。各社の協力を得て全国から100紙を超える元日付発行号を集め、一堂に展示した。多くの人が足を止め、思い思いにページを繰っていた。

 日本の新聞の元日付号は、通常紙面に比べ圧倒的にページ数が増える。100を超える主要日刊紙のうち120ページを超える新聞も少なくない。近年は減少傾向にあるものの、平均でも100ページ近い。通常ページ数は朝刊で32〜40ページなので、約3倍の情報を読者に届けることになる。

 元日付の新聞は4〜6程度のセクションに分かれる。通常本紙と同じ紙面構成の本紙のほか、新年を寿ぎ、政治や経済、文化、地域などさまざまなジャンル別のセクションで構成する。1年を展望する内容が中心。

 セクションの多くは、前年のうちに製作・印刷し、全国の販売店に運ぶ。日本では1月1日から3日間はいわゆるお正月休暇で、2日付はほとんどの新聞が休刊となる。自宅でゆっくり3日間を過ごす人にとっては、元日付の新聞は読み応えのある紙面として楽しまれる。

 2003年の幕開けは、米国のイラク攻撃、北朝鮮の核疑惑、北朝鮮による拉致被害者家族の帰国、デフレ不況など、昨年来の重要課題が内外ともに持ち越しとなり、「閉塞感」「内憂外患」「不穏」などのまくら言葉が散見された。暗雲を振り払う明るさを求めるように、

 各紙とも地域の重要課題、世相、スポーツ、文化・芸能、各界の有望な新人や、お正月の料理など、企画の切り口に工夫を凝らした。

 広告面も正月紙面は独特の出稿となる。商品広告よりは企業広告、記事下広告だけでなく、カラーの全ページ広告が増える。昨今の景気低迷で広告出稿量は減少気味だが、今年もトヨタ、全日空、サントリー、NTTなど大企業の全国広告主の華やかな広告が正月紙面を飾った。地方紙では名刺をそのまま大きくしたような賀詞広告や地元の小売店の初売り広告も盛んだ。

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